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夏の風物詩

とうとう梅雨入りしましたね。
ジメジメが苦手なローション宮田です

みなさん四季の中で1番好きなのはなんですか?
私はダントツで【夏】なんですよね。
逆に、冬は嫌いです。寒いのはホント無理。
今日も麻雀打ってたら、冷房の風が直に当たる席だったので、凍えそうになっていました。

さて、【夏】と言えば何を連想しますか?
お盆休み? 海? かき氷?
いやいや、肝試しでしょ!

そんなわけで、本当にあった怖い話でもしようかな。
怖いのが苦手な方は閲覧注意ですので。。。



あまりにも安い家賃


今から22年前になりますか。
フリー雀荘デビューをして、麻雀に明け暮れていた時です。
その頃、1つ年下の女の子と付き合っていました。
彼女は高校3年生で、卒業したら同棲すると常々言われ、正直悩んでました。

当時の私は会社の寮に住んでいて、彼女はもちろん、友達すら部外者なので呼ぶ事が出来ませんでした。
1DKで、寮費は光熱費含め5000円と格安。

常に金欠だった私は、家賃で何万円も出すのが勿体無くて仕方なかったのです。
2人で住むなら2DKは欲しかった。
いく東京都下でも、ここら辺の相場は6〜8万にもなる。
12倍から16倍ですよ?
貯金もない中で家具も最低限揃えないとだし、敷金・礼金やらその他諸々かかりますし。

卒業後も、それらの理由で先延ばしにしてました。
同棲が嫌だったわけじゃないですよ?

そんな中、突如鳴り響く電話。
めちゃくちゃ良い物件を見つけたから、直ぐに見に行こう!内見の予約も取ったとの事。
聞けば2LDKで家賃25000円の駅から徒歩7分。

は?なにそれ?
そんな物件あんの?安すぎないか?
絶対訳ありやん…

不安しかないが、毎日色々なサイトで探してたので無下には出来ない。
行くだけ行ってみるか。

事故物件


いざ当日になり、渋々内見へ。
不動産屋の営業さんがとにかく明るくて話し上手。
そして部屋もめちゃくちゃキレイ。
コンクリートの壁は塗り替えられていて、台所や風呂場、トイレは全て新品に取り替えられてる。

その時点で私は不安を隠し切れずにいたが、彼女はもうノリノリ。
今すぐ契約しますって言いそうな雰囲気。
意を決して私は聞いた。

「あのぉ…これで25000円て…安すぎですよね?」

「いつ聞かれるかと思ってました。実は、前の住人の方が…3人家族だったのですが、離婚されて父親だけ残って住んでたみたいで…ちなみに~倒れてた場所はここで~〇因は~」
いい加減やめてくれ。想像しちゃうだろ…

あぁ…俗に言う【事故物件】だな。
しかも細かく言い過ぎだ。今なら個人情報で訴えられる案件だぞ?

私は《霊感》は無い。変な違和感は感じた事はあるが、見た事は無い。
幽霊に関しては、否定も肯定もしないタイプの私だったが

ここは無理だろ…と断ろうとした時だった。

「だからお得なんですね~!これだけキレイなら私全然気にしないので契約しま~す」

え?ウソでしょ?
せめて1日は考えさせてと彼女を制止し、次の日まで契約は待ってもらう事に。

その夜
「やっぱり安いのはわかるけど事故物件は無理だよ…他を気長に探そうよ.…」

「駅近でこんな安い物件は2度とないよ?今逃したらいつ住めるかわからないよ?怖い?」

「幽霊って見た事ないから怖いとかじゃないけどさぁ…さすがにねぇ…」

そして、ここで【伝家の宝刀】のおでましだ。

「色々と理由付けてるけど、一緒に住みたくないだけなんでしょ。もぅやだぁ…ひどい…」
と3種の神器の1つ、【涙】まで出してきた。
これにはお手上げの私は、次の日契約を結んだのであった。
翌週に引越しを済ませ、3人の同棲が始まるのだった。

静寂を切り裂く音

いざ住んでみると、初日・2日目、さらには1週間と特に何か起こる事もなかった。たまに感じる違和感を除いては。。。

私1人の稼ぎでは養って行く事は難しく、彼女は駅前のパチンコ屋で働き始めた。
早番にしなよと言ったが、時給が良いからと夜番だった。帰りはだいたい0時前後だ。

私が22時過ぎに帰宅し、1人でご飯をチンしてテレビを見ていた時だった。

(ピンポーン…ピンポーン)

チャイムが2回鳴った。
こんな時間に??

