2021年夏、日本が世界初で12-17歳のモデルナを承認した問題(海外実績の無い状態で)


NHKは2021月年7月19日、「アメリカの製薬会社モデルナの新型コロナウイルスのワクチンについて、厚生労働省は、接種が可能な年齢を現在の18歳以上から12歳以上に拡大することを決めました。」と報道

「厚生労働省は、ことし5月にモデルナのワクチンを承認した際、接種が可能な年齢を18歳以上に限っていましたが、その後、モデルナは、アメリカで12歳から17歳を対象に行った治験で有効性と安全性を確認したとして、厚生労働省に追加のデータを提出していました。」と続く。
つまり、「モデルナ社が厚労省に申請し、厚労省が承認した」という形になる。海外実績がこの時点で無いにも関わらず、である。
特例承認では、製薬会社が米国などに申請し、米国などが承認後使用し、その実績を伴って製薬会社が厚労省に申請し、承認されるという流れになる。ファイザーの小児用ワクチンはこの流れで特例承認されている。

「モデルナは日本以外でも接種年齢の拡大を求めていて、アメリカやEUでも対象年齢を12歳以上にする方向で審査が進められています。」とNHKの報道は続く。厚労省が決めた時点でアメリカやEUでは審査中であることが分かります(アメリカではその年齢にモデルナは心筋炎が多いなどの理由で現在でも審査を通過していません)
モデルナ社が厚労省に申請し、海外の使用を経ずに直接厚労省が世界初で承認したと言う流れが信じられないのである。

EUは2021年7月23日に12-17歳にモデルナを承認している。NHKの報道の後であるし、EUより承認日が1日でも後ならOKということではない。特例承認には「使用実績が」必要なのだ。
AUは9月4日である。

つまり、12-17歳にモデルナの使用を世界最初に決めて発表したのは日本である。これが信じられない事なのである。

特例承認制度とは



承認検討の専門部会で、海外で実績がないということを確認する発言があるので、仮に苦しい7/26だろうと、実績がないことは確認されているという証拠があるので、少なくとも海外での実践の要件は満たしていない

○事務局 事務局でございます。  実際に諸外国で12歳以上にまで拡大したというところまでは行っていないと認識しておりますが …

まずモデルナ社については、現時点でまだ12歳から17歳の接種が世界的にも進んでおりませんので…

薬事承認には、既存の製品の一部変更を承認する、一部変更承認というものがある。販売名、有効成分、分量、の変更は同一性が失われるので一部変更承認は不可である。
厚労省が12-17歳モデルナを一部変更承認したのかと思ったが、今回はそれですら無い、単なる添付文書の大臣年齢の書き換え、だという説がある。

この理屈で言うと、今後、例えば60歳以上の高齢者限定の薬でも、新たに12歳の小学生に対して臨床試験や海外使用実績が一切なくても、実質的に添付文書変更のみで承認出来てしまうことになる。これは議論せずに放置して良い事案では無い。

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