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PMS

PMS(月経前症候群)に悩まされる女性は少なくありません。しかし、PMSを経験したことがない人にはあまり認知されていないような気がするので、今回はこの話題について書いていきます。

PMSとは

PMSとは、月経の約7日〜10日前から起こる心身の不調が「日常生活に影響を与えている状態」を指す言葉です。
「日常生活に影響」とは、その症状によって学校や仕事を休まなければならない、感情の起伏が激しくなって(イライラして)人間関係が難しくなる、ぼーっとして効率よく仕事が進まなくなるなどの状況を指します。
特にその中でも、さらに精神症状を中心に症状が重たくなった状態にはPMDD(月経前不快気分障害)という名前がついています。
PMSやPMDDは「イライラしてる?生理前?」くらいに軽く捉えられですが、PMS(PMDD)によって生活に影響をきたしている当事者にとっては深刻な問題です。そのため、本人とその周囲の十分な理解と、正しい対処が重要になります。

原因

「PMSの原因は何ですか?」と聞かれることは多いですが、はっきりとした理由はまだよくわかっておりません。
仮説①:毎度の生理痛に苦しむために生理が近づくとストレスを感じた結果だという説
仮説②:月経周期に関連するものだからホルモンバランスに関係してるのではないかという説
仮説③:ピルなどによって排卵を止めることで症状が改善することが多いことから排卵と関係があるのではないかという説
仮説④:精神症状を訴える患者が多いことから神経の伝達物質(うつ病に関係するセロトニンなど)が関係しているのではないかという説
このような有力な説はありますが、実際には解明されておらず断言はできない状況となっています。

症状

PMS、PMDDの症状はいろいろあるので全て列挙することはできませんが、よくある症状を書いてみます。身体的な症状としては、「腹痛・お腹のはり・胸のはり・腰痛・むくみ・食欲の増減・眠気・だるい」などが代表的です。精神的な症状としては、「イライラする・突然死にたくなる・何もやる気が起きない・強い不安・突然泣けてくる・集中力の低下」などが多いです。
当然、これらの症状には個人差があります。何も症状がでない人もいれば、症状がとても重たく日常生活に支障をきたしている人もいます。症状がある人の中でも、どの症状が出るかは人によって異なるため「あの人はこうだったからこの人もこうだろう」「私はこうだからあの人も同じだろう」とは考えてはいけません。

治療法

PMS/PMDDの治療法は大きく分けて2種類あります。

非薬物療法

1つ目は非薬物療法です。これは読んで字の如く、薬を使わない方法で、よく実施されるのは以下の3つです。
①カウンセリング等を利用してストレスのコントロールをする
②軽い有酸素運動(お散歩・ストレッチなど)をする
③カフェイン・塩分・アルコールを避け、バランスの良い食事を心がける

薬物療法

非薬物療法のみでどうにかなるならそれに越したことはありませんが、それだけではどうにもならない場合には、薬に頼らざるを得ません。薬の種類については主治医と相談の上決めるようにしてほしいですが、よく選択される薬としては「低用量ピル(排卵を止める、ホルモンの変化を穏やかにする)、漢方薬(むくみ、精神安定)、鎮痛剤(腹痛)、抗不安薬」などがあります。

最後に

PMS・PMDDは「生理前だから」などという簡単な言葉で片付けることができるような話ではなく、それによって日常生活で困難を強いられていることもあるのだという認識を持ってください。もし自分の周りにしんどそうな人がいる場合には、「みんなも我慢しているんだからあなたもできるはず」、「みんな耐えているのに甘えるな」と思うのではなく、PMSやPMDDでしんどい人もいるのだと思い出していただけると嬉しいです💕
また、症状を抱える女性自身は、「みんな我慢しているはず」、「自分も我慢しなきゃ」と思うのではなく、ぜひ気軽に産婦人科に相談してください。産婦人科でお手伝いできることがあるかもしれません。

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