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Global Business Trend vol.18 | 「多様性・ダイバーシティ」をバズワードで終わらせないために、企業ができること

なぜdiversityは大切なのか?

2017年の調査では、ビジネスが業績を最大化するには、意思決定のすべてのレベルで多様性を意識する必要があることが明らかになった。 結果は次の通り:

• インクルーシブなチームは、最大87%の時間でより良いビジネス上の意思決定を行える
• 多様性を大事にするチームは、会議の半分で2倍の速さで意思決定を行う
• 多様性を大事にし色々な意見を取り入れることで、そうでないチームより60%優れた結果が得られる

最近はバズワード化している「多様性・ダイバーシティ」。しかし、「レインボー・ウォッシュ」を筆頭に、多様性・ダイバーシティを利益のためだけに追求する企業も少なくない。そこで、企業は本質的な多様性を維持するには何をすれば良いのか?米コーネル大学のDEIプログラムを通じて学んだことをまとめてみた。

まずはアンコンシャスバイアスを意識する

私たちの脳は、常に訳1,100万個の情報に晒されているが、そのうち一度に処理できるのは40個のみ。無数にある情報を処理するのを手助けしてくれるのが、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)である。脳が既存の経験に基づき、自動的に入ってくる無数の情報をフィルタリングを行う動作だ。

私たちは自分が見ているものは常に客観的であり、自分の脳は有能であると思っているが、実は入ってくる全ての情報は私たちの脳が、私たちのためにフィルタリングしたもの。特に、目に見える手がかり(人種、性別など)が、脳にとって最も速くフィルタリングでき、これがステレオタイプを作り出すと想定されている

無意識の偏見は、組織の多様性を脅かす存在として注意する必要がある。例えば・・・
- 能力とリーダーシップに関連する無意識の偏見:
特定の役割で成功するために必要と考えられる属性が、社会で考えられている属性と一致しない場合、能力の評価が低くなる。一方で、社会で考えられている成功要因を少しでも多く持つ人が、有能と考えられ特権を得られるという仕組み。
例:明らかに男性または白人っぽい名前の履歴書は、女性またはアフリカ系アメリカ人の名前の同じ内容の履歴書よりも、書類選考で有利だというデータが出ている。

人間は、常同行動に反する(ステレオタイプに反する)動きをする個人を嫌う傾向がある。たとえば、自分の意見を表明したり、他の人と意見を異にすることを恐れない女性は、「攻撃的」、「自己利益的」と表現されることがよくあるが、男性が同じ行動を取ると、 「リーダー的」、「戦略的」、または「主張的」と褒められることがよくある

これらのパターンは、自動的なアンコンシャスバイアスから生じる。そこで、ビジネスシーンでも、常にアンコンシャスバイアスに加担していないか、現状を問うことが大切とされる。コーネル大学のニシイ教授によると、下記のようなインクルーシブな行動を普段から意識することが重要である:

o チームメンバーを心から気遣う
o 他の人が直面している問題を理解するために努力をする
o 全員が受け入れることができる結論に到達するために協力する
o 問題をよりよく理解して解決しようとするために、反対意見または代替意 見を引き出すよう努力
o 互いに助け合う意欲
o お互いのために立ち上がる、味方になる
o チームメンバーを信頼する
o お互いについて知り、憶測を立てない

また、下記のようなインクルーシブでない行動は避けること:

o 一部の人を仕事仲間から除外するなど、疎外されていると感じさせる行動を取る
o 他人の貢献の価値を軽視する
o 他の人が話している間に割り込む
o アイデアや意見を認めない、またはほとんど関心を示さない
o 支配戦術(例:チームミーティング中に会話を独占する)
o 他人を軽蔑したり侮辱したりする

上記のようなインクルーシブでない行動を改善するにはどうすれば良いのか?得策は、下記:

1. No-interruptions rule
他人が話している間に割り込みをさせないルールを制定。 IDEOは、誰かが割り込んだときにベルを鳴らす「割り込み門番」をMTG時に設定。
2. Round Robin Approach 
ブレーンストーミングの前にチームメンバーにアイデアを個別に書き留めてもらい、ラウンドロビンアプローチ(同じ順序<時計回りなど>で指名したり割り当てたりすること)を使用して、各メンバーがアイデアを共有できるようにする。
3. Silent Voting Approach
アイデアを黙って投票し、チームメンバーが他の人の投票に過度に影響されないようにする。

お互いの共通点を知ることが第一歩

ほとんどの企業は正式なダイバーシティとインクルージョンの方針を持っており、ダイバーシティとインクルージョンへの取り組みを公に支持している。
しかし、最終的に最も重要なのは、従業員が非公式のコミュニケーションややり取りを通じて、インクルージョンの重要性について意識することインクルージョンに関連する問題への対応方法において、各自の意識の一貫性が高いほど、組織の一体感は強くなる。まずは、チーム同士がどのような人間か知り、共通点をたくさん見つけ(Similarity attraction effect: 類似性誘引効果、「類は友を呼ぶ」仮説)、お互いを知るという、すごく根本的なところがインクルージョンへの第一歩なのだと感じた。


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