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かりそめのまなざし 5.錆色雪景色




彼方、凍てついた銀の山脈が見ていた。

広大ながらんとした雪原を隔て、人たちは屑鉄を売り買いする錆色の集落に身を寄せていた。吸う空気すらも凍るこの地ゆえか、関節を錆びさせては扱う商品と似たように動きの無骨な者たちの集まりだった。

たどり着いたわたしはその色合いにどこか馴染めずに居心地悪く、隅から人々を見ていた。

寒さをしのぐ場もない。それでも、吐く白い息の先の 山々はただ美しく、なぜだかわたしは遥かなる地の哀しみのようなものを見た。