日々のこと 0728
バスの中で、小さい子どもが「私が押すんだったのにー!!」と泣き叫ぶ光景を見たことがある。
『次とまります』の降車ボタンを押したかったのに、ママが押しちゃった! ということらしい。お母さんが「ごめんごめん、今度ね」となだめても「今が良かった!」と怒り泣く子ども。
ちびっ子あるある。でも私自身も身に覚えがある。よくわかる。どうしようもないことを、取り返しがつかないことを諦められず、怒ったり泣いたり。子どもの頃はよくあった気がする。
そのタイミングでどうしても自分がそれをしたかった。その場で言い出せなかったり、勧められてもやらなかったりしたことを、後になって「本当はやりたかった!」と言い出す。二度とできないという事実が、余計に感情を行き場なくさせる。そして周囲を困らせる。
今はもう大人だから、泣きわめいたりしない。「仕方ない、残念」で済ませる。なんなら「その降車ボタンを押さなかった代わりに見えたこと」みたいな別の価値も見出す。「またの機会に押せばいい」と思える。
でも本当は別の機会なんてない。その日、その時、そのタイミングでしかできないこと。似た何かではなく、それじゃないとダメなこともある。他の誰かではなく私が、今どうしようもなく押したかった。ものすごく。
大人だから、そういう気持ちの名前も知っている。
「わがまま」っていう。
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