見出し画像

自分の腎臓を見る(診る)=腎臓ドック

「腎臓は身体のどこにあるのでしょうか?」と質問を受けて、「このあたりですよ」と腰のあたりを示すと、多くの方が「えっ!こんなところに?後ろ?」とおっしゃいます。
腎臓については、自分で見たことも触ったこともないのが当然ですね。
かくいう、腎臓専門医の院長も、自分の腎臓をこの目で直視したことはありません(体内を直視できない=もちろん、エコーでは見えますが)。

そのため病気が進行し、腎臓病単独でも、糖尿病に伴う病気(糖尿病性腎症)などでも、だいぶ悪化してから腎臓内科医と初めて出会う患者さんが少なくありません。
駆け出しの腎臓内科医だった頃、「もう透析になるので、あとはよろしく」的な、はがき1枚の診療情報提供書を受け取り、病院の外来でその患者さんを初めて診察したとき、透析不可避の事実を知って、とても落胆されていたのが思い出されます。
「ああ、そういえば健診で腎臓が何とかって、言われていた。でも(前医では)まだ大丈夫って、言われていたんですが・・・」

慢性腎臓病(CKD)の診断と治療は世界的に発展し、その原因は多岐に渡りますが、腎臓の働き(機能)を血液検査だけでかなり正確につかめるようになりました。(eGFR=推算糸球体濾過量で実力値を表す)
けれども、自分の腎臓を見たことがなければ、「ああ、この腎臓を大切にしなきゃ!」という意欲がわきにくいのではないでしょうか。

当院では"腎臓を正確に見たい・診たい"という目的で、GE社の高性能エコー(超音波)機器を導入しています。
すでに診察時には、患者さんと一緒に画面を見ながら、腎臓をリアルタイムで描出しながら「この部位でオシッコが出来ていて」とか「血液は十分に届いていますね」などをお伝えしています。
腎臓がどれほど黙々と働いて、体内の恒常性を維持し、老廃物の除去など重要な任務をこなしているかを、エコー検査中に共有できるわけです。

当院は保険診療に加えて、いずれ自費メニューとしての「腎臓ドック」も準備するつもりです。
「腎臓ドック」では保険診療で同時に測定しきれない血液・尿検査や、動脈硬化検査などをまとめて実施し、"究極の身体浄化機関"でもある腎臓の元気さを知ることができます。

まだ開院して間もない小さなクリニックですが、腎臓内科でもあるからこそ、やるべき任務が待っていると思っております。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?