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【詩】空腹

薄くグレーがかったあなたの顔を
よく見たいなぁと
頭を枕に預けながら思う

少し俯き手元を見ていたあなたが
安心したような
それでいて迫り上がる熱を堪えるような
潤んだ視線でこちらを向く

きっとあなたには始まりで
私にとっては終わりで

やっとお腹を満たす時が来たと
大きな口で咀嚼するあなた

とても満足気で
美味しそうで

そんな無邪気な表情を
モヤがかかる意識の中で眺める

また終わってしまう

将来を語る時は鋭い口調も
今では少しの不安と揺らぐプライドで
情けなく私に語りかけ

外では緩く解けそうな手も
今では懇願するかのように
思いの丈で締め付けられる

衝撃に反射して飛び出す発声の
間を縫って絞り出す
嫌だ
まだ
もう少し
は届く間もなく

また終わってしまう

もう満腹だと倒れ込む背中
手のひらで汗を感じながら

私の腹に空いた穴から
聞こえる疼き

『お腹が空いた』

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