これ以上のセリフってないでしょ

みゆです。

今日は、私が過去に言われたこれ以上ないでしょ！っていうセリフについて書きたいと思います。

「泣いた顔より笑った顔がかわいいよ。」

このセリフをご存じでしょうか？４０後半から上の女性のみなさんはご存じですよね！そう、一大ブームを巻き起こした「キャンディ♡キャンディ」に出てくるセリフです。

丘の上の王子様とアンソニーが泣いているキャンディに言うセリフです。サラサラのブロンドの髪の美少年にそんな事を言われたら、そりゃ好きになっちゃいますよねー。キャンディの話はここでは関係ないので割愛しますけど、女性の成長を描いたとても好きなまんがです。４０年以上前の少女まんがですが今の女性の生き方にも参考になるような気がします。

で、この泣いた顔云々のセリフです。

このセリフを言われたのは、卒業間近の高３の冬の事です。以前書いたこの記事に出てくる自動車教習所の先生に言われたのでした。

私が免許を取ったのは自動車学校ではなく、自動車教習所です。この二つは似ているようで少し違うんです。どう違うかというと、自動車学校は実技試験までを受ける事ができて、筆記試験のみを自動車試験場に受けに行くのです。かたや自動車教習所は実技試験も筆記試験も自動車試験場に受けに行かなくてはいけないのです。面倒くさいですよね。大変だし。でも、父の知り合いがいるという理由で教習所に通う事になったわけです。（ちなみに私の弟が免許を取る時には、自動車学校に転職してらして弟は自動車学校で免許を取ったのですよ(>_<)）

私は運動が苦手なうえに、遊園地のゴーカートですらも運転が怖いという人でした。本当は免許なんて取りたくなかったけれど、車が無いと生活ができないので仕方なく、本当に仕方なく免許を取る事になったわけです。

教習初日。私の担当の先生（父の知り合い）は、どことなく横山やすしさんに似た風貌の人でした。軽く説明をした後、「じゃ、早速乗ってみようか。」となりました。乗車前点検をし、いざ運転席へ。もちろん今と違ってＡＴ免許なんてありませんから、普通にギアの車（教習者はクラウン！）です。恐る恐るエンジンを掛け出発！のはずが当然エンストです。何とかクラッチをつなぎ発進するはずが。なんとまぁ、なんという事でしょう。

そのまま急発進して、塀に突っ込んで塀を破壊しちゃったんですよ！塀といっても軽い素材の簡単な作りのものですがね。

これは、前代未聞の出来事だったらしくて私はすごい有名人になってしまったらしく、教習生にひそひそされていた模様。先生は始末書を書かされたらしいです。・・・当時は知らなかったとはいえ、繊細さんな私はへこみますよね当然。幸運な事に弁償をする事も無く、クビになる事も無く教習を続ける事になります。

時折涙目になりながらも少しずつ上達していきました。そんな時、担当の先生ではなく所長が私の乗車に就くことになったのです。所長って怖いんですよね。そしたら案の定叱られまくり、ずんずんと気分が落ちていき、涙目で。もちろん、分かるんです。車は一歩間違うと危険な乗り物ですから、そりゃ指導も厳しくなるのは当たり前です。でも、私は打たれ弱い人間なので頭から叱られてしまうと・・・。

その日の帰りは、方角が一緒の先生に送ってもらう日でした。帰り道、稲垣潤一さんだか中原めいこさんだかが流れる車内で先生は私に所長のフォローをするのでした。もちろんおっしゃっている意味も分かっていますが、自分のどんくささが悔しくてずっとぐすぐすとしているうちに降りる場所に着きました。そして、降り際に言うのです。

「○○さん（私の旧姓）、泣いた顔より笑った顔がかわいいよ。」

世間知らずの女子高生だった私は衝撃を受けました。あのセリフを、この私が言われる日が来るなんて！あまりの事に帰り道自転車をこぎながら、茫然としていたような気がします。というか記憶にすら無い感じです。

先生はもちろん丘の上の王子様でもなく、アンソニーでもなくブロンドの髪の美少年でもありませんでしたが、好きになってしまいましたよ。なんとか仮免を取り、何人かで乗り合いで路上試験の練習に行った帰り道にバレンタインのチョコを渡したりもしました。チョコには映画の前売り券を２枚添えて（忘れもしない、ロボコップでした）。もちろん映画に誘われる事も無く、無事に私は免許を手にしました。

それから先生とは会う事も無く、たまに送迎バスや教習車に乗っているのを見かける事もあったけれど社会人１年目の私は正直それどころではない日々を送る様になりいつしか過去の話になりました。

あれから月日は流れ、いくつか恋もして結婚もしました。

「好きだよ。」

「愛してる。」

「俺が○○（私の本名）を守るよ。」

「結婚しよう。」

などなど言われました。言われて嬉しい言葉たち。でも、でもね。やっぱりあのセリフの前には少し霞むんです。

「○○さん（私の旧姓）、泣いた顔より笑った顔がかわいいよ。」

これ以上無いくらいの衝撃的な破壊力のあるセリフを初めて男の人に言われたんだもの。もう後にも先にもこれを超える事を言われる事は無いのでしょうね、きっと。