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MIMIZUQ インタビュー
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MIMIZUQ インタビュー

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森 翼加入以来、着実に歩み続けているMIMIZUQ。
6月8日にはデジタルシングル『Child Room』をリリースし、
18日には渋谷PLEASURE PLEASUREで4周年記念となるワンマン
『MIMIZUQと時巡りの列車〜MONSTER GIRL in the Child Room〜』
を敢行する。
森 翼を迎えて1年、彼らがどれだけ成長し、
その世界を確かで豊かなものに育ててきたか、その目で確かめてほしい。
きっとこれまで知らなかった世界を見せてくれるはず。



●最近のライヴを観ていて、ロックバンド的な方向性を向いているのかと思っていたので、『Child Room』は新鮮でした。アレンジャーを入れて、デジタルサウンドに仕上げようというアイデアはどこから出て来たんですか。
AYA:ライヴとデジタルシングルとでは切り分けて考えてる気がする。これは、SNSとかでたまたま聴いてもらったりすることを考えたうえでのアレンジなんです。ライヴではちゃんとロックバンドとしてのスタイルでやるから、両方ある気がします。

●それは、音源だけれども盤ではないということも大きいんですか。
poco:めっちゃありますね。サブスクで出すものは、パッと耳に入った音の第一印象がどうかだけで判断されると思ったんで、そこに対応するサウンドにしたかったんです。我々は90年代の人間なんで、90年代ロックのアレンジを得意とすると思うんですけど、今の世の中のムーブメントは80年代を新しいモノだと感じているからから、シティポップのアレンジがいいんじゃないかと思って。80年代当時のシティポップを消化して、2020年代の音でやりたいという人が増えてるんですよ。
AYA:でも、僕がシティポップにアレンジすると、80年代のシティポップまんまになっちゃうんですよ。今の若い子は80年代から一周回った解釈をしてるから、そういう新しいシティポップにしてもらえないかと思って若い子にアレンジを頼むことにしました。
森 翼:音源としてどういうサウンドにしようかを考えたし、ライヴとは同じ曲でも切り分けてる感じがします。
seek:ここまで極端ではなかったですけど、「MONSER GIRL」もちょっと似たような感覚がありましたよね。生のストリングスとか、バンドとは違うエッセンスを上手く取り込んでいきたかったから。それが極端な感じになって、アレンジャーにお願いしてみようと。

●アレンジャーはどういう方なんですか。
AYA:MIMIZUQで姫路Betaに行ったときに知り合った人です。
seek:前の店長の三四郎さんに紹介してもらったんですけど、今の20代の音楽の作り方をしていて、僕らには姫路の血みたいなのが流れてるけど、そういうのとはまったく違ってたんですよ。それが面白くて。
AYA:打ち上げで話して仲良くなったんで、彼の音楽をYouTubeで聴いてたんですね。「Child Room」を音源にするとなったときに、合うかもと思って声をかけました。すごく上手くハマったなと思います。
seek:ここ数年、自分の引き出しを広げていきたいからでしょうけど、AYA君が若い子の血を欲しがってる感じがあるんですよ。
AYA:吸血鬼みたいやな(笑)。
 

今だからできる、“弾かない”音源制作

 ●制作としては、アレンジされたものをレコーディングする作業があったわけでもないそうですが。
AYA:レコーディングしたのは歌だけですね。

●変な言い方ですけど、バンドのレコーディングって、=弾くものじゃないですか。
seek:だから、二十歳のときやったら、こういうやり方は絶対イヤですって言ってたと思います。
AYA:絶対イヤですって。

●自分が弾かないことが受け入れられないんですね。
seek:あの頃はね。
poco:こんなのは自分の音じゃないっすって。

●それが今はこれが自分たちの音と言えるのは、どういうところが変わったからなんでしょう?
森 翼:大きく見てるんじゃないですか。これはAYAさんが作った曲やけど、「君の曲やね?」って言われたら、「はい」って言うし。そういう感覚かな。バンドの作品として、みんなで話し合って一番いい音を選んだら、たまたま今回は打ち込みを使ってみただけなんで。
AYA:でも、俺らがおかしいのかも。そもそも、ライヴで弾いてないときあるじゃないですか。

