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会いたい人に、会えること

GWを利用して、イタリアに旅行した。

2年ぶりのイタリア。2年ぶりの海外。
2年間ずっと会いたかった人に、会いに。

「最終目的地はどちらですか」ーーー「ミラノです」

込み上げるものがあった。

会いたい人に、会いに行けない世界。
多くの人が移動をやめた2年間。

長期休みの度に、国をまたいで移動していたのが嘘のように、同じ場所に留まっていた2年間。

航空券を取っても、旅行先での計画を考えても、信じられなかった渡航。

スーツケースを手に家を出たとき、この日が来て私は本当に幸せ者だと、他人事のように思った。

空港で手荷物検査を終えて、税関を通り、ゲートへ。空港内のブランドショップ、カフェのほとんどはシャッターを閉じていて、人はまばら。

日常と離れたことを実感する。

国際遠距離恋愛をしていると、さまざまな人から、色んなことを言われる。励ましの言葉もあるけれど、つらい、心を薄暗くするような、言葉も、もちろん、ある。

「そんなに会えないなんて、私は/僕は、無理」
「別の人を近くで探しておいた方がいいよ」

彼らの言葉が正しいように思えて、何度も足元をすくわれそうになった。

でも、私はその言葉に打ち勝って、ついに彼のもとに足を運んでいる。電車に乗って、保安検査を通り、ゲートをくぐって。誇らしいような、いてもたってもいられないような、気持ちになる。


経由地の空港に降り立つ。日本と違う熱気。匂い。人。

深夜だというのに、成田空港の静けさがうそのように賑わう空港。色んな服、色んな色、色んな言葉。

10時間前まで気にしていた、些細な心配事たちが急にどうでも良くなる。

そしてミラノ行きの飛行機に乗り込む。日本からの便とガラッと変わる顔ぶれ。通路が狭くてぶつかってしまったときにウインクしてくるイタリア人のおじさん。急に実感が湧いてくる。

私の好きな人は、この広い世界の中にいるのだ。そして、これから、会えるのだ。


身近で幸せを見つけた方が良い、というアドバイス。自分が暮らしている範囲に好きな人がいるのは、すごく素敵だし、安心できることだと思う。

でも同時に、こんなに広い世界で、生まれた場所も育った場所も違う人と恋をする。これもすごく素敵なことだと思う。

会いたくて涙を流す夜が、これからもあるかもしれない。全ての責任を投げ出したくなったり、困難の多さに、世界を恨むことだってある。

でも、それでも、好き。と思える人に出会えた私はどれだけ幸せ者だろう。

私は移動ができるようになって嬉しい。1日でもはやく、状況が良くなり、未だ移動が難しい国とも行き来できるようになってほしい。そして、全てのカップルの再会を祝いたい。


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