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森 翼 & AYA / MIMIZUQ インタビュー

ヴォーカル不在で活動を続けてきたMIMIZUQに、森 翼が加入し、
新曲『Tic-Tac』をリリースしたのはもう周知のとおり。
その組み合わせに驚きとともに期待の声があがった。
8月1日にはさらに『MONSTER GIRL』のリリースし、
21日にオンラインライヴ『The little nest』の控えている。
新メンバー森 翼と、コンセプトを生み出すAYAの二人に話を聞いた。


●翼さんの加入を発表されたとき、皆さん一緒にいらっしゃったんですよね。
AYA:はい、事務所にいましたね。こうやりながら(スマホを見る仕草)。
森 翼:(発表のタイミングを待って)3、2、1、って。

●反響はいかがでしたか。
AYA:否定的なのが全然なかったのでよかったなって思いました。森君のお客さんも否定的な人はいなかったと思いますね。
森 翼:いなかったですね。こういう世の中だから、新しく何かが始まるとか動き出すのを待ってるんだなっていうのをすごく感じました。僕のファンとかMIMIZUQのファンじゃない、ワンクッション先の人たちも、いい感じでざわっとしてくれたから。今からやってやるぞっていうところに、人は集まるんだなって思いました。あと、新しいヴォーカルが入ってもう一回スタートしてほしいと思ってずっと待ってるMIMIZUQのファンの人たちがたくさんいてたんやなと思って、加入する前はアウェイに飛び込む感じがあったけど、発表して反応とか見てたら、すごく温かいホームに行かせてもらうって感じたんです。そこは自分の中で180度変わりましたね。勝手に僕だけが怯えてた。
AYA:それはしかたないよ。

●驚いたっていう反応はあったんじゃないですか。
森 翼:ビックリしてる人はたくさんいたので、それはすごく嬉しかったですね。それをメンバーみんなでエゴサーチしながら見てる時間は、バンドが始まったんだなっていう感じがしました。
AYA:確かに。

●その瞬間を一緒に迎えたいということだったんですね。
AYA:その日、スタジオに入ったんですよね、記念日やからって。一緒に音を出そうって。スタジオに入ってからみんなで事務所に移動して、一緒にいました。初スタジオでした。
森 翼:そのスタジオに遅刻したんですよ。

●え?
森 翼:その日に集まるのは頭に入れてて、発表が楽しみで家でずっとそわそわしてて。何時間前になりましたねって、メンバーのグループLINEでも話してて。そしたら、スタジオにおるような会話がグループLINEで始まったから、3人はほかに決めることがまだあったんかなと思ったんです。それが終わったらいつでも向かいますんで言ってくださいね、みたいな返信をしたら、今日何時集合でスタジオやでって返ってきて。時計を見たら、もうその時間過ぎてるんです。すぐ行きます!って。
AYA:すぐ来ました(笑)。

●時間を勘違いしてたんですか。
森 翼:勘違いしてました。すぐに行って、一言目に「すみません」って言って、「気まずくてこの後ようスタジオで歌えないです」って。でも、和気あいあいとやってくださって。そのときに、8月21日の配信ライヴでやる曲をひととおりさらいました。
AYA:妙にライヴ感がありました。
森 翼:これ、配信したらよかったんちゃうんぐらい(笑)。

●いいスタートというか、記念日になりましたね。
AYA:そうですね。seekが記念日が大好きなんで、すぐスタジオに入ろうって言うんですよ。確かMIMIZUQ始まったときもそうした気がする。

●やっぱり集まるだけじゃなくて、音を出すのがいいんですね。
AYA:いいんでしょうね。

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ソラミミが生んだ「Tic-Tac」の歌詞

●加入発表があって、「Tic-Tac」が発売になりました。曲に対しての反応はいかがですか。
AYA:MIMIZUQやなっていう反応でしたね。メロディも森君が持ってきたやつやのに最初からこんなに馴染んでるんやって不思議な感じでしたね。
森 翼:嬉しい。

●翼さんのこれまでの曲を知ってるファンの方にとってはどうだったんでしょう?
森 翼:どうなんでしょう。僕、暗い曲が多かったというか、ちょっと影のあるものをアートに変えていくのが得意で、それをやってきたんですね。MIMIZUQでは、言葉で言い表せないんですけど、今まで僕が持ってなかったポジティブさが、音楽とかナミダミュージックというコンセプトによって広がりを見せてくれている気がします。MIMIZUQの音楽と出会えて、このメンバーと出会えて、すごく自分の幅が広がってる気がしてるんです。だから、ファンの人たちの反応もそういう感じでした。森 翼が、森 翼してないわけじゃないし、森 翼のまんまやし、だけど化学反応がすごく起きてて、ライヴに行ってみたいってみんな言ってて。嬉しいですよね。
AYA:嬉しいね。

