「いつ書いてるの?」とよく聞かれるので、ここに回答。

最近、お会いする人たちから頻繁に聞かれるのです。
「みやもとさん、いったい、いつ書いてるの…?」と。
「ちゃんと寝てるの?」と真面目に心配してくださる方もいて、「寝てます。毎日6時間は寝ないと動けないんです」と正直に答えると、ますます不思議そうな顔をされる。

おそらく、このように聞かれる理由は、
私が関わった企画ほぼすべての記事についてSNSで報告をしているから(これにはいくつかの理由があるのだけど、それはあらためての機会に)。
かと思えば、いろんなところに出没したり、遊んだり、とある場所で店番したりとフラフラとした行動も見せているから、「いったい、いつ書いてるの…?」という疑問が沸くのだと想像する。

フリーランスのライターとして、原稿を量産するための黄金習慣があるとしたら、私のほうが知りたい。
というのが本音だけれど、毎度のように聞かれているのに、のらりくらりとマトモに答えようともしないのは、なんだか「不誠実」な気がしてきた。
(例えば、私は自分が「そのキレイの秘密を知りたい」と思った女性から「美容?特に何もやっていないのよ〜」と答えられた時には、心底ガッカリする。「あれもこれもやって、コレなの!」と正直に実践を公開してくれる人のほうが、ずっと親切で誠実ではないですか)

大前提として、私は決して原稿を早くたくさん書ける達人ではないのだけれど、
だからこそ日々心がけて定着した習慣(現時点)を、自分のために整理しようと思うに至った。まとめてみたら3つくらい。
よかったら、いろいろ試してみたい時の参考にしてください。

<たくさん書くための習慣 その1>
座れる1人時間は、すべて「書く」に充てる。

自宅で、カフェで、待ち合わせ場所のソファで、いつでもどこでも「15分以上、1人で落ち着いて座れる時間」を見つけたら、私はカチカチ書いている。
使える時間のボリュームによって、2000字の原稿1本に挑む場合もあれば、「プロフィール文だけ」「キャプションだけ」と小分けすることもある。
原稿資料をいくつか持ち歩いていて、その時々で取りかかりやすいものを選ぶようにしている。

相棒の道具は、iPad。いつでもどこでも連れて行く、私の必需品。
画面カバーにもなる純正のキーボードも付けている。
パッと開くだけで起動するのが“隙間時間の活用”にピッタリで、膝の上にバッグを置いて台にすればちょうどいい高さになる。
「次の予定まで30分あるな」と思ったら、座れる場所を確保してカチカチカチ…と打っている。

「書く時間を確保したい」という理由だけで、快速ではなくあえて各駅停車の電車に乗ることもある。
自宅の最寄り駅が、都心へ向かう始発駅であることもラッキー。
端の席に座れたら、隣の人に肘が当たらないように体の向きを微調整して、カチカチカチ…。
誰もが「1分でも移動時間を短縮したい」と生きているこの都会で、「どうぞお先に。私は各停電車で帰ります」とニコニコしている宮本を見かけたら、何かセッパ詰まった原稿を抱えているのだとご理解ください。

<たくさん書くための習慣 その2>
取材音声の起こしはプロに依頼する。

書くことは体力を消耗する。
実際、たくさん書いた後は、腕や肩や首が痛くなる。脳からシューと湯気が立つような疲労感がある。
書くためのエネルギーは、できるだけ“本番”のために効率よく使いたい。

だから、原稿を書く前のステップとなる「音声起こし」は、自分でやらないのが基本。
ありがたいことに、私が日頃お付き合いしている版元のほとんどは、音声起こしを提携するプロに依頼してくださるので助かっている。諸事情で版元にお願いできない場合には、私が自腹で外注している。その分、実入りは減ってしまうけれど、それでも出す価値のあるコストだと思っている。

音声起こしも、その質によって原稿の内容に影響する。料理でいうと、しっかりとした“下ごしらえ”をされた素材を整えるプロに出会えるかどうかは、重要な要素だと思っている。
私は信頼できる素晴らしい人を自力で発掘することができ、その方に定期的にお願いしている。

音声起こしが納品されたら、テキストとして起こされた取材内容を読み返し、構成を練る。
出力した紙に赤ペンで線を引っ張ったり、キーワードやロジックの図解をメモしたりという、超アナログな作業をしているわけだけれど、
構成を練る時間には、紙とペンを持って“手を動かす”ことがいいような気がする。
この手を動かす構成の作業には、だいたい「立っている時間(ちょっとした待ち時間や、移動中の電車で席が埋まっている時など)」を充てることが多い。
うまく表現できないけれど、心の状態がちょうどいいのだ。

<たくさん書くための習慣 その3>
ちゃんと寝る。運動もするぞ。

書く仕事というと、夜型の印象を持たれがちだけど、
やっぱり体に無理をかけるのはサステナブルではない。
睡眠時間を削ってまで頑張った後は、明らかにパフォーマンスが下がる日が続くのでよろしくない。

かといって朝型を決め込んでいるわけでもない。
「静かな早朝に集中して書こう!」と決めた時期もあったけれど、「早起きして仕事をする日に限って、子どもも早く目を覚ます」というあるある法則によって、計画は破綻。
今は「パターンを決め込み過ぎず、その日のノリで一番集中できる時間帯にやる」というゆるいルールにしている。

大事なのは、自分の調子の変化に敏感になること。
「筆が進まなくなったら素直に休む」ほうが、眠りかけの脳に鞭打つよりも、ずっといい結果になるのだとわかってきた。
(そのためには、余裕ある納期スケジュールを組まないといけません。いろいろな関係各位、いつもお許しくださってありがとうございます)

さらに、40歳を過ぎてからは、「体力を維持する重要性」を実感する日々。
雑誌編集者時代、担当させていただいていた大御所漫画家が、いくつもの連載を抱えながらも「毎日、ジムに行って数時間過ごす」というルーティンを死守していたのが印象的だった。
最近お会いしたアラフィフの作家さんも、やはり「ヨガを10年以上続けている。集中力も上がった」とおっしゃっていた。
日頃の取材でいろんな業界の経営者に話を聴いていても、体を鍛える習慣を意識的につくっている人はとても多い。

影響を受けやすい私は、張り切ってヨガスタジオの会員になりました。
たしかに体を動かした後の24時間のほうが筆が乗る気がするから、続けていこうと思っている。


以上。
今のところ、思いつくのはこんな回答でした。

ただし、まだまだ研究中ですので、皆さんの知恵も絶賛募集中。
今度お会いした時には、私からもおたずねさせてください。
「いつ、書いてるの?」と。

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