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ときをたびする目


ときの輪おさめ  

あまつ 満ち満ちたとしても

湧きあがる憧憬


暗く凍てつく 雪のやま

ひとがまだ 希少に 

とうとかったとき

あばら屋街に 身を寄せていたとしても
隠しもしない猥雑さに 身を浸していたとしても

わたしという世界の目に 

ひとは   ただいとおしかった


宙は広大すぎて

山々も 海も 

あまりに おおきく

わたしという存在を消しさらんばかりで

そのどこにも行き場なき 

旅するものの こころぼそさは

すべてを ただうつくしく  

かがやくものとして


みていた