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滑り止め大作戦。

そういえば、「阪神21年ぶりの優勝」「日航機墜落」「ドラゴンボールアニメ放映スタート」「カール・ルイス四冠」等々色々盛り沢山な出来事これら全部中学生の頃だったんですねぇ。
記憶って結構曖昧で、何十年も経つと「あの時とこの時が同じ時期やったんやなぁ…」てことたくさんありますよねぇ。

で、この頃に受験戦争もあったわけですな。(笑)

高校受験て、まあ大抵の生徒はいわゆる「滑り止め」を受けるじゃないですか。国公立と私立の二校は受けますよね。最低でも二校。しかも、第二次ベビーブーム世代の私達が受けるわけですから、「倍率ハンパねー!」わけですよ。なので「滑り止め」は必須だったんですよね。
ですけれども、我が家には先立つモノがありませんでした。なので当然一発勝負しか方法が無かったのです。
しかし、実は私は高校に行くつもりは全くなく、早く働きたかったので母親にはその旨を伝えてました。ただ母親としてはどうしても私に高校へ行って欲しかったので、とにかくレベルが低くても何でも、公立しか選べなくても「受験しなさい」と言われました。

三者面談の時も担任から「今どき高校に行かないというのはねぇ…金銭面のこともあるかもしれませんが、ねぇお母さん」なんかそんな風なことを言われ、結局また「母親が困るのか…」と受験することに決めたのです。ちなみにこの時点での成績は、学年360人中200番くらいで確か偏差値も50前後だったと思います。3年生の秋だったかな。

さあ、いざ受けるとなると色々考えねばなりません。どの高校を受けるのか。しかも、絶対ミス出来ないミッションです。滑り止めなどありません。一発勝負です。

ですが、私は考えました。落ちると中学浪人を余儀なくされそうな雰囲気でしたので、なんとかそれだけは避けたい。でも試験は一度だけ。そう一度しかないのです。……一度………………一度?「…待てよ、私立限定せんかったらエエんとちゃうか?」

どういうことかお分かりですか?要するにチャンスを増やせばいいと考えたのです。「どこでもエエから、高校に受かりさえすれば誰も文句言わんやろ!」
合格の確率を上げるにはやっぱり受験回数を増やすこと。→でも、お金がないから私立は不可能。→それなら公立二回受ければいい!!

どうです、若干14歳の私は考えましたよ。公立を二回受ける方法を見つけましたよ。しかも、ちゃんと受験日が重ならず受けられる方法を。

私は急いで母と担任に伝えました。しかし…

担任「う~ん…出来んことはないけど、う~ん…」
母親「…」
私 「やります。絶対やるから受けさせてください!」
担任「わかった。出来るだけのことはする。でもあと3ヶ月しかないことをしっかり肝に命じてせなアカンぞ。」
私 「勿論!」
母親「…」

私が考案した作戦は、「特選入試」です。これを一回目に受けて、これがダメなら「一般入試」に挑戦という方法です。
「一般入試」よりもレベルの高い「特選入試」を滑り止めにしたのです。バカでしょ(笑)
でも、確率だけ考えたら倍ですからね。二回受けられるので(笑)

で、「特選入試」で選んだ科目は英語でした。なぜなら、英語・数学しか無かったので、最も嫌いな数学は避けました。そしたら英語が得意だったのかというと、全くダメでした。数学よりマシなだけで、全科目の中で下から二番目でしたから。当時の英語の学年順位は360人中280くらいでしたからね。普通に考えたら、とても「特選入試」なんか受けられるレベルでなかったのです。そら担任も悩むわ(笑)
それでも、英語だけ勉強すればよいので、英語一点集中でよいので何とかなると思ったのです。

受験資格をゲットするには一ヶ月後の申請時に、ある程度の順位・偏差値レベルになってなければいけませんでした。まずはここの突破を目指します。この日から、英語以外の全ての教科を忘れました。ただひたすらに英語だけ勉強しました。この世に生まれて、こんなに物事に集中したことは無かったです。
NHKの基礎英語、続基礎英語を毎日チェックしました。学校の帰りに本屋さんで手当たり次第、参考書や過去試験をあさり買いました。
一ヶ月後の学校のテスト結果は学年120位まで上がりました。そして、受験資格をゲットしました。
しかし、これではまだ本番は受かりません。せめて30以内には入らないと…でもあと二ヶ月しかない。

頑張りました。更に頑張りました。
毎日毎日、来る日も来る日も頑張りました。
そして、本番前の最後のテストで40位近くまで順位を上げました。残り三週間足らず。

そして、試験当日を迎えます。
筆記、ヒアリング、英語での会話テスト、面接の四項目だったように記憶してます。そして、自分なりには良い手応えだったので、発表までの数日間もそんなに苦ではなかったです。しかし…

しっかり落ちました(笑) 流石に三ヶ月では巻き返せませんでした。
数日後、担任が「お前面接で何喋った?」と聞いてきたので「なんでですか?」と返すと、「お前たぶん面接で落ちてる、テストの点数はクリアしてる。」と。
ま、どこまで本当かは分かりませんが、点数は良かったみたいです。さて、どんな面接だったか…

面接官 「なぜこの高校の英語特進を選んだのですか?」
私   「滑り止めが受けられないからです」

面接官 「将来何を目指してるのですか?」
私   「料理人です」

なんかこんなやり取りだったのですが、これがダメだったみたいです。担任曰く、「馬鹿正直に答えすぎや、通訳やるとかなんとか言わんか。しかも滑り止めって…」と呆れられました(笑)

こうして、私の滑り止め大作戦は見事失敗に終わりました。

ホント正直者が生き辛い世の中ですね(笑)


I'm still honest man…

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