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食べるのが早い女の子が好き

好きなタイプは?

そう聞かれたら「食べるのが早い子」と答える。

一見おとなしそうな女の子が、お皿をパパッと持ち替えてぺろりと完食してしまう様子を見るとグッときてしまう。

中学生の頃、給食は前後左右の5〜6人が班になって向かい合うように食べていた。

ある時の給食で、私の向かいに座っていた女の子が、噛んでいるのか不安になるほどパクパクとご飯を口に運んでいた。

私はそれをチラッと見てはスープを飲み、なんかいいなぁと思っていた。

その女の子は、目がぱっちりしていて笑えば八重歯がとってもチャーミングな子だった。

私の消しゴムを奪い取っては細かくちぎったり、ペンを胸元のポケットに入れたりイタズラをしてきたことも、今思えば肘を小突きたくなるくらい羨ましい思い出だ。

もう今は何を話していたのか覚えていない。
でも、楽しかったことは覚えている。

「男女の友情って成立するじゃん」

その女の子と話したことがある。

しかし、今思えば私の方は間違いなく好きだった。

こんな文章を恥ずかしげもなく書けるなんて、ダサいなぁと思う。

大人になってからは、その女の子と連絡を取れなくなっていた。今は何をしているのかもわからない。

日常は変わっていないようで少しずつ変わっている。変わったばかりの頃は気が付かず、後になって実感するばかりだ。そして実感した頃に寂しさや悲しさが押し寄せてくる。


好きなタイプ=好きだった人の特徴じゃないだろうか。

こっそり誰かに抱いていた好意を別の誰かに向けて昇華するように、人の心は上手く作られているのではないだろうか。

もし私の前の席に女の子がいて、ぺろりとお椀を空にしてしまったら『Love so sweet』が流れるだろう。

私はこの呪い(嵐に失礼)をしばらく解けそうにない。

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