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『INSPIRE 陰陽師』で思ったこと感じたこと

大晦日に『INSPIRE 陰陽師』を日生劇場で観てきました。
舞台を劇場で見るのが、そして人が人自身の体を使って表現されたものが私は好きだなと実感しました。

席は2階の半ばあたりでした。傾斜があるので舞台が綺麗に見渡せましたが、上から見下ろすため舞台と映像が視線上に並ばず、視覚的な没入感というのはあまり感じませんでした。
そのかわりに、ぽっかり空いた奈落から浮き上がってくる一条戻橋にわくわくしましたし、客席を覆う五芒星をみたときは、スケールの大きさにうわーっと興奮しましたね。

視線を遮るものがなく、広い舞台に立つ演者の佇まいや動きがはっきり見えたのも嬉しかったです。道隆に憑いた闇の蠢く腕が不気味なのに、笑う姿がどこか子どものようにみえて強く印象に残りました。
それと声が、蝉丸を演じる山本耕史さんの明るさを含んだ声や、芦野道隆を演じる田口トモロヲさんの纏わりつくような声。そして、うあー晴明様だ!となってしまった、大沢たかおさんの声が聞けてよかったなあと思います。

人の声には力があって、それは平安のときから今まで変わらないのではないか。
安倍晴明を演じられた大沢たかおさんの声は、そんなとても力強い声でした。

晴明様が唱える九字や呪を聞いたときに、強く物語の中へ迎え入れられるような大きな引力を感じました。印を結ぶ所作も好きだったなあ(学生時代の友人の影響で、晴明様は「様」付きがデフォルトになってます)

それから、晴明様のセリフで印象的だったのが「言葉に流行り廃りなどない」というもので、まっすぐに飛び込んできました。他愛ない言葉遊びのあとに続くのですが、それまでのほんわりした雰囲気が一変するくらいに力強く断言されて、励まされるような心持ちになりました。


物語の中では、平安時代と現代とを繋ぐひとびとの想いがもう少し、
平安の世で、月姫は兼家の後を追ったのだろうか、というのと
芦野道隆が闇に憑かれたのはどうしてかを、もう少し見たかったなと思います。

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