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ガンジーの「志を継ぐ者たち」とガンジーのシオニズム批判
12月18日にオンエアされた「映像の世紀 バタフライエフェクト」は「塩の行進 ガンジーの志を継ぐ者たち」と題してガンジーの非暴力の志を受け継いだキング牧師、フィリピンのベニグノ・アキノ氏、ミャンマーのスー・チー女史などが取り上げられた。
「ガンジーこそ世紀の偉人だ 人が破壊的な本性から抜け出す道を示した」 ―スティーブ・ジョブズ
「私たちはガンジーの精神にのっとって行動するよう努力すべきです 暴力に訴える代わりに 悪には一切加担しないという方法で」 ―アインシュタイン
「私の心を動かしたのは塩の行進だった 長い間探し求めてきた社会変革の手段を 私はガンジーの中に発見した」 ―キング牧師 (いずれの発言も番組より)
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ガンジーの非暴力主義はロシアの文豪トルストイに影響された。トルストイの平和主義は彼がオスマン帝国とのクリミア戦争(1853~56年)に将校として従軍し、悲惨な戦闘を体験したことによってさらに発展した。南アフリカで人種差別に対する抗議活動をしていた若きガンジーに宛てた書簡でトルストイは、「『無抵抗』と呼ばれていることは、愛の法則に他ならないということです。愛は人間の生活の最高にして唯一の法則であり、このことは誰でも心の奥底で感じていることです。私たちは子供の中にそれを一番明瞭に見出します。愛の法則はひとたび『抵抗』という名のもとでの暴力が認められると無価値となり、そこには権力という法則だけが存在します。」と語っている。
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19100907
1907年に日本の小説家の徳富蘆花(1868~1927年)がトルストイ宅に5日間滞在した時、トルストイは「土を耕し他の力に頼ることなく生活するものが国の力である。ロシアの国力は兵力ではない。その鍬(くわ)である。私がロシアを愛し、信じるのはそのためである」と話す。
イスラム世界の人々が日本を称賛してきたのは、「日本の国力は軍事力ではない、その経済力・技術力である」という点においてだろう。
ガンジーは、「暴力は何も解決しません。愛、お互いを信頼する心、理性が問題を解決します。みんなが共存することが大事なのです」と語り、サティヤーグラハ(真理の把握)運動を推進した。この「真理の把握」に、ガンジーは非暴力抵抗運動という意味を込めるようになった。
「平和は自分の内面にあり、周囲の状況に左右されない」-ガンジー
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ガンジーは、自らが抵抗するイギリス植民地主義が支援したシオニズム運動(ユダヤ人の国家をパレスチナに建設する運動)をどう見ていただろうか。ガンジーは1938年に高名なユダヤ人哲学者マルティン・ブーバーから、ヨーロッパで迫害されるユダヤ人を助ける意味でもシオニズムを支持してほしいと頼まれるが、「同情によって正義を曇らせることはできない」とそれを断り、ブーバーとの対話の中で次のように述べている。
「ユダヤ人の民族郷土を求める声は私の心に訴えるものがない。彼らは聖書と、執拗なパレスチナ帰還という民族的願望により、他者の土地での民族郷土設立を正当化する。しかし、自分が生まれ暮らしている国を自分の郷土とする民族はいくらでもいる。なぜ彼らも同じようにしないのか?」(イラン・パペ〔脇浜義明・訳〕『イスラエルに関する十の神話』法政大学出版局、2018年)
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真の平和は、たとえば中村哲医師がアフガニスタンで用水路を築いて田畑を増やして人々の食を支え、またモスクを建設するなど異文化を理解しようとしたように、他者との対話や相互理解、また人々の民生を安定させる姿勢によってこそつくられる。中村医師がアフガニスタンで活動していたのと同じ時期、米軍は軍事一辺倒で「テロリスト」を殺害することが平和をもたらすと考えていたが、結局米軍が撤退するまでタリバンとの戦闘は継続し、アフガニスタンに平和はやって来なかった。日本はガンジーや中村医師のように、アメリカの軍事力に頼るのではない非暴力の方法で平和を築くことを考えるべきだろう。
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