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パレスチナの人々はイギリスの歴史的・道義的責任を追及する ―浮桟橋での物資搬入よりも停戦と物資輸送の正常化を求めるPFLP

 ガザ攻撃への反戦運動の盛り上がりに応える目的もあって、バイデン政権はガザに浮桟橋をつくり、そこから物資を搬入し、ガザ住民に人道支援を行おうとしている。残念ながらこのバイデン政権の取り組みは本末転倒していると言わざるを得ない。物資搬入以前にこれ以上の犠牲者を出さないために、イスラエルに停戦圧力をかけなければならないだろう。この浮桟橋を通じて、イギリス軍もガザに上陸する可能性もあるが、これに対してPFLP(パレスチナ人民解放戦線)は、イギリス軍はその正当な攻撃目標になるという声明を出し、下のように述べている。

イギリスの三枚舌外交 https://solver-story.com/?p=1776


 「パレスチナ人は1917年にイギリスがバルフォア宣言を出し、シオニスト国家の創設に貢献したという重大な犯罪を忘れることはないだろう。またイギリスはシオニストの占領やその継続を支援している。パレスチナ人に物資を提供したいならばイスラエルの侵略を止めさせ、ガザへの封鎖を解き、パレスチナ人の管理の下にガザ地区の公式の境界を通過して支援物資が搬入できるようにイスラエルに圧力をかけなければならない」

ガザのPFLPの女性兵士 https://www.palestinechronicle.com/men-women-fighters-and-che-guevara-banners-socialists-of-gaza-take-center-stage-photos/


 これは冒頭に述べたように、浮桟橋を使って物資を輸送することよりもまず停戦、それから封鎖解除、パレスチナ人の主権の回復と言っているようであり、まったく正論のように思う。

 PFLPは現在、ハマスほどの政治力、軍事力はないが、かつてはPLO(パレスチナ解放機構)の中の武闘派として知られ、1968年にイスラエルのエル・アル航空をハイジャックし、旅客の解放と引き換えにイスラエルに服役しているパレスチナ人の囚人たちの解放を実現したが、これ以降、PFLPなどパレスチナ・コマンドはイスラエルや欧米の飛行機をハイジャックするようになった。

PFLPによる旅客機爆破 1970年9月 https://en.wikipedia.org/wiki/Dawson%27s_Field_hijackings


 PFLPによるハイジャック作戦は1970年にピークに達する。PFLPは、そのメンバーが釈放されなければ、ハイジャックしてヨルダン・アンマンの空港に強制着陸させた3機の旅客機を爆破すると警告し、その通りに実行した。この事件は、ヨルダン国内におけるパレスチナ・コマンドの活動が自国の安全に影響を及ぼすことを危惧したフセイン国王にパレスチナ・コマンドを軍事的に排除する方針を決断させ、パレスチナ・コマンドとヨルダン政府軍との戦闘になった。結局、パレスチナ・コマンドたちはヨルダンからレバノンに活動の場を移していった(=黒い9月事件)。この「黒い9月」と名乗るグループが1972年のミュンヘン・オリンピック事件を起こした。

 またPFLPは日本赤軍とも連携し、重信房子氏はレバノン滞在中、PFLPの広報誌「アル・ハダフ(目標)」でPFLPの幹部・編集長で、作家のガッサーン・カナファーニー氏(1972年にベイルートで自動車に仕掛けられた爆弾で爆殺された。イスラエルによるものとされる。葬儀には7万の人々が追悼した。)とともに活動していた。

重信房子さんとガッサーン・カナファーニー氏 https://twitter.com/_DareToWin/status/1484030254448615427


 今回のPFLPの声明はパレスチナの人々が第一次世界大戦中のイギリスの「三枚舌外交」を決して忘れていないことを印象づけるものだ。イギリスのアラブ支配は、この地域の混乱や紛争を招いてきた。その種子は、第一次世界大戦中のイギリスによる「三枚舌外交」にある。イギリスはアラブ地域に矛盾するフサイン・マクマホン協定、サイクス・ピコ協定、バルフォア宣言という国際的約束を行ったが、特にバルフォア宣言は、当時パレスチナの人口の9割を構成するアラブ人に民族自決権を与えるものではなく、人口の10%にすぎなかったユダヤ人に民族自決権を認めたものだった。それが現在ガザ地区の人々を殺害するイスラエルによる国家創設の重要な根拠となった。

 イギリスがもしパレスチナ問題に道義的責任を真摯に感じるならば、パレスチナ和平に本気に打ち込み、パレスチナ・イスラエルの二国家共存を実現するための最大限の努力を払うべきだろう。

表紙の画像は、南カリフォルニア大学では教職員がガザでのジェノサイドに抗議
https://newsroom.iium.edu.my/index.php/2024/04/29/the-initial-gaza-solidarity-occupation-at-usc-and-the-aftermath-as-it-happened/


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