また来ん春
また来ん春と人は言う
何を言おうか 早や春は
すでに私を追い越して
遠く届かぬ 夢の中
思えば桜の木の下で
君と出会った春の日に
花は俄に匂い立ち
世界は色づき息づいた
詰まらぬ話も 頷いて
笑顔をくれた 君は今
月の光の影の差す
森で息を潜めてる
この世の地獄というものを
なんにも知らぬ顔をして
また来ん春と 人は言う
また来ん春と 人は言う
追伸
中原中也氏の「また来ん春」という作品からのインスパイアのような形で書いてみました。タイトルはそのままお借りしました。
作中での作者の心情も踏まえ、織り交ぜながら…のつもりです。
七五調はリズミカルで読み返すと心地よいですね。
「春=決して手の届かない桃源郷」のようなイメージがあります。
読んでいただき、ありがとうございます。 良ければまたいらしてください。