宮崎に若者が残らず、戻ってこない理由は何なのか?

一つ前の記事で現職の知事在任期間に出来上がった人口ピラミッドがあまりにひどすぎる、ということを書きました。

宮崎県に生まれて、宮崎に愛着が全くないわけでもないであろう若者が宮崎に残らず、その後宮崎に戻ってこない理由は何なのか?ということが、色々と議論はされていますが、どれも色々とピント外れな議論が繰り返されていると感じています。

私は、その理由は案外シンプルなのではないかと思っています。それは
「宮崎に安心して働ける大企業が極めて少ない」
ということです。

中小企業庁が公開している、2016年の都道府県別の大企業、中小企業従業者数の統計があり、これによると、大企業従業者比率は鳥取県が 5.7%と極めて低い数字で最下位ですが、宮崎は6.9%でそれに次ぐ低い水準です。

181130kigyou2.pdf (meti.go.jp)

このデータによると、大企業従業者比率は
東京が58.7%
東京・神奈川・埼玉・千葉の通勤圏を合計して50%弱
大阪 33.1%
大阪、兵庫、京都、奈良の通勤圏を合計して 27.5%程度

こう言うデータと比較すると、いかに宮崎県に経営基盤の安定性の高い企業が少ないかということがわかります。

このデータで個人的にショックだったのは、島根県よりも大企業従業者比率が少ないことだったのですが、これはどうやら県庁所在地に原子力発電所があることが影響しているようですから、流石にそういう政策は望んではいないですから、納得しましたが。

それでも、雪深くて産業があまりないイメージもあった秋田や青森などの東北の各県より低い水準であったことは相当にショックなデータです。

先日、宮崎の公務員にボーナスが支給されたというニュースが流れましたが、その際に宮崎県の県職員は1万9千人程度いるということが記載されていますが、2016年時点の上記データを見ると、宮崎県全体で大企業に分類される企業で従事している人が1万8千人強しかおらず、県職員よりも少ないというひどい状況です。

公務員に冬のボーナス 宮崎県職員約1万9千人に総額143億5900万円余りが支給 | MRTニュース | MRT宮崎放送 (tbs.co.jp)

このデータは2016年のデータで、2021年の国勢調査データの集計は来年に出てくると思いますが、その間、金融機関などの大企業の宮崎からの支店撤退・統廃合なども多くありましたから、この数字は更に減ってくるであろうと予想しています。

つまり、現職の知事や、その間政権にあり続けた自民党の政権は、まともな地方の産業政策を行っていないということがわかります。自民党・公明党はどちらかといえば中小企業経営者の支援者が多い政党ですから、大企業の従業者を増やす方向の政策は選挙戦略的にも行わないでしょう。

かと言って、左派系の 共産党、社民党、立憲民主党などが大企業を宮崎に増やすことを訴えているかというと、そうではないわけです。彼らの街宣車の主張を聞いてみると「大企業は内部留保をため過ぎだ」「消費税を廃止して、大企業に課税を強化しろ」など言う、経営や経済を全く理解していないポピュリズム主張していて、まともな地方産業政策もないわけです。そして、宮崎の田舎で、イデオロギーを叫び続けて、絶望すら感じます。

宮崎のメディアの特集などを見てみると、「中小企業の魅力を伝える」というような記事が踊りますが、はっきり言って、中小企業であること自体が魅力がないんです。多くの宮崎で生まれ育ったまだ何者でもない若者にとって、自分の人生を預けてもよいと思えるのは中小企業ではないから、宮崎に残らないのです。

宮崎の大企業従業者比率が低いのは、レベルの高い中小企業経営者が多いから中小企業が多いからわけではありません。大企業が少ないから、結果として少なくなっているだけです。むしろ、中小企業経営者のレベルも公務員の中小企業支援のレベルも低い(全都道府県の中でも最低レベル)と言わざるを得ない状況でしょう。

宮崎には、この場所でこの会社でやっていけるという実感を持ちながら働ける大企業が必要だと考えます。


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