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緊急事態に思うこと。ちょっと真面目に

2020.4.20. 杉本善徳 / Waive

もともと家に引きこもりがちやから(笑)、あんまりね、気分転換がほしいとかはないですね。でも、ちょっとしんどかったりすることはあるかな。ミュージシャンの多くもそうかもしんないですけど、当然先のことを考えて行動してるから、予定がズレたりとかはしていて。だから、回復したときのパターンと続くときのパターン、要はafterコロナとwithコロナと両方考えないといけないんですね。でも、その話をすると、afterコロナ派が結構多くて。自分はwith コロナ派なんで、え?、そんなことなくない?って思うんです。そうなると口には出さないけど、頭の中ではBパターンも考えとくかってなるから、それはしんどいかもしれないですね。

そういうズレを感じることは多いかも。この週末ぐらいは、みんな謎のバトンをいっぱい回したりしてましたよね(笑)。でも僕は、発信者なんだから己が考えることを発信していてほしいという思いがあって。不安に寄り添ってるふりをして、ポイントを稼いでくるんだなって感じちゃうんですよ。その辺が僕はね、ちょっとズレて感じてるところかもしれないです。いい悪いの話じゃないけどね。いろんな意味で、仕事もそうやし、友達付き合い、人間付き合い全てがそうかもしれないけど、整理されるというか、淘汰されるタイミングが来てるのかなって思うんですよ。

コロナって、リーマンショックとかバブルがはじけたとかと一緒で、“時代”っていうことなのかなと思うんです。時代の変化によって、物事は当たり前のように変化していきますよね。だから、人間との付き合い方だったり、仕事の仕方、あとは身近な我々のものであったらライヴハウスの在り方とか、ミュージシャンという職業の在り方とか、アーティストとかタレントの発信の仕方みたいなものの変革のタイミングにあるだけじゃないのかなと思ってます。

それはライヴハウスに対してもすごく思ってることですね。僕らの若い頃のライヴハウスって、たとえばデモテープと写真とプロフィールを持っていって、オーディションみたいなのを受けて出演が決まりましたよね。それが僕らの頃の当然のライヴハウスの文化で、それを経てライヴハウスのブッキング担当とやりとりをして、そのハコのアーティストみたいになるところがあった。ライヴハウス側もバンドを育てることに一生懸命でしたよね。

でも、徐々にそういう会場は少なくなっていったと思うし。どっちかというと、どの立地にどの広さの会場があるかとか、値段がいくらとかきれいかとか、そういう方向にどんどんなっていった。お金さえあればいい場所と設備であとは勝てると思っちゃってるのが、僕には怠慢な態度に見えてるところがあるんです。

それは時代の変化でそうなっただけで責める気は全くないけど、こういう時代がきて、新しい時代に淘汰されるライヴハウスがあるのは当然じゃないのかなと思ってるんですよ。これは変化なんだから。それなのに、クラウドファンディングを立ち上げて助けてくれってやってるのを見ると、いやいや本来助けてもらう相手は客じゃないし、アーティストと一緒にどうするかを話し合える関係を作ってないとダメなんじゃないかって思うんです。そういうところをしっかりと僕は組み立て直したい。僕は自分の経験から得た関係とか考えをしっかりと紡いでいきたいと思ってます。

たとえばライヴを配信するにしても、インフラから作ってどうやったら楽にできるか考えるとか、アーティストに対するマネタイズをどうするかとかを考えて、無理なく続けていく中でクオリティを追求していくほうが大事じゃないのかなとか。テレビにみんなが出たかったみたいに、配信をやるんだったらYouTubeって思うんじゃなくて、我々はこの自分たちの村でこういうやり方をするから楽しいよねとか、自分たちでお金を回し合えて幸せの循環ができてるよね、みたいなことがいいのかなって。そういうのを一緒に組めるライヴハウスの経営者とかシステム開発の人とかと話し合って、関わる人たちの満足度を上げたいと思うんですよね。

コロナと生きていくということを考えていかないとしかたがないと思うんです。病気って、そういうものだと思うから。今まで作ってきたものが変わっちゃうことでしょ?っていうだけだと思うんですね。だからかなり冷静に考えてると思います。慌てたところでわかんないもんねって。戦いようがないというか。だからそこで、解決法を持ってるわけでもない奴が寄り添おうとしてくるのが気持ち悪いんですよ。ファンのことをすごく考えるからこそ、ちゃんと知ってること、ちゃんと考えた上のことをすべきだと思ってるんです。

出すべきタイミングはわかんないけど、準備はいろいろしてますよ。今はひとまず5月6日まで待つべきかなと思うし。まぁ、それもわからないですけどね。先のことを考えるんやったら、AパターンとBパターンをちゃんと考えとかないと。Aパターンしか考えないで行動したら、ファンの子たちをガッカリさせちゃう可能性があるじゃないですか。だからいくつか、AとB、できたらCパターンまで考えておこうよみたいなことをやってるから、朝の写真とラーメンの写真をTwitterにのせてるだけの奴になってますけど(笑)。いろいろ考えてますよ。

編集長の日記
東京はまた雨。閉じこもっているのが閉じ込められているのか、わからなくなるようなお天気でした。
オンラインや電話取材も数をこなせばもちろん慣れていくわけで、自由に出歩けて話せるときがきたら、またわざわざ時間と場所を決めて取材するようになるのかな…と考えてみたりします。できたらそうしたいですけど。インタビューは空気も大事。

インタビューという形を通して、アーティストがSNSなどで直接届ける言葉には乗らない“何か”を届けられたらと、コツコツがんばっています。その“何か”を受け取れた、と感じてくださったらぜひサポートをお願いします。大きな大きな励みになります。