●ポジティブさが広がってきたのはどういうところからなんですか。
森 翼:ひとりでやってきたときは全部背負い過ぎてて、自分で完結するみたいなことに気負い過ぎててたんだと思います。MIMIZUQだと、分け与えてもらえるし、分けれるというか。掛け算ができるんだなって実感して。その分の幅やと思うんです。みんなでスタジオに入ると、意見も出し合うし、真逆の意見でも確かにこうしたほうがいいなって思うことがたくさんあって。それが僕にとっては新鮮やし、そこがポジティブにつながってるんやと思います。
AYA:なるほど。

●歌詞はお二人の共作ですけど、AYAさんとしてはこれまでずっと次のコンセプトを温めてきたんですか。
AYA:ナミダミュージックという大きなコンセプトがありながら、次はこういうテーマでアルバムを作りたいというのがありました。“列車”と“時間”、その二つを混ぜたファンタジーにしたいと思っています。

●それは何かストーリー的なものがあるんですか、世界観みたいなものだけとか。
AYA:年末のライヴやったかな、pocoさんとご飯を食べたときに、「Piggyback」は子どもの目線だったり大人の目線だったりする曲だし、「Child Room」もあるし、年齢別に曲がたくさんあるなっていうところから、人の一生を表せないやろうかっていう話になったんです。誰かの人生を列車にたとえて、そこに動物が乗り込んでその人を見ている、そんな世界を次に作りたいと思ってます。

●列車が進むにつれて年を重ねていくような。
AYA:そういうイメージです。いろんな人が乗ってきて降りていって、いろんな出会いを経験しながら、どこに向かうんだろうっていう話。

●曲のタイトルもそうですけど、時間とか列車とか汽笛とかは、AYAさんからのアイデアなんですね。
AYA:森君が書いてきた歌詞にファンタジーを足して、僕が色付けしていきました。
森 翼:もともとはメロディ先行でこの曲は作ってたんです。そのとき僕が書いていった歌詞も…(笑)、
AYA:ソラミミやったんですよ(笑)。スタジオで森君が仮歌詞で歌ってて、“ベル”って聞こえてきたんです。でもそれ、蓋を開けてみたら、“ベルリン”って歌ってたんですよ(笑)。
森 翼:“北京とかベルリンとかロンドンとか、今何時やろうか、そんなことよりも神様一個願いが叶うなら”、そんな感じで書いてました。具体的な地名を言って。それをAYAさんが“ベル”って聞いてくれて。
AYA:列車の曲にめっちゃ合うなって思って。それで仮歌詞を送ってもらって見たら、え?、“ベルリン”ってなってるって(笑)。

●幸運なソラミミですね。翼さんとしてはMIMIZUQの歌詞を書くにあたって、考えたことはありましたか。
森 翼:今までの自分の歌詞の書き方でよかったのかわからへんかったから、あえてそれまでのMIMIZUQの曲にないような、いろんな大都市とかで彼女と一緒に暮らしたいみたいな歌詞を持っていってたんです。今、世界がどうなってるかわからへんけど、君と過ごしたいっていうのを具体的な感じで、君を食わせてあげたいぐらいの表現にしていて。だから歌詞がやっぱり生々し過ぎたので、AYAさんに手伝ってもらえませんかってお願いしたら、AYAさんが書いてきてくれたのがばっちり合ったんです。内容もやし、メロディともすごく合ってて。それって難しいんです。僕は、歌詞とメロディが合ってないと気持ち悪いんですよ。言葉としての抑揚がメロディ上で変わると気持ち悪いじゃないですか。AYAさんとはその感覚がすごく近いんやなと思いました。

●AYAさんとしては、それは意識していることだったんですか。
AYA:MIMIZUQは歌詞に合うようにメロディをつけることが多いんです。seekとpocoさんは歌詞について細かい人たちなんです。「Tic-Tac」でも一回あったんですよ。1番と2番で切るところが違うんですよね。
森 翼:“かみさま”と“泣かないで”だから、4文字と5文字じゃないですか。レコーディングのときもその話になりましたね。
AYA:“泣かないで”の5文字目で切るのはおかしいなっていう話になったんですけど、こっちのほうが歌いやすい、ハマってるなっていうので、これを活かしたんです。
森 翼:“かみさま”で、次のところで楽器陣が入ってくるから、“泣かないで” やとそれがかぶるっていう話になったんです。でもこれは、“泣かないで”までいってるから、次の“かみさま”が生きてるんです。これは絶対これのほうがいいって言いました。これはおしゃれやと思う。