玄関の覗き穴を見ても誰もいない。
怖いのでチェーンを掛けて、ドアを開けてみるが反応がない。

角部屋で廊下の1番奥。誰かが通ると台所の窓に人影がうつる作りなのだが、気配がなかった。
勇気を出してチェーンを外し、外に出るが誰もいない。

新手のピンポンダッシュか…と思い込むようにして、また飯を食べ始めた。


しばらくすると階段から部屋に向かって来る足音が聞こえてきた。
彼女が帰って来たか、と思い台所の窓を見ると、身長があからさまに彼女とは違う!!
10cm、いや15cmは高い人影。

ガチャガチャ、と鍵を開け扉を開こうとしている。

ヤバいヤバいヤバい!!

恐怖と緊張で足はガクガク。
とっさに手に取ったのは、壁に掛かってたハンガー。
開かれた扉から出て来たのは、紛れもない、彼女だった。

「今日15cmの厚底ブーツ買っちゃったーてへっ」

怒る気も失せ、布団に潜り込んだのだが、よくよく考えるとピンポンはなんだったのだろうか。


その後も、不思議な現象は起こり続ける。
玄関横の靴箱の上に置いといた物が風呂場にある。寝室で寝てると、隣の部屋のテレビが夜中に付くなど。
そして、2.3日に1回、決まって夜中の3時前に(ピンポーン)となるのだ。
なお彼女は爆睡してるのか、聞こえた事がないと言う。しばらくそんな日常が続いていたのだった。


遂にその時はやってきた


その日は、彼女が職場の飲み会で遅くなる日だった。
1人宴会と称し、ピザをデリバリーし、ビールで流し込む。
そして買ったばかりのゲームを楽しんでいた。
腹も膨れ、酔いも良い感じ。
もー少ししたらセーブして寝ようかと思っていた時だった。

やけに後ろから視線を感じる。
誰かが覗いているんじゃないか?
もしかして飲み会が早く終わり、こっそり驚かせようとしてるのか。
恐る恐る振り返ると

誰もいない。

気のせいか…

(こりゃ飲みすぎだな…)

セーブして寝ようと画面を見ると、ローディング中で画面は真っ暗。

ん?  

んん?

何か違和感がする。

なんかモヤモヤした影が写ってる。
画面越しに誰かが入口に立っているじゃないか!!

「うわぁぁぁぁ」
志村けんのバカ殿みたいな叫び声をあげ、振り返ると誰もいない。

その時ふと内見で話した事を思い出してしまった。

「倒れてた場所はここで~」

人影が立ってた所だ。

もう無理だな。
セーブもせず電源を消し、財布とケータイを手に取り家を後にした。
彼女の帰宅を家の近くのコンビニで待ちながら、どーしたものかと考えていた。
さすがに今日は戻りたくないな。

