湊方由仁

記録。 思ったことを吐き出したい。

湊方由仁

記録。 思ったことを吐き出したい。

最近の記事

【読書】丕緒の鳥 小野不由美

即位の礼で行われる儀式で重い任にこれまでの日々を思う職人、 死刑制度の壁と向き合う法治国家の官吏、 自然異常から後の災害を止めるべく奔走する山の人々、 暦を作り続ける学者。 この十二国記の世界観を更に深く、豊かに彩る物語。 そして決して名が残り、目立つような人々ではないけれど、確かに、この人達に国は支えられている。 国はその積み重ねだ。

    • 【読書】風の万里 黎明の空 小野不由美

      この王についていきたい。 読んでいてそう思わされるほど、文字だけで伝わってくる陽子の毅然とした振る舞い、堂々と臣下と向き合う様子。 でもそこに至るまでには「女」という記号と蓬莱出身で「無知」な王として扱われ、信頼が得られず苦悩する陽子の姿があった。 けれど、負けずに歩み進め、慶国を自分はどのような国にしたいのか、民と国に向き合い続け、信頼できる仲間と出会い、そして国が基盤を持ち、1歩進む様が描かれていた。 初勅の場面、かっこよすぎんか????? 伏礼を廃す。 慶の民の

      • 【読書】流浪の月 凪良ゆう

        さすが本屋大賞……。 読み始める時間が夜からだったとはいえ、久しぶり日付を越えて、ぶっ通しで読みきってしまった。 ちょっとここまでと止めることなんてできなかった。 そして読み終えたあと、声を出して泣いたのも久しぶりだ。 あらすじは書けない。 もう、優しく布にくるんでしまっておきたい、そして時々覗く物語にしたい。 やわらかく、包み込むような筆致だ。 だけど、描かれるものはとても痛い。 読み終えて思ったのは、「孤独と自由」について。 〈世間〉や〈常識〉は生きる上で必要なこと

        • 【読書】東の海神 西の滄海 小野不由美

          十二国記シリーズ エピソード3。 これまでのシリーズでもいいキャラしていた蓬莱出身コンビ、延王と延麒が荒廃していた国を建て直し、今に繋がるまでの物語。 陽子が助けを求めた雁国は他国より群を抜いて発展していた。治世も長い。 けれど、始まりはやはり凄まじかった。 王である尚隆はどこかちゃらんぽらんな人物だ。 王であるにも関わらず、町に溶け込み、そこで借金を負い、そのまま働いてしまう。 どこか心情は読めず、部下の追及にはのらりくらりとかわしつつ、冷静に動向を見極め、侮れな

        【読書】丕緒の鳥 小野不由美

          【読書】風の海 迷宮の岸 小野不由美

          十二国記シリーズ エピソード2。 前作で王と共に行方不明と示唆されていた戴国、そして泰麒の物語。 陽子と同様、蓬莱へ流されてしまっていた泰麒。蓬莱では自分の居場所がなく、本当の子ではなかった、人間ではなかったという事実にすとんと納得しながらも、母は恋しく、そして麒麟らしさもない自分に苦しみ、王を天命で選ぶという役目と葛藤する。 自分とは何者か。 自分は何のために存在するのか。 ひたすらその問いと対面する。 それにしても……ほんとうに可愛い。 泰麒が可愛い。 素直さ、

          【読書】風の海 迷宮の岸 小野不由美

          【読書】月の影 影の海(上下) 小野不由美

          自粛生活で仕事も在宅勤務が増えたこの機会に気になっていた十二国記シリーズに手を出してみました。 昨年、18年振りの新作ということでかなり話題になっていた作品。 エピソードの読み順に迷ったけれど、エピソード1の「月の影 影の海」から。 上巻は人の顔色ばかり窺ってしまう、でもある意味普遍的な女子高生の陽子の前に突然「ケイキ」と呼ばれる青年が現れる。情報がないまま、異界へと連れ去られ、罪人やら数々の裏切りやらで振り回されていく陽子(と読んでる私)。いや、ほんとよくついて行けたな

          【読書】月の影 影の海(上下) 小野不由美