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情熱は取り戻せるか?

先日、
24歳の次女と、電話で長話をした。

次女は今年、
ロサンゼルスの大学の看護科を卒業し、
看護師の国家試験にも合格した。

テストと提出物に追われる日々から開放され、
さぞ、自由に楽しく生活しているだろう、
と思っていたが、彼女は、
なんか、
気が抜けた風船みたいな様子だった。

今は、バイトと職探し以外の時間は
漫画に夢中だと言う。

かつて、次女は、漫画とアニメで
日本語、絵画、そしてピアノを
かなり上達させた。

私も一緒にアニメに夢中になり、
母娘で楽しい時を過ごした。

6年前、
次女の、4歳年上の兄は天国へ逝ってしまった。

それ以来、
次女は、絵も描かず、
ピアノも弾かなくなった。

次男は、鬱を患っていて、
何回も未遂を繰り返した。

忙しい夫の代わりに、
次女が私と一緒にERに行ってくれた。

そんな経験を、したからか、
彼女は突然、看護師になる決意をした。

そして、
私と次女は会話を辞めた。


話を現在に戻そう。


私達は、少しずつ母娘らしくなり、
電話でよく話すようになった。


次女はまた、漫画を読み始めた、と言う。

次女: 韓国の漫画はカラーで
          絵がとっても綺麗で、感動しちゃう。

私:     また、絵ぇ、描き始めれば?

次女: うん、そのうちにね。

私:      わかるなぁ~、
           マミーもピアノに対する
           前みたいな情熱が無くなった感じでね、
           悩んでる。

次女:  ザック(次男)が居なくなってから
            情熱も、なくなっちゃったよね。

娘のその言葉が、なんだか嬉しかった。

私達家族は、最近、なんとか、
ザックの死を受け容れられる様にはなった。

大切な人を失い
内臓がえぐり取られる様な苦しみを超えて
もう、大丈夫みたいに生活しているけれど、

大切な人の死、と共に
失ってしまったものの供養も
しなければ、と思った。

私は、ピアノが弾けない。
次女は、絵が描けない。


ザックが生きていた頃のあの情熱が
懐かしい。


私の頬を、熱いものが流れている。


ザック、
また、ピアノに夢中になっても良いのかな?

ザックの答えは、
私の指から醸し出されるのかもしれない。

美しい、日曜日の、緑溢れる庭に出た。


ザックの魂を
心の奥深く吸い込んでみた。

もう一度、
今度は、私の情熱の微粒子を
心に届けようと、深呼吸してみた。



今日、久しぶりに



ピアノに向かおうと思う。





(長くなるので、次女の事は
あまり詳しく書きませんでした。
ご興味が有りましたら、過去の投稿を
読んでください)




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