●そういう細かいところまで意識して聴くと楽しめそうですね。“終わりのない物語”という歌詞は、どちらが持ってきた言葉なんですか。
AYA:たぶん僕がつけました。
森 翼:どんなバンドにしたいんですかって僕が聞いたときに、終わりのないバンドってseekさんが言ってたから。

●改めて、始まりに相応しい曲になってるなって思いました。ちなみに、外国のチャートのトップテンに入ったそうで。
AYA:イギリスのチャートで6位になったんです。pocoさんが教えてくれたんですけど。
森 翼:それを見ても誰も何も言わないから、みんなもっとそういうのを言いましょうよって(笑)。じゃあ、僕が言いますわってTwitterでつぶやきました。イギリスのJ-POPトップソングの6位に入ったんです。
●デジタルでリリースする面白さというか、可能性を感じますね。

新たなチャレンジをした「MONSTER GIRL」

●8月1日には、続いて「MONSTER GIRL」が発売されました。これはseekさんの曲ですね。
AYA:この曲が森君の声に合うってpocoさんが言ってて、pocoさん押しやったんですよ。森君もこれを歌ってみたいって言ってたし。
森 翼:すごい好きなんで、歌いたいですって言いました。
AYA:さらに、新しい雰囲気の曲をやろうってpocoさんが言い出して。原曲はもっとアレンジが違ってたんですけど、それを最近の音楽というか、そういう要素を取り入れていくために、アレンジをいろいろ勉強しました。
森 翼:世界的な音楽の傾向として、音数がどんどん減って、少ない音でアンサンブルを作ってる音楽がトップチャートに上がってきてるんですね。昔みたいにたくさん音を詰め込んでライヴで再現したときに感動するようなサウンドは、携帯で音楽を聴く人が増えている今はそこまで浸れないものになってきているんです。だから、できるだけ音数が少ないアレンジとか、声が大きめのミックスとかにチャレンジしてみようという会議があったんです。
AYA:pocoプロデュサーから。

●そこからアレンジをしたと。
AYA:僕が家で全部作り直して、pocoさんがシンセとかを作り直して、森君がアコギを最終的に弾いてくれて。スタジオには入ってないですけど、みんなで作ったみたいな感じです。

●世の中的にはバンドサウンドは決して主流ではないですけど、ロックバンドをやっていても、やはりそういう潮流みたいなのを意識することはあるものなんですか。
AYA:去年一年ライヴが出来ない時期があって、ライヴをせずに、如何に音楽を知ってもらうのか、そのためにはこういうことも取り入れていかないとダメなんかなみたいな話をしていたりもしたんです。僕ら世代の上とか下の人に知ってもらうには、こういう新しいアレンジも覚えていったほうがいいのかなと思って勉強し直した感じですね。
森 翼:音源は音源の戦い方、ライヴはライヴの戦い方があるんじゃないかなって思います。今、ライヴができひんくなってるから、音源で表現する戦い方を考えるし、ライヴができるようになったらライヴはまた違うアレンジでもいいんじゃないかなと思うし。音源でできることに振り切って考えようって作った曲ですね。

●聴いた印象としてはストリングスが耳に入ってきますよね。そこでギターとして考えたことは?
AYA:コード感を意識したぐらいですね。ギターソロが、みたいな曲ではないから。
森 翼:あの弦は生のバイオリンなんです。いいっすよね。スリルが音に乗ってるというか、全然違いますよね。

●翼さんがこの曲を歌いたいと思ったのはどういうところなんですか。
森 翼:自分が書かない、書けない歌詞やし、でも楽しいし切ないし、自分の声とも合うメロディやなとも思ったし。この感じ、めっちゃ好きなんです。
AYA:seekでも、この歌詞は珍しい感じですね。
森 翼:女の人目線の歌とか言葉、女の人が主人公のものは僕に合うので自分でも表現してきたんですけど、もうちょっと幼い女の子の感じ、あえて大人の人が幼くしてる感じみたいなのに挑戦したいなと思ったんです。

●歌うにあたってイメージするものとか、歌い方で意識したことはありましたか。
森 翼:この物語の読み手みたいな感じで歌えたら面白いかなと思って歌ってます。これは、ほかの曲を歌ってるときよりも精神年齢が小さくなってますね。ワガママでいられる感じがして楽しいです。ワガママな子に振り回されてる歌詞ですけど、その感じは僕が初恋したときに似てて懐かしいし、そのときの自分を思い出す世界観ですね。
AYA:全体のコンセプトの位置で言うと、列車が走り始めたばかり、今はまだ子どもぐらいなんですね。歌詞に出て来る“君”と“僕”っていう二人称も、これから時間が流れるに連れて“私”と“あなた”とかにしていったりしたいんですよね。そういうのを入れていきたいと思ってます。

