詩「ひとりがたり」

僕は
僕が僕だと 自信を持って言うことができない

細胞も記憶も感情も 朽ちては入れ替わる
僕を 僕だと証明するものは 何もない

生きながら流転する みじめで 愚かな 一個体

君と僕とに どれほどの違いがあるだろう
君は不確かで 何の証明もできないように思えるけれど
僕の方が 充分 不確かな存在ではないか

どうか 僕の体を引き裂いて
たとえ 僕が不確かでも
君が不確かでも
僕の中の君だけは 確かなものである はずなんだ


人は
何を忘れて 何を糧に 生きていくのだろう
何のために

理屈を並べて 言葉を飾ってみても
結局 思うことは単純なことなんだ

僕は君を忘れたくはない

読んでいただき、ありがとうございます。 良ければまたいらしてください。