【読書】風の万里 黎明の空 小野不由美

この王についていきたい。

読んでいてそう思わされるほど、文字だけで伝わってくる陽子の毅然とした振る舞い、堂々と臣下と向き合う様子。

でもそこに至るまでには「女」という記号と蓬莱出身で「無知」な王として扱われ、信頼が得られず苦悩する陽子の姿があった。

けれど、負けずに歩み進め、慶国を自分はどのような国にしたいのか、民と国に向き合い続け、信頼できる仲間と出会い、そして国が基盤を持ち、1歩進む様が描かれていた。

初勅の場面、かっこよすぎんか?????
伏礼を廃す。
慶の民の誰もに、王になってもらいたい。
音読したくなる文章。

そして鈴と祥瓊のキャラクター造形が秀逸。
確かに二人とも読んでいて同情し、哀れむに足る環境いた。

けれど、どこかズレを感じてしまう。
自分しか見えてなくて、真実と周りが見えていない。
故に生じているズレ。

このズレを気づかせてくれる人と出会い、成長する二人はとてもさっぱりとしたキャラクターとなり、陽子を支えてくれる人となった。

それにしても楽俊は本当にいい仕事するなぁ。
彼がいなかったらどうなっちゃうん。

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