見出し画像

未散×KISAKI 対談

2000年代のヴィジュアル系を語るときに欠かせないLOOP ASH。今年20周年を迎えるこのレーベルを率いてきた未散と、彼の盟友であり、自身もMatina、UNDER CODE PRODUCTIONで数多くのバンドを育てたKISAKIによる対談を敢行。セッションバンドとして同じステージに立つ日が今から楽しみだ。

■古い付き合いのお二人ですが、ずっと連絡は取り合ってるんですか。
KISAKI:今は月1ぐらいでは連絡とってますね。
未散:生存確認じゃないですけど(笑)。
KISAKI:俺がバンドを休んでまた大阪に住むようになって、情報を聞くために電話したり。未散が体調を壊してからは、より頻繁に連絡してますね。
未散:やっぱり気にはしてますよねぇ。お互い、同じ時代を戦ってきた戦友というか。元気かな?って思うんですよ。

■未散さんは大きな病気もされたわけですしね。
未散:大動脈解離になりかかったのが2018年3月11日なんですけど、3月24日の朝に痛みに耐えられなくなって病院に行ったら、そのロビーで倒れましたねぇ。
KISAKI:未散が病気と闘ってるのは知ってましたけど、僕はエールを送ることしかできなかったです。
未散:今こうやって、会って話せるのは奇跡ですよねぇ。

■さらに、奇跡のようなセッションが決定していますが、KISAKIさんを誘ったのはいつなんですか。
未散:去年5月1日に手術の後遺症で感染症にかかり、また入院してたんですよ。いろんな方々がお見舞いに来てくれて、そこで、またステージに出ませんかみたいな話が出たんです。みんな年齢を重ねていくから、健康なうちに一緒にライヴをやっておきたいなと。それで、“来年(2020年)、LOOP ASHが20周年なんですけど、KISAKIさんに友情出演していただけないですかね”って、声をかけたんですよ。去年の6月ぐらいですねぇ。

■その話を聞いてKISAKIさんは?
KISAKI:僕としては、2018年にMIRAGE結成20周年で期間限定活動をして、僕のバンド活動25周年YEARを終えて、正直もう音楽活動はいいかなと思ってたんですよ。それは今も思ってます。でも、未散の話を聞いたときに、昔からの親友が誘ってくれるのを断る理由はないと思って。こういうスタンスでやってる俺でもいいんやったらって。何も決まってないからフリーだし、俺はいつでも空いてるから、何をするかだけ決めといてって言いました(笑)。

■KISAKIさんとしては、コンスタントに音楽をやってない状態でステージに立つことに対して、とまどいとか不安とか、そういう感情はありませんでしたか。
KISAKI:精神的にはフラットな感じなんですよ。じゃあ、未散のために俺が一肌脱ごうかなっていう感じですね。

■ちなみに楽器は触ってるんですか。
KISAKI:MIRAGEが終わってから1年間ぐらいは全く触ってなかったですね。その話が未散から来た後、ほかにもステージに立つ話がくるようになって来たんです。だから今は、こういうスタンスで音楽に携わっていくのもありなのかなと自分でも思ったりして、楽器も触ってます。去年は、椎名ひかりやいろんなアーティストに楽曲提供をしたりもしたので、100パーセント音楽から離れていたわけではないし。こういうスタンスで誘ってもらえることもあるんだし、無理にバンドというものにしがみつかなくてもいいのかなと感じたりしてますね。

■未散さんは、セッションのメンバーはどんな風に決めたんですか。
未散:一回目の入院して回復してきたときに、MASKのメンバーみんなが病院にお見舞いに来てくれたんですよ。“バンドをもう一回やりましょうよ”って言ってくれて、2019年3月3日にMASKをやることになったんですねぇ。それ以外にもいろんなアーティストの方々がお見舞いに来てくれたから、そのときに出会った方々をお誘いしようと思いました。Dのメンバーも来てくれたんですよ。KISAKIさんとRuizaさんは前に一緒にバンドをやってたから、これを機にまた一緒にステージに立ったらとか。みくさんも本当に自分のことを想ってくれたんで、そこにKISAKIさんが絡んだらミラクルが起きるかなと思ったり。Dのメンバーは3人がLOOP ASH出身で、2人がUNDER CODE PRODUCTIONなんですよね。HIROKIさんは自分が初めて組んだバンドのドラムだし。
KISAKI:僕の中では、LOOP ASH20周年のお祝いバンド的な感じ。Ruizaとステージに立つのも久々ですし、ヴォーカルがみく君っていうのもすごいですよね。ひとつのバンドとして、どんな風に成り立つんだろうと思ってます。『未散 最後の夏』という意味深なタイトルもついてるし、LOOP ASH 20周年を祝って、未散のために集まった人たちとみんなで楽しいイベントにできたらいいと思ってます。
未散:お客さんがハッピーで、自分もハッピーで、出てる人もハッピーであればそれでいいと思ってるんです。ビジネス的な観点ではあんまり考えてないです。最近のバンドはそういうのが多いんですよねぇ。でも、ギャラがいくらかとかそういうことじゃなくて、イベント全体がハッピーで、全てが楽しかったなって思えればいいんですよ。

レーベルを率いて一時代を築き上げた二人

■今年で、LOOP ASHを始めてから20年ということなんですか。
未散:2000年7月18日に設立したんです。ちょうどその日は会場が取れなかったので、7月24、25日になりました。

■最初のイベントのときは、もうお知り合いだったんですか。
KISAKI:そうですね。
未散:1998年のMIRAGE主催イベントに、L’yse:noreの時代に出させてもらってるんです。
KISAKI:浦和Narcissでね。そのときに未散からデモテープをもらったんですよ。それがすごく印象に残ってて注目し出したら、SHOXXの社長の人にL’yse:noreのワンマンに誘われて見に行って。そこから徐々に深くなっていった感じですね。

ここから先は

2,422字
この記事のみ ¥ 150

インタビューという形を通して、アーティストがSNSなどで直接届ける言葉には乗らない“何か”を届けられたらと、コツコツがんばっています。その“何か”を受け取れた、と感じてくださったらぜひサポートをお願いします。大きな大きな励みになります。