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緊急事態に思うこと。ちょっと真面目に。

2020.5.11. 隼人 / DuelJewel

今は、ボイストレーニングはネットに切り替えて、オンラインでやっているところですね。もともと遠方のクライアントさんが多かったのもあって、このスタジオを始めたときからずっとやっていたんです。今もボイストレーナーとしては忙しくしているので、そんなに生活は変わってないかもしれないですね。

ただ、音楽活動をするうえでは、この2カ月で大きく変わりましたね。ライヴも延期になったりして、最初はこれからどうなっていくんだろうという不安もありました。でも、慌てたり、先を予測したりするのはやめて、ひとまず今、判断を誤らないように、それだけを意識しましたね。払い戻しとか面倒な手続きをファンの方にはさせてしまうんですけど、元気であればまたリスタートできると思うから。もちろん悩みはしたけど、そういう意味ではそこまで考えることは多くなかった気がします。

僕自身も活動休止したり、再開したけど思うように行かず解散を選択したりとかがあって、やりたくても音楽ができない経験はしてきたんですね。だから、コロナウイルスが落ち着いてくれば、必ずいつかはリスタートできると思うんです。

僕らが音楽をやることも含めて、あらゆることがそうですけど、時代というのは絶対にセットなんですよね。80年前だったら戦争があったわけで、当時の音楽家の方は思う通りの活動はできなかったはずですよね。だから時代に文句を言っても変わらないんですよ。こればっかりはしょうがなくて。ある種受け入れるしかないことだから、悩んでもしょうがないかなと思います。

これから先は、インターネットを中心にバンド活動をする人は増えると思います。でも僕は、ライヴやインターネットという、自分が表現する手段より、自分が音楽とどういう風な向き合い方をするかが大事だと思うんです。これまでは、曲を作って、ファンの皆さんとステージでそれを高めていくという作業があったんですけど、それができないんだったら、YouTubeで発信していくのもあるでしょうし。まだ見つかってない新しいやり方がこれから生まれてくるかもしれないし。その都度、その都度、できることを選択してやっていけばいいんじゃないかと思いますね。

音楽と自分とか、歌と自分自身との関係性は、どういう状況にあってもあまり変わらないと思うから、今は時代に自分を順応させていく、いいトレーニングかなと思います(笑)。

それに、これまでがどれだけ恵まれていたのかを再確認する機会にもなってます。安全で平和で、生きていくためだけに時間を使うんじゃなくて、楽しいと思うことに時間を向けられる時代だったからこそ、僕らはステージに立ったり、創作活動ができたりしたわけですよね。ものすごく恵まれてるんですよ。時代とか応援してくれる人とか環境が、そういうことをさせてくれてたんですよね。今、努力ではどうにかならない事態になって、それを痛感しています。

編集長の日記
地方によっては、緊急事態宣言の終わりが見えてきたようです。どうなるかはわかりませんが、ほんの少し、ゴールが見えてきたのかもしれません。
とはいえ、ゴールといってもそれはコロナの終焉ではなく、コロナと共に生きるこれまでとは違う世界。新しい生活様式が提示されていますが、それだけではなく、コロナを経た私たちが求める新しい価値観は、社会を大きく変えていくでしょう。同時に、すぐにコロナの記憶を消してしまう忘れっぽい人たちとの間に、分断が生じる可能性も感じます。
時代の大きな分岐点にいるという思いと、そろそろお洋服でも買いたいなぁという思いが交錯します。

インタビューという形を通して、アーティストがSNSなどで直接届ける言葉には乗らない“何か”を届けられたらと、コツコツがんばっています。その“何か”を受け取れた、と感じてくださったらぜひサポートをお願いします。大きな大きな励みになります。