短編小説「夢現」

3/17日 7:00。

いつも通りの朝。
アラーム音が響く。

朝食も食べずに、家を出た。

信号待ち。横断歩道。
ふと携帯を見るとニュースが入っていた。

この横断歩道で交通事故があった。被害者は意識不明の重体とのこと。

最近交通事故多いなとどこか他人事に思いながら学校へ向かった。

学校でもその話題で持ちきり、なんでこの学校の生徒だったらしい。

先生から気をつけて帰るように言われ、家に帰った。


何故か交通事故が頭から離れなかった。


アラーム音が鳴り響く朝。
いつもより目覚めが悪かった。

朝食を食べずに家を出る。


信号待ち。横断歩道。
今日はいつもと雰囲気が違った。

疑問に思いながらも昨日のニュースを見よう。と携帯で探すがどこにも載っていなかった。

ん?なんか、おかしい。そう思った瞬間。

何かに手を引っ張られ、"ドン"とという音と共にベッドから落ちた。

夢を見ていたみたい。
でも引っ張られた時の手の温もり、感触が忘れられなかった。

今日何日かと携帯を見ると、3/17日。7:50。

どうやら日付感覚が狂っていたみたいだ。

遅刻寸前。
家を飛び出した。

横断歩道手前。

携帯を見る。8:05。

何とか間に合いそうだ。

学校に着き、携帯を見ると、ニュースが入っていた。

いつも使う反対側の横断歩道に車が突っ込んだ。
幸い横断歩道には誰もおらず怪我などをした人はいない。とのこと。

いつも通りに登校していたら、もしかしたら自分が事故にあっていたかも、、。
あの夢なのか現実なのか分からないが誰かが私を助けてくれたのかもしれない。

まあ、とりあえず寝坊して良かった。そう思った。

いつも通りの学校。
放課後。

あの時引っ張った手は一体誰の手だったんだろう。その人は事故のことを知っていたのだろうか。

そんな事を考えていたら、階段を踏み外した。

あ、やばい。

思わず目をつぶった。

その時手を引っ張られた。

「大丈夫??」

ありがとうございます。その一言が出てこなかった。

この人だ。夢の手と同じ感触だ。

「大丈夫そうだし。行くね。」

あ、「あの!!」

「ん?」

「2回も助けてくれてありがとうございました!」

意味が分からなくたっていい。ただただ伝えたかった。

その人は笑って言った。

「助けられてよかったよ」と。

なぜか涙がこぼれた。

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