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Global Business Trend vol.20 | 多様性と日本の経済成長
先日Wall Street Journalに、「アメリカがインフレを経験する中、日本は安定的なデフレ状態を保つ」という動画が掲載されていた。同社は20年以上前、別の記事にて日本の停滞理由に「イノベーションの欠如」を挙げている。
イノベーションによる経済成長を期待するには、多様性が必要不可欠だということは世界で広く認知されている。昨今では多くの企業も女性の雇用や、多種多様なバックグラウンドを持つ人を採用することで企業が活性化し、成長をもたらすことを理解しており、「多様性・ダイバーシティ」はビジネス上のバズワードにもなりつつある。
BBCのポッドキャスト「Rethink」の1/6配信回では、日本の老化・人口減少に関して著名な知識人が議論をしているが、その中でもキャシー・松井(ウーマのミクス提唱者)は、多様性がいかに社会・経済成長に重要か、熱く語っている。
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今年結婚しニューヨークに本格移住したのだが、アメリカは多様性や個性を尊重しつつも、究極の個人主義を貫いていると日々感じる。社会保障制度はあってないようなものだし、富を有すれば有するほど幸せになる(と考える)ので誰よりも働いて一番にならなければいけない、かなり厳しい競争社会に見える。
一方で日本は、「ナンバーワンにならなくても良い、もともと特別なオンリーワン」とアイドルグループが声を大にして応援してくれるように、競争社会というよりは、足並みを揃えてみんなで頑張ろう、社会のために生きよう、という風潮が強い。その「協調性」を大事にする姿勢はとても大事だとアメリカに来てから特に思う。ただ、他人への思いやりや社会の秩序を尊重しすぎて、身を粉にしてまで同調してしまう傾向は社会にとってはプラスになり難い。
私は幼少期に日本と国外を行ったり来たりする中で、水泳という究極の個人プレーでありながらチームとして力を合わせる競技に出会った。水泳が素晴らしいのは、練習のほとんどが自分との戦いで、他の人のタイムを気にするよりまず、自分がどれだけ速く泳げるかに集中しなければいけないところだ。勝ち負けもタイムによって決まるので、とにかく速くなるように自分を追い込まなければいけない。そして、一人一人がベストタイムに向かって頑張ることで、チームの相対的なレベルがどんどん上がっていくのだ。
水泳における個人プレーとチームプレーの絶妙なバランスは、今日本が一番必要としている要素なのではないかと強く感じているのだ。
例として、私の職場、I&COを挙げたい。アメリカの「一人で切磋琢磨する」文化と日本の「みんなで力を合わせて頑張る」文化の良いとこ採りを実践しており、各々が持っている多種多様な経験と得意領域を、合わせ、強いチームを作り上げながら新しい価値を生み出している。また、米国・日本の良いところを深く理解したトップチームがニューヨーク・アメリカの両オフィスを牽引することで、両方のオフィスが個性を出し独立しながら良いシナジー効果を生み出している。
日本のインフラは世界のトップ水準で整っているし、他人への思いやりや、社会の秩序をここまで尊重する文化は、他にない。日本の社会がもっと良くなるよう、外の空気を吸っている人間として意見するのであれば、日本は「オンリーワンな個性派」をたくさん育て、「同調社会」を脱却し「協調社会」に移行していくことが必要だと思う。日本に住む人が多様化すれば、あっと驚くイノベーションが生まれる日もそう遠くはないはずだ。
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