右の頬
バトンがすぐにまわってくる。
交換日記という名のマガジンの話だ。
自分の順番が来て「やっべ、何か書かなきゃ」と思うがままにダーッと書いて、ポーンと公開ボタンを押してホッとしたのも束の間。翌日には五月雨式に新規投稿を知らせるメールが届き、マガジンを開くと僕以外のメンバーの3人がしっかり記事を上げている。
「おいおい、マジかよ。ペース早すぎだって…」
感情が顔に出る性分なので、右の頬が引きつった苦笑いをしてしまう。
たぶん交換「日記」というくらいだから、みんなその日にあったことを書いているのだと思う。だから光の速さで記事があがるんじゃないかという仮説。
それならばと今日のことを振り返ってみる。
午前中は娘と図書館に行って本を4冊借りてきた。午後は本屋に行って本を2冊買った。というわけで目の前には6冊の未読の本が積みあがっている。
借りてきた本は返却期限があるので先に読んだ方がいい気がする。でも買ってきた本はお金を出して買うくらいだから、今すぐに読みたい。本というのは、家に持ち帰ってきた時がもっとも読みたいモチベーションが高いものだ。さてどうしたものか。
とりあえず図書館から借りてきた1冊を手に取り読み始めてみる。
ビジネス書なので要点だけを拾い読みしたら、167ページの本を15分で読み終えた。この調子なら図書館で借りたビジネス書はさっさと片づけられそうだ。次の本も、その次の本も、それぞれ30分くらいで読み終えた。
残り3冊は作家違いのエッセイだ。
一気に読まないといけないものでもないので、並行して少しずつ読むことにした。それぞれのもくじをサッと眺めて、興味がわいたものから2~3篇ずつ読む。つまみ食いのような感じだが、それがかえっておもしろい。
このマガジンも同じような感じなのかもしれない、と思った。それぞれの日常が垣間見える交換日記。つまみ食いはお行儀が悪いのかもしれないけど、なかなか幸せなつまみ食いなんじゃないだろうか。
なるほど、こんな感じの日記ならサクサクっと書けるね。
めでたくノルマ達成。
でも明日か、明後日の夜にはまた「おいおい、マジかよ…」ってなってるんだと思うと、右の頬が引きつる気がした。
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