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ジャズピアノと私

ジャズライブは久々だった。

上原ひろみがロサンゼルスに来るたびに、見に行った。その数回は、私も通ったサンタモニカ大学のホールで行われ、音響設備が最高の場所での、常に優れたコンサートだった。カタリーナカフェというジャズクラブでの演奏も聴いた。

今や上原ひろみは、世界的に大人気なジャズピアニストだ。だから観客が多数入る、大きなコンサートホールで行われる事が多い。

今回のサンタクルーズでのジャズライブは、小さなライブハウスで行われた。

コンサートホールとジャズクラブの大きな違いは、演奏者と観客の境界線の明確さだと思う。演者が舞台の上で演奏するのに対し、ジャズクラブでは奏者と観客が一体となる。

一晩で2回のショーを見る機会に恵まれ、それぞれのショーのあまりの違いに驚いた。演者と観客のノリの違いだ。

ノリって何だろう?

一人でノる事もあるが、コール·アンド·リスポンスという奏者と奏者とが会話するような、今回の上原ひろみバンドの演奏では、相手のノリで盛り上がり、ノリは観客にも伝染し、観客の感動が奏者のノリを高める、というノリのスパイラルが起こり、盛り上がった。

私は、クラシックピアノ出身で、楽譜のとおりに弾くのがピアノ、という呪縛からなかなか解き放たれない。だから会話するように、即興で弾けるジャズプレイヤーに憧れる。

ジャズの基本である、コード進行や、即興に必要なスケールやアルペジオも学び練習に励んだ。ジャズ理論も10年以上前に学び、頭では理解出来た。

しかし、弾けない。

そのもどかしさを補うように、私は、ネットで販売されている、即興を楽譜にしたものを買い、読み、練習してきた。大好きなジャズピアニストが弾いた曲が弾けるようになるのは嬉しい。自分なりに心を込めることも出来る。

しかし、自分自身の心から湧き上がる即興では無いので、彼女のような、ノリは生まれない。

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ジャズピアノが弾けないのはなぜだろう?

答えは分かっている。

譜を読んで弾けば、ある程度のテクニックを駆使出来る。しかし、コードとメロディーから、自分なりの即興を生み出す為には、上手ではない、恥ずかしい自分をさらけ出す段階を、通らなければならない。

下手な自分をさらけ出す事を、避け、恐れている。しかし、未だに諦めきれないジャズピアノに、少しでも近づくためには、恥をかき捨てて、恥をさらす所から始めなければならない。

3年前の自分の記事を再読して、60代の私は、また、大きな決意をするに達した。

これから、
下手な自分を曝け出しますので、
温かい目で、見守って下さい。

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