聞くに聞けない「プラスチック問題」の真意とは? ~「プラスチックに係る資源循環の促進に関する法律」が来春に試行~
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ニュースなどで、マイクロプラスチックの問題のみが表面的にクローズアップされています。まずは、プラスチックを削減する目的をしっかり理解する必要があります。プラスチックごみ問題への取り組みの必要性は、海洋汚染が根本にあります。
海のプラスチックゴミは、8割以上が陸からきたものといわれています。
レジ袋やペットボトル、使い捨ての食器、商品のパッケージなど、使い捨てにされるプラスチックがポイ捨てされたり、これらに化粧品のパッケージなどももちろん含まれます。屋外に放置されたりすると、雨や風によって河川に入り、海に流れ出てしまいます。
日本のプラごみ排出量は世界第5位で、1年間に1人あたり平均38キロ排出しているといわれています。よく見ると、身近な商品でプラスチックのものはたくさん見かけるでしょう。残念ながら、プラスチックゴミの排出は、日本が全体の18%をしめています。化粧品においては、ビーチなどで使用するUVクリームが悪意なく容器ごと波に攫われたり、UVクリームを塗布した状態で海などに入ると成分が水に溶けだし、成分中に含まれるマイクロビーズ(マイクロプラスチックになりえる)が水中に流れ出ます。こういったことにより、海洋汚染の原因となります。
これらのプラスチックゴミが海に流れ、海の生物が誤飲し死亡。また絶滅危惧種が増えることで、生物多様性が脅かされます。少なくとも約700種の海洋生物が誤飲などさまざまな被害を受けています。
プラスチックごみを誤飲して体内に取り込んでしまった個体の比率は、ウミガメで52%、海鳥では90%と言われています。プラスチックは消化されずに生物の胃袋の中に溜まり続けるため、海の生物は”満腹である”と勘違いしてしまい、食事を取らずに餓死してしまうこともあるそうです。
さらに、プラスチック問題により絶滅危惧種の増加が起こることが懸念されます。これが、プラスチック問題の根源です。私たちがプラスチックを削減する目的は、海の生物多様性を守るためです。
生物多様性のために、プラスチック削減に取り組みましょう。
化粧品のみならず、いま各業界で脱プラ施策として、サトウキビなど植物由来のバイオマスプラスチックに変える企業が増えています。
確かにバイオマスプラスチックは生分解性が高いので良いのですが、バイオマスプラスチックの容器をそのまま燃えるゴミとして捨てることや、単に土に埋める・いわゆるプラスチックではないから海に捨ててしまうなどは厳禁です!燃やせばCO2は出るし、バイオマスプラスチックは、専門の堆肥化施設に持っていかないと、土には戻りません!堆肥化施設についても、国内にあるのかどうかまだ調査しきれていません。(また、その土できちんとまた植物を育てることができるかということは、現段階ではどこも調査されていません。)バイオマスプラスチックだって、海に流れれば、マイクロプラスチックになりえるのです。
今年から環境省が推し進めているプラスチック対策として、来春には「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案」が施行され、みながこぞってプラスチック問題に取り組み、その真意を無視して、化粧品業界で広がっているウォッシュという現象(実態が伴わないのに公言してしまうこと)が増長しかねません。
この法律も守ることが目標になってしまい、上記のバイオマスプラスチックの堆肥化の問題もそうですが、本来のプラスチックを削減する根底がうやむやになってしまうことが危惧されます。消費者の皆さんには、単に”プラスチックが悪”と思わず、ぜひ正しい選択・見定めをお願いします。
化粧品で少しでもできることがあります。
・過剰包装のない商品を買うこと
・使い切れる分だけ購入して大切に使うこと
・詰め替え製品を使うこと
・決められた処理、回収方法を守ること
・メーカーなどの容器回収キャンペーンなどにできるだけ参加してみる
・バイオマスプラスチックだからといって、過信しない
化粧品を使った後のことも考えて、少しでも海の生物多様性を目指しましょう!⭐️