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森で繰り広げられる1人と3匹のライヴ

●スタートしてから、これで2曲新曲が出ました。
AYA:昔の曲をやらないわけじゃないけど、新しいものを作りたいという欲求が一番にあるから。ライヴでは昔の曲もどんどんやっていきます。
森 翼:昔の曲もやりたいですね。ファンやったら絶対聴きたいやろうし。特に今は、ライヴに来てみんなに元気になって帰ってほしいし、リスクを承知で会場に来てくれてるから、できるだけ求めていることを叶えてあげたいですよね。それに、今までの曲もよくなったって言われたい。

●8月21日の配信ライヴについては、もう収録は済んでいるとのことで。
AYA:ライブハウスとは違う場所を活かしてやってもいいんじゃないかって話して、森で撮ってきました。森です。外です。

●世界観を含めて見せられるような映像になるんでしょうか。
AYA:でも、めちゃくちゃライヴ感はあると思います。最後、めちゃくちゃなったもんな(笑)。
森 翼:MVっぽくはあるんですけど、曲の頭から最後までせーので撮ってるから、ちゃんと臨場感みたいなのは画面を通しても感じてもらえると思います。アドリブもめっちゃ多かったですね。
AYA:いろいろやりました。
森 翼:僕、撮影の次の日、筋肉痛でしたもん(笑)。
AYA:昼から撮ってたんですけど、最後の曲を撮ったときはもう夜になって、真っ暗な中でやってるみたいな。

●そんな長時間だと撮影は大変だったんじゃないですか。
AYA:最初はめちゃくちゃ暑くて。山梨のほうやったんで夜は結構涼しかったんですけど、昼間はツラかったですね。
森 翼:夜になると虫が飛んできて。
AYA:カブトムシが僕のスカートに止まって(笑)。
森 翼:虫はすごかったですね。

●MIMIZUQのヴォーカルとしての見せ方みたいなのは考えました?
森 翼:僕は普通にいつもどおりやってたんですけど。メンバーが動いてて、それを見てたら僕も楽しくなって動いてるみたいな。それで同じように走り回ったりしてたら、監督さんから「ヴォーカルはそんないかへんほうが…」って(笑)。

●翼さんが歌ってるところとか、4人が並んでいるのを見て、AYAさんはいかがでしたか。
AYA:一曲目を撮ってるときに、もう全然大丈夫やなって思いました。僕は何の不安もなかったです。ノビノビやりました。むしろいつもサポートギターの方に頼んでたから、自分で弾くのが初めてやって。普段は弾いていないところも弾いたんで、レコーディング以来これは初めて弾くなって思いながら。変な緊張感がありました(苦笑)。

●4人でステージに立っているところを見てもらえたら、いよいよバンドが動き出した感じがありますね。
森 翼:撮影が一日中やったんで、コミュニケーションを取る時間が長くて、単純に楽しかったです。みんなでこれを作ったものがだんだん出来上がっていくのが嬉しかったです。帰り道も楽しかったし。
AYA:久しぶりに移動しながらみんなでずっとしゃべってましたね。

●今はなかなか長時間移動することがないですもんね。
AYA:バンドっぽかったです。

●8月21日は、この4人の空気感を画面から感じ取っていただければいいですね。
森 翼:映像データをもらえるチケットもあるんですよね。

●着実にバンドが動き出しているわけですが、手応えみたいなものは?
森 翼:そんなにはっきりとした何かはないですけど、リリースがあって、8月21日に4人が集まって動いてる映像を見てもらって、その次にライヴで目の前の人の反応を見るまでは、わからないままかなと思ってます。早くライヴを見てもらいたいし、ずっと待ってくれていたMIMIZUQのファンの人たちに安心してもらいたいという気持ちもあるんで、ライヴで4人が演奏しているのを見て、MIMIZUQは終わらずに進んでいくんだなって感じましたってみんなが言ってくれるようなライヴがやれたらと思ってます。

●AYAさんとしては、よく3人で乗り切ったなと感じてたりしていますか。
AYA:そこはあんまりないですね。この一年間、お客さんに助けられたなって思いますね。そのことについての感謝がありますね。やっと新しいものを見せられるから、今はそれが嬉しいです。


◆Tic-Tac
https://linkco.re/cd0E4VbH
◆MONSTER GIRL
https://linkco.re/RQt57Ut7
◆ONLINE LIVE「The little nest」
2021/08/21 20:00~
https://eplus.jp/mimizuq0821st/

インタビューという形を通して、アーティストがSNSなどで直接届ける言葉には乗らない“何か”を届けられたらと、コツコツがんばっています。その“何か”を受け取れた、と感じてくださったらぜひサポートをお願いします。大きな大きな励みになります。