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発酵がおもしろい。

前にも書いた、イタリア発酵界の第一人者、カルロ・ネスラーさん。彼の、ヘーゼルナッツで作るお味噌はめちゃおいしい、という話。

そのカルロさんに、ついに会いに行ってきた話を記事にした。彼に会いに行くために、そして記事を書くために、遅まきながら発酵について少し真面目に勉強してみた。世界的発酵の第一人者と言われるSandor Ellix Katzの『The Art of Fermentation 発酵の技法』を読んでみたりして。これが面白い!

この本はカルロさんがまだ世に出る前に、イタリア語訳を担当したという本でもある。翻訳で稼ぎたかったというより、発酵についての知識を身につけるため、しかもお金を稼ぎながら、的な感じで請け負った仕事だったそうだ。

約450ページにわたって世界各地の発酵食品についての作り方、発酵の基本概念、文化的な意味などなどがびっしり。自分でザワークラウトを作るとなぜいいのか、買ってきたものとどう違うのか、その意味や、現代の食システムとの関わりなんかも語られている。

発酵とは何のために?

取材したカルロさんは、

「発酵とは太古の時代からある食品保存のテクニックで、人類と同じぐらい古いものなんだ。最近、やたら発酵ブームでいろいろと自家製する人も増えているみたいだね。でも昔は食料が手に入らない季節に備えて、野菜や肉や魚を、発酵させることで栄養価を高くして保存するための、重要だけど当たり前の技術だった。身近なところをよく考えれば、現在でも発酵はあちこちに溢れているよ」。
パン、チーズ、サラミ、酢、野菜の漬物などなど、言われてみればたしかに、世界の食卓は発酵食品に溢れている。(QJWebの記事より抜粋)

と言っていた。そうか。食材を保存するための手段だったんだ。キムチやザワークラウトや味噌や塩麹など、私も発酵食品を自家製するけれど、それはそのレシピありきで、それが食べたいから作るのであって、何かを保存するために発酵食品にする、という発想はしたことがなかった。

そんなわけで、畑にやたらといっぱいできて、毎年持て余しているズッキーニを漬けてみることにした。『発酵の技法』に書いてあることを参考に、自分の頭の中にあるいろいろなレシピを適当にミックス。イメージは水キムチ。

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↑右は発酵中の塩麹(玄米麹使用)
作り方は

ーズッキーニを薄く輪切りにする
ー保存瓶に入れて水をひたひたに注ぐ。
ー全体の重さを測り、2%の塩を加える。
ー昆布ひとかけ、ペペロンチーノ1本も放り込む。
ー蓋を緩めにして室温20度のキッチンにおいたら、2日目に微かな泡が上がってきた。かき混ぜてさらにもう1日。液体が白くなったのでできあがり。冷蔵庫へ。

何日経っても歯応えはシャキシャキ、甘しょっぱくておいしい。液体もおいしい。乳酸菌があるはずだから、お腹にもいいはず。今までの私だったら、大量のズッキーニはカルピオーネ(イタリア風南蛮漬け)かラタトゥイユにしていたけど、それは日が経つほどに味が落ちていく。

さて、今週QJWebに書いたカルロさんの記事はこちら。1回目。

そして2回目。

読んでくださってありがとうございました。




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