専業主婦がアメリカ短大を卒業できたわけ
ロサンゼルス在住のみゆです。
毎日、子育てと家事を必死にこなし、勉強や好きな事もしているママも多いと思います。私も100%主婦だった頃、サンタモニカのコミカレに入学し4年かけて、2つの専攻を修得し卒業しました。その経緯を綴リます。
2011年夏
私達家族は、フロリダからロサンゼルスに移住した。フロリダに住んでいた義母を看取った後、日本人や日本企業の多いロサンゼルスで新たな生活を始めようと思った。
しかし、時はリーマンショックの真っ只中で、世は大不況。カリフォルニア州の失業率は最悪で、職は見つからなかった。
助成金(グラント)
私は仕方なく福祉オフィスを訪れ、援助を求めた。福祉科の職員は、経済的援助だけでなく、短大の助成金についても詳しく教えてくれた。
短大(コミカレ)の助成金は、政府が経済的援助の必要な生徒に、ある金額までを付与し、返済の必要もない。その上、カリフォルニア州では、授業料支払い免除の特典もあり 私は、コミカレ入学を決意した。
州は、最悪の失業率からの打破を狙い、大人の教育にも力を入れていた。福祉科は公立短大のカウンセリング事務所と連結し、子供のいる私は、助成金と授業料免除の他、教科書代と教材費も支給される事になった。
私は帰化していないので、永住権を持つ日本国民であるが、このような待遇を受けられた事に感謝している。
そんなわけで、コミカレで、様々な国籍からの様々な年齢層の学生と共に学ぶ生活が始まった。
学ぶ喜び
入学手続きの後、最初にした事は、クラス分けテストを受け英語と数学のレベルを知る事だった。久しぶりの勉強で不安はあったが、英語は、短大生の英語の授業を受けられるレベルだった。
しかし、数学が問題だった。数学がそれほど苦手とは思っていなかったが、数学で使う英語がわからなかったため、中学生レベルの数学から受けなければならなかった。
私は数学の授業を、英語の授業と考え、1つ1つの単語を覚えながら、コミカレの数学に慣れ、最終的に微分積分まで学んだ。
サンタモニカ大学では、あらゆる学びが可能だった。美容、音楽、芸術、ビジネス、看護など多種多様なクラスがあり、夢は膨らむ一方だった。
4年生の大学に編入する為には、それぞれの大学/学部の指定する一般教養を取らなければならなかった。私も編入を目指して、英語、数学、歴史、経済、科学等を取った。言葉のハンデがあったので、皆の倍も3倍も勉強し、ほとんどの科目でAをとることができた。
主婦をしている時と違い、自分が頑張ると成績で評価される事が嬉しかった。自分への挑戦が楽しかった。知識を増やし深める学びそのものが楽しかった。
勉強する時間を得るのは難しかった。午前3時に起き、誰の邪魔もしない様に、台所の明かりをつけ、微分積分の計算に取り組み、正しい答えが出た時の喜びは、一生忘れない。
夫も就職が決まり、政府からの助成金も入り少しずつ経済的に安定した。私はコミカレ内で日本語のチューターとして働き始めた。
夢に向かって
私は、コミカレに通い初めて間もなく、ピアノの魅力に惹きつけられ、音楽科でピアノを専攻した。心から好きな事を見つけることができた。
しかし、就職のことも考え、音楽科過程を修了してからビジネス科でも学んだ。コンピュータ、会計学、ビジネス英語等を学び、それは就職活動に役立ち、日本企業で職も得られた。
卒業後は会計の仕事をしながら、好きなピアノを、今でも弾き、精進し続けている。
短大で、音楽とビジネス、そして多くの一般教養を学んだ事は、私の大きな財産となった。