●確かに。
AYA:弾いてないと自分の曲じゃないとなると、辻褄がおかしくなるから。サポートギターが弾いてても自分の曲やし、ピアノの曲でも僕らの曲やし。

●そこにアレンジャーさんが加わっても、
poco:仲間が増えていいかなって思うだけですよね。

●レコーディングしないとなると、制作にはどんな風に関わっていったんですか。
seek:普段やる以上に細かいやりとりはしてたな。最初の形が出来上がってからもすごく長かった。poco先生から、「ここ、もうちょっとこういう風に詰めていったら」っていうのがあって。
AYA:ヴォーカルを録ってからもやりとりをしてたから。
poco:ひとつ目のミックスは自由にやっていただいて、それを聴いてもっとこうしたいと思う部分をリクエストしたんですね。やりとりするときに、言葉で音楽をするのにはコツがあって、何分何秒のここをこう思いますって言うだけで、パーン!って打ち返してくれて意思疎通できる場合と、言ってる意味がわかりませんってなるケースがあるんです。はじめましての人との作業ではその共通言語の構築が大切というか、言葉だけで通じないときは、サンプル音源とかYouTubeの映像とかを送ったりしてやりとりをするんですね。そうすると、自分のしたかったこととかほしかった音に自分自身も気づいたりするんですよ。

●そういう言葉とか具体例でのやりとりになるんですね。唯一レコーディングした歌はどうでしたか。
seek:歌ですら、素材録りに近い感じもあったね。とりあえず声を伸ばして歌っておいてください、とか。
森 翼:そもそも僕が聴いた「Child Room」は、バンドver.のと、ゲストヴォーカルが歌ってるのをライヴで聴いたのやって。バンドっぽいけど、おもちゃ箱をひっくり返したような音が鳴っていて、印象的やったんです。だから、こういう風に歌おうかなってイメージしてたんですけど、レコーディング直前に音があがってきたのを聴いたら、ガラッと違ってたから。
poco:ノリとかテンポ感もね。
森 翼:今までのMIMIZUQのレコーディングで一番難しかった曲ですね。自分を俯瞰で見ながら、どういう風にメロディで表現していくのかを考えて。これまでは、ライヴを想像しながら歌って、今まで自分がやってきたことを落とし込めたけど、今回は素材としても何パターンかくださいって言われたから、声色を変えてみたりとか、ブレスの位置を変えたりとか、細くしたり太くしたり。まだライヴで歌ったことがないので難しかったです。アレンジャーさんがディレクションしてくれてたんですけど、やばい、この注文に応えられへんかったらどうしよって思って、くらいついていきました。でも、いろんなver.で歌ったからこそ、個人的には新しい発見もあったし、ライヴでの自分の歌唱のイメージがわきやすくなってます。
 

少女との別れを悲しむおもちゃの気持ちを表すサウンド

●「ナミダミュージック」というコンセプトからは人の感情を感じることが多かったんですが、サウンドのせいかさらっとしている印象がありますよね。
seek:歌詞とかテーマ自体はナミダミュージックにある気がするんですけど、曲調自体はすごく無機質ですよね。
AYA:おもちゃやから。
森 翼:おもちゃ側の目線やから、いつもある脈打つような感じとは違うテイストですよね。
poco:歌うほうが捨てられてしまうおもちゃ側の立場やから。デジタルアレンジと相まって無機質なのかもしれないですね。
AYA:逆にこれまでは、むちゃくちゃライヴのラストっぽいアレンジにしてたから。
森 翼:だからなのかな、「Child Room」を歌ってるときに、「Grand Guignol」を歌ってるときの感覚を思い出しました。ファンの人とかといつまで一緒におれんのかわからないっていうのが、見限られたおもちゃの気持ちと重なって。でも、別れがきたとしても、おもちゃで遊んでた思い出とか事実は消えないものやし、そのおもちゃを一番のたからものやと思ってくれてたのも絶対ほんまやから。それが切ないんですよね。

●おもちゃ自身が、自分が大切にしてもらっていた時間があったことを振り返るような物語ですよね。
AYA:『トイストーリー3』を観て、こういうことが書きたいと思って書いたんです。あの終わり方は完璧やったし、あれを越える終わり方はないやろうなと思ってるから。主人公が大学生になって、おもちゃを捨てるか捨てへんか考える状況になったんですけど、最終的に小さい女の子におもちゃをあげて、万々歳になるんです。だから、もしかしたらもう少し前向きな終わり方をしたかったのかもしれないですね、おもちゃはまた新しい子どものところで遊ばれるからハッピーなんで。
poco:win-winの関係やね。
seek:急に大人な発言やな(笑)。

●時巡りの列車が進んでいくに連れて、登場人物の女の子も少し成長しているんでしょうか。
AYA:そうですね、その人の人生が窓に映ってるんですけど、「MONSTER GIRL」の少女がおもちゃを手放す年になったんですよね。そういう風に少しずつ時間が流れていくんです。
poco:次の年代になったら、きっとクラブで踊ってる(笑)。
seek:どういう成長をしていくかですね。新曲を作ってると、AYAプローデューサーさんからはこういう要素を盛り込んでくださいって言われてます。
poco:いくつぐらいの年代のこういうシーンを描きたいとか。
seek:こういう家族構成で、この人の目線で書いてくださいって。
AYA:伏線を張っておきたいんです。
poco:実はこのキャラが成長してこうなるとか。

