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日々のこと 202108#2

8月〇日
おちびが少し前から、左目だけ涙を流している。昨年、同じ左目が突然白濁したことがあり、心配になる。「猫 目 涙」で検索したら「猫が涙を流すのは悲しいからではありません」と書いてあった。いや、いくら私でもそれくらいは分かる…。一応病院へ連れていく。結膜炎との診断。目薬をもらって帰る。

8月〇日
気になっていたお掃除ロボットをついに導入。豪邸で使うものかと思っていたが、じんましんが一向に治らないし、これを機に使ってみることに。一番安いやつにもかかわらず、想像以上に有能でびっくり。じんましんはともかく、掃除機として本当に便利。でも、おちびは突如現れた天敵に全身の毛を逆立てて威嚇。こんな姿を初めて見た。君もそんなんできるんだね。キャットタワーのてっぺんに避難し、安全地帯から威嚇している。早く仲良くなってほしい。

8月〇日
『ドライブ・マイ・カー』濱口監督のインタビュー。『寝ても覚めても』以来なので2年ぶり。カンヌ、ベルリン、ベネチアと三大映画祭フルハウス的な大活躍、今や巨匠監督に。…と思いきや、ご本人はあまり変わってない感じで面白かった。昨年春ここに書いたミニシアターのインタビューを読んでいただいたこと、そしてミニシアター・エイドを立ち上げてくださったことのお礼が、ようやく直接言えた。

8月〇日
おちびの目薬。毎日つかまえて点眼するのが一苦労。しかしおちびの良いところは、捕獲されてイヤなことをされても直後にニャーンと甘えてすり寄って来るところ。相変わらず私のことが好きな様子。人を恨まない。罪だけ憎んで人を憎まず。つくづく人間ができた猫だ。

8月〇日
『孤狼の血』の宣伝にいらした滝藤さんに一日取材。朝から晩まで分刻みの移動で大忙しだったけど、滝藤さん、プロ俳優。あちこち現場ごとに写真も撮りつつ、終わるたびに急いで原稿を書き、どんどん送る作業も初めてで緊張感あって楽しかった。舞台挨拶の後そのままシネコンの別室で原稿を書くなんて初めて。会社を辞めてフリーになって以降、逆に大人数のプロジェクトチームで動く機会が増えたのは面白いなと思う。

8月〇日
通院している皮膚科へ。小さい町医者のくせに、やたら大人気で混みまくり。開院3分後に着いたのに「今日の診療受付は終了です」と受付の人。そんなことって~と食い下がったら、ネット予約もできることを教えてもらう。先に言ってよね。気を取り直し、次の日は定刻ジャストにアクセスしたらすでに受付終了の表示。チケットぴあか。ワクチン予約か。やはり開院前から実直に並ぶしかないようだ。病院があく30分前から並び、ようやく番号を取る。

8月〇日
フジロックを配信でいくつか視聴。本当にこの日を目指してきたような爆発的なライブが多くて満喫した。この状況下、引き裂かれる思いを綴った出演者の文章もいくつか読んだ。私は映画のインタビュー記事など書いているが「いま映画館なんて」と思う人もいるだろう。規模の大小なんて個人感覚だ。許容ラインは人によって違う。正解、不正解はない。個人の判断だけがある。私も人の行動を見ていて理解できないと思うことがままある。この一年半、いろんな人が丸わかりになった。きっと私も丸見えなんだと思う。

8月〇日
『シュシュシュの娘』で入江監督が精力的に頑張っておられるので応援に。入江さんは忙しい中でも嫌な顔をまったく見せず、全てに迅速対応しているのがすごい。経験上思うけど、忙しい人ほどメールやラインの返しが速い。つまり判断と行動が速いのだ。先を見越した即断即決。仕事できるマン。

8月〇日
ワクチン接種へ。打った後の待機時間、待合室のテレビでキムタクと松たか子の古いドラマが再放送で流れていた。懐かしくて見入る。ワクチンの予約方式から考えても、ここにいる人はだいたい同世代。ということは、皆この大ヒットドラマを知っている世代。キムタクの部屋でソファに並んで座っている二人。さっきまで憎まれ口を叩いていた松たか子が、キムタクの肩にコトンと頭を預けてスヤスヤ寝始める。「んだよ、もう…」と舌打ちしつつ、そーっとたか子の手中にあるコップを外して後ろ手にソファの脇へ置き、かけている眼鏡も外してあげて、たか子の寝顔を見つめるキムタク。突然ウーンと動いてキムタクをビクッとさせ、再び眠りに落ちていくたか子。安堵して次の動きを逡巡するキムタク……という、長ーいワンカットを、ワクチンを終えたみんなで息を詰めて見つめる待合室。なんて楽しいんだ。

8月〇日
ワクチン副反応は、打った日の夜に37.7度まで発熱。翌日と翌々日はずっとそれ以下の微熱。ズキズキ痛くて動かせなかった腕は、翌々日にはだいぶ楽になった。そろそろ熱も収まるんだろう。その他の症状もなくて楽ちん。なんかふわふわしているし、アイスは普段より美味しいし、音楽はキラキラ音符が輝いて聞こえるし、微熱生活を満喫中。原因も終息も把握している微熱ほど楽しいものはないなと思う。病気は先が分からないから不安になる。不安だと孤独になる。不安も孤独も一切ない微熱生活、最高に楽しい。

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