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仕事中の一休みやランチの過ごし方が仕事の生産性に影響する!?

自己紹介

ベターオプションズ代表取締役の宮中大介と申します。メンタルヘルスや組織開発関連ビジネスの開発支援、人事・健康経営関連のデータ分析に従事しています。株式会社ベターオプションズ:


はじめに

10月に入り、秋めいてきました。9月、10月は休日も多く、休日に趣味、観光、行楽を楽しんでリフレッシュしている人も多いと思います。

近年、働く人のメンタルヘルスの分野では、いかに働き方に加えて、いかに休むか、も注目されています。そこで、今回は最新の研究成果をもとに、どのような休み方が望ましいのかを考えてみたいと思います。

睡眠と仕事の合間の一休み

まず、睡眠と仕事の合間の一休みがその日のワーク・エンゲージメント(従業員が仕事にいきいきと取り組んでいる状態)にどう影響するのかを調べたKunelら(2016)による研究(https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/1359432X.2016.1269750)を紹介します。この研究は100人程度の民間企業の従業員を、5営業日追跡して行われました。毎日ランチ前、終業時に就業時の2回調査が実施され、ランチ前の調査では前日の睡眠の長さや質、ランチ前の一休みがあったかを調査し、終業時にはランチ後の一休みがあったか、その日のワークエンゲイジメントについて調査しています。

なお、この研究での「一休み」の定義は、私用の電話をする、コーヒーを取りに行く、タバコを吸う、散歩をする、ニュースサイトを見る等の数分程度の仕事の中断とされていました。

分析の結果、分かったことは、 午後の一休みを取っている、睡眠の質が良いとその日のワークエンゲージメントが高かったということです。

つまり、しっかり満足のいく睡眠を取るということと、午後に一息入れるということが仕事にいきいき打ち込むことに繋がることを示唆していると言えます。睡眠の重要性は言わずもがなですが、職場として間断なく仕事をするよりも、一息入れる行為を許容した方が生産性の高い仕事につながると言えそうです。

ランチの過ごし方

次の研究は、ランチ休憩の過ごし方と疲労の関係を調べたTrougakosら(2013)による研究(https://journals.aom.org/doi/10.5465/amj.2011.1072#:~:text=Lunch%20break%20autonomy%20will%20moderate,fatigue%20when%20autonomy%20is%20high.)です。

この研究は大学職員100名程度を10営業日追跡して実施され、期間中毎日アンケートをして研究対象者のランチの過ごし方と疲労度を調査しました。ランチの過ごし方は、ランチにのんびりしたか、ランチ中に仕事をしたか、ランチ中に他人と関わって過ごしたかを調査しています。研究対象となった大学職員の疲労度については同僚に評価してもらった結果を利用しています。

この研究では、ランチにリラックスできるほど疲労度が低いことが分かりました。また、ランチに仕事をしたり、他人と過ごした場合に、疲労度が高かったことが分かりました。心理学的にもランチに他人と過ごすことは人とのつながりを感じることやストレス解消になるためプラスという考え方と、人と関わることで疲労度が増すという考え方がありましたが、本研究では後者が指示された結果となっています。

さらに、ランチ時間を自由に活用できるかどうかという度合いを考慮すると非常に興味深い結果が得られました。ランチ時間を自由に使えるかどうかの自由度が低い場合には、ランチに人と過ごしたり、仕事をして過ごすと疲労度が高く、リラックスして過ごすと疲労度が低いという結果になっていました。そもそも、ランチ時間を自由に使えるかどうかの自由度が高いことが重要と言えそうです。

職場によっては、毎日事実上全員参加でランチに出かける場合もあると思います。チームビルディングの観点からは望ましいとも言えますが、半ば強制のようになってしまうと、従業員にはマイナスに働くと言えそうです。全員ランチの日は金曜日といった形で決めて、それ以外のランチは従業員の任意に過ごせる雰囲気を醸成するのが、チームビルディング的にも従業員の疲労度低減のためにも良いかもしれません。

なお、ランチ時間を自由に使えるかどうかの自由度が低い場合に仕事をしてランチを過ごすと疲労度が高いという結果からは、何故かランチの時間帯に電話番をさせられるためデスクでの食事となってしまう、急な仕事をランチ前に依頼されるためランチを落ち着いて食べられないといった状態が望ましくないのは言うまでもありません。

終わりに

法律上は労働基準法等の労働法令により休憩時間などが定められていますが、これらは労働者の健康確保という観点から定められたもので、労働者の生産性を高める視点ではありません。職場においても、今回の研究等を参考に、仕事中の一息や、ランチの過ごし方を見直してみると良いかもしれません。

以 上

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