●伏線が回収されてくわけですね。
seek:面白い作り方ですね。
 

MIMIZUQの世界が確かに存在するのを
その目で確かめてほしい

●6月18日のライヴは、「Child Room」がポイントになる内容なんでしょうか。
AYA:「MONSTER GIRL」と「Child Room」が軸になるんですけど、もう1個あるんですね、まだほかにも。
poco:ニヤニヤしてますよ。

●楽しみですね。
poco:さっき言おうかなと思ったんですけど、僕はMIMIZUQの音楽はもうナミダミュージックじゃないような気がしてきてるんです。翼君が入ってこのメンバーで1年やってきて、ナミダミュージックが進化してる気がするんです。それで、シアトリカルポップになったんじゃないかと。ナミダミュージックを根幹として、我々はファンタジーの世界で何かを演じてる、上映してるんじゃないかと思うんです。だから、涙が出ない曲もあるんじゃないのかな。劇場型で、演奏もせずにロックバンドにもこだわってないから、ポップスですよね。
森 翼:今まではナミダミュージックという液体で、すっとみんなの心に入っていくような音楽が多かったんですけど、液体から気体になって、包み込めるように、視野も音楽的にも広がったのはすごく感じます。
poco:初期にAYA君が、映画を観に行ってるような感じで聴く音楽としてナミダミュージックを作りたいと言ってたんですけど、翼君が入ってからライヴをしてるときは、ライヴの時間の間だけpocoがpocoとして生きてるみたいに、その世界があるみたいに感じるんです。その曲を演じてるというか、そこにはその世界がある、そういう気がする。自分が、「森に集合~!」とか言ってるうちに、みんなもそこに取り込まれたのかもしれないですけど、舞台というか世界があるんですよね。
seek:今までは、ナミダミュージックというのが主体やったと思うんですけど、活動していくうちにいろんなことがわかってきて、自分たちって何なんやろと思ったときに、シアトリカルポップというネーミングがちょうどいいのかなと。こないだの森フェス(5月20日@横浜mint hall)で、同じ翼君でもMIMIZUQの森 翼というものを明確に感じたんです。メイクをしてる意味とか動物のキャラクターがいる意味、ライヴが始まって終わるまでのシナリオとか、今までよりも自分たちをわかりやすく捉えられるようになってきたかなと感じてます。
poco:没入度が高いから。森 翼バンドはバンドで、MIMIZUQもバンドやのに全く異なるものでしたからね。どっちも歌ってるのは翼君やのに。

●6月18日はステージも大きいですし、さらにその世界を見せることができそうですね。
seek:今、ワクワクしてやってる感がありますね。自分たちがゼロからイチに作っているところなんですけど、それをすることにワクワクできてます。
poco:結構チャレンジングですよ、見せたことのないものをいっぱいやる予定です。やり慣れてるものは安心感があるじゃないですか。こういう風に盛り上がるなとか。だけど、出たとこ勝負なのがライヴなんで、それを楽しみたいですね。
seek:新しくチャレンジしてスライダーも投げれるようになったし、フォークも投げれるようになって、これは実戦でいけるんちゃうっていう感じがあるんですね。野球やったことないからわからんけど。
一同:(笑)
AYA:めっちゃ球が曲がった後のストレートはめちゃくちゃ速く見えるから(笑)。
poco:相乗効果で今まで持ってた球もよくなる。そうなんですよね、球種が増えてくるんですよね。四人が器用だし、四人でやると覚悟を決めてから、バランスが超いいです。

●この日のライヴはぜひとも観ておいていただきたいですね。
seek:いいライヴになるなっていう確信だけは見えてますから。はよライヴやりたいですね。
poco:このバンドがあってよかった~って思ってもらえたらいいですね。誰にとってもそういう瞬間はあるんじゃないですかね、もちろん僕らにとっても。

●翼さんとしては加入して一周年という記念日でもあります。
森 翼:三人でやってるあの会場でのライヴを観たときは、自分があのステージにおったらこうしてるかなとか想像してたんです。それがやっとステージに立ってできるから、ある意味僕の中でやっとMIMIZUQスタートぐらいの気持ちはあります。もちろんワンマンライヴとかを経たから満を持して言えることかもしれないけど、MIMIZUQのステージをあそこで観たときのいろんな想像をちゃんと超えるために準備してきたわけやし、今までのライヴとは比にならないぐらいワクワクしてます。


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ライター・村山幸が、「好き!」なバンド、ダンサー、詩人、歌人、画家などなどのインタビューをお届けします。 カルチャー・マガジン『アプレゲール』も発行中。通信販売はこちらhttp://apresmagazin.buyshop.jp/