1時過ぎに合流し経緯を話すが、酔っているためか

「気のせいだよ~オバケ出たら3人で飲み直そう~」

なんて豪気な奴だ。もしくはただのバカかもしれん。
なんとか説得し、その日は駅前のホテルに泊まったのだった。

興奮なのか恐怖か。全く眠れず夜が明けて、ようやくウトウトし始めたらケータイが鳴った。

「〇〇不動産です。大変申し訳ないのですが、隣の方から騒音の苦情が入りまして…」

「あぁ、すいません。ゲームの音とか大きかったですかね。ちなみにいつの話しですか?」

「昨日の夜中みたいですね~3時前後って言ってたかな?ゲームってよりは、ドタバタ走ってるみたいな音らしいですが」

「えぇ!?はぁ…すいません、以後気をつけます」
と電話を切る。

もしかしてオバケじゃなく泥棒だったのか?
どちらか好きな方を選べと言われたら、後者だ。
だって我が家には金目の物はないから。

彼女も
「泥棒だったら可哀想だね~取る物ないし~」
ケラケラと笑っている。
あぁ、この子は豪快なアホなんだと感じた。

家に着き、恐る恐る中を見てみると、出て来た時と全く変わらずの部屋。
荒らされた形跡もない。

オバケだったか

そう考えていた時、ポストにストンと何かが入った。
珍しい、誰宛の手紙だろう?

手に取り宛名を見て、なんとも言えない感覚になった。
前入居者(父親)宛の裁判所からの手紙だった。

もちろん中身は見れないので内容はわからないが、自〇をする原因なのかも、勝手に想像を膨らませた。

そしてその夜、人生初の金縛りになったのだった。
ろくに寝れなかったせいか、ソファーでテレビを見ながら寝てしまったのだ。

ソファーの周りを走り回る音で目が覚めた。
意識はハッキリしているが、目も開かないし、声も出せない。指1本すら動かせない。
顔を覗き込む気配がする。5センチほどしか離れてない感じ。
試してもらえばわかるが、目を閉じ真っ暗でも、目の前に何かあるとわかる。

(もうダメだ…)
そう思った瞬間、微かに声が出せた。
振り絞るように彼女の名前を呼ぶと、寝室から飛び起きて来てくれた。
半泣き状態の私に
「ソファーで寝るのが悪いんだよ。布団で寝なさい」
なぜか怒られた。

仄暗いポストの中から

それから、私は1人で家に居る事が嫌になり、彼女が帰宅するまで毎日時間を潰すようになる。
麻雀だったり、パチンコだったり、満喫だったり。

楽しい事で紛らわす為だったが、のめり込み過ぎて彼女の帰宅よりも遅くなる。

次第にそれは加速していき、平日は朝方着替えだけしに帰宅して仕事に向かう。
休日は前日から夜通し遊び、日曜日の夜中に帰ってくる生活になってしまっていた。

お盆休みや年末年始の休みは、【麻雀合宿】と名付け、千葉県に泊まり込みで打ちに行っていた。

そんな事が続けば、彼女の気持ちも冷めるのは当たり前だろう。

今思えば最後通告だっただろう電話が、麻雀中に掛かってきた。

「そろそろ…結婚しない?」

「うん、いいよ。この半荘終わったら帰るから。明日指輪でも買いに行こうか」

「絶対だよ。待ってるからね」

電話を切りラス半を伝えるが、仲の良い常連やメンバーが煽ってくる。

「まさか負け越して帰るわけないよなぁ〜。負け犬でええんかー?」

そんな事を言われて大人しく引き下がるほど大人ではなかった私は、そのまま次の日までアツ続行してしまったのである。

(やっちまったなぁ…)

なんとか機嫌を取らないとヤバいと思い、指輪を購入し帰宅した。
夕方過ぎに家に着くが誰も居ない。
彼女は今日仕事だったっけ?と思いながらも、疲れていた私は、また、ソファーで寝てしまうのだった。

例のごとく、金縛りでふと目が覚めると、時間は午前4時。
彼女はまだ帰宅していない。
さすがにおかしいと思い、電話をするが繋がらない。
事故か事件か…
探しに行こうと着替えをした時、もの凄い違和感を感じた。

家の中の荷物があからさまに少ない。
彼女の洋服も多少残っていたが、大半が無くなっている。
(実家にでも泊まり行ったのかな)

そんな事を考えていると、玄関の方で音がしたような気がした。

まさか…

急いで玄関のポストを開けると、そこには鍵と手紙が入っていた。

こうして、私の恋は終わりを告げた。

親や友人からは、100%お前が悪いと言われまくったが、私は違うと思った。

原因は





2人の生活が妬ましく思った【幽霊】のせいだったのではないだろうか。

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