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エンド・クレジット

高校生の時ジョン・ウィリアムズのCDを何度も何度も聴いていた。
中でもやっぱりジュラシックパークのエンド・クレジットがかっこよくて大好きで、今でも聴くと泣きそうになる。
よっぽど映画に感動してたのかなと思い返していると、そういえば昔こんなことがあったのを思い出した。

吹奏楽部で私は副部長をしていた。
部長は小柄なホルン吹きで、明るく天真爛漫で何を食べて育てばそんなかわいらしくなれるの?と思うほど小動物のように愛くるしい友人。
一時期、指揮者の不在や方向性の違い・人間関係などで部の雰囲気がちょっとギクシャクして分裂しそうだったことがある。

私はそれぞれ個々に話をして、どの意見もわかるからどうしよう…と、人の感情を受け止めすぎて動けなくなってしまうようなタイプだったけど、
彼女は「大丈夫なんとかなるよー!」と前向きにあっけらかんとしていて、
ホルンの技術も抜群に上手く、嫌味なく有無を言わさずみんなを引っ張っていく力があった。
"部長"ってやっぱりこういうタイプなんだなぁとすごく憧れた。

放課後、楽器を洗いながら
「自分は指揮もできないし楽譜もまともに読めない、演奏は下手だしみんなを引っ張る力もなくて何もできない…。あの子がいないときに代わりなんて務められないのに、こんな私が副部長をしてていいのやろうか」
と考えこんでいると、小さな体の彼女のいったいどこからそんなかっこいい音が出てるのかとびっくりするような音色で、ジュラシックパークのエンド・クレジットが聴こえてきた。
その姿がとても素敵で頼もしくて輝いていた。

外見も楽器も旋律パートも性格も役職も違う。
同じにはなれないし、ならなくていいんだと思った。
自分はチューバで縁の下の力持ち。
部のために私にできることをして部長を支えよう、と感じた記憶がある。

「一人一人と話をしてその人の気持ちに寄り添えるのはミヤにしかできないこと。ガス抜きをしてくれてることがとても助かってる」と言ってくれたのは本当に嬉しかった。
できないこともたくさんあるけど、自分には自分の役割がちゃんとあるんだなと思った。
そうやって私は少しずつ、みんなにつくっていってもらっている。

そういう青春時代の感動とも重なって涙腺にくるんだろうなぁ、と思う。

ハリーポッターのテーマやパイレーツオブカリビアンも吹いてくれた


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