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映画『デリシャスパーティプリキュア 夢みるお子さまランチ!』鑑賞メモ;お子様ランチ≒キッズアニメ

『デリシャスパーティプリキュア』劇場版を見てきました。 
子供たちをとりこむ夢のテーマパークの風情には、ほんのわずかにクレヨンしんちゃん映画がコワくなる時のようなコワさが混じってた感。

さて、注目点はやはり劇中のキーというかメインモチーフとなる「お子様ランチ」になるわけですが。

ここでいう「お子様ランチを食べる」は「キッズアニメを見る」と抽象レベルで結べるものになっていて、まさに今このときプリキュア映画を大人のおっさん1人で見に来た自分について内省させられましたよ!笑

「子供たちは大人になるためにお子様ランチ(キッズ作品)を卒業しないといけないのか?」
「大人はお子様ランチ(キッズ作品)を嗜んではいけないのか?」

に対して

「場合によるけど、これは"全年齢"作品だよ。人が喜ぶかぎりにおいて大人も子供もないよ」

と親切に言ってもらうような着地点だったのはありがたいやら恐縮するやら。さすが20年近くも続いてるシリーズ、懐が深い。

……という線からケットシーさんを見立てると、例えるなら「子供の頃に感動的なキッズアニメを見た影響で大人になって業界に入るもプロジェクト上のイザコザに巻き込まれて嫌気がさした若手クリエイター」という趣。せ、せちがらいのじゃー。

あとは……あれだな、意地でもコメコメを健気かわいくするぞ! という執念が伝わる映画でもあります。そんなコメコメの理想像として語られるプリキュアにもはやいっさいの保留なく「ヒーロー」という形容がつくのは感慨深いですね~。
戦闘シーンはミサイルたくさんぶっ放してたのとプレシャスコメコメのゆで理論パンチで満足しました。いい勢いだ。

おまけ短編「わたしだけのお子さまランチ」は、先輩プリキュアたちの出しかたがどれも剛腕で吹きました。内容はSDキャラの絵本などで見かけるようなわちゃわちゃで、それを精緻な等身大の3DCGアニメでやるから力わざが際立って……特にトロプリのトロピカル圧がすごかった(トロピカル圧とは)
古今4世代のプリキュアのコンセプトをわずかな尺で表現する、というのを料理を作ることでやってのけるのは、デパプリならではでしょうね。



さて、デパプリならでは、というところからまとめ。
ファンタジーの定義というのは色々ありえますが、ひとつには抽象的なもの・概念・ひとの気持ちといった形ないものに象徴となる具体的な形を与える世界を描くこと、という考え方があります。
なんらかのコンセプトをもって食材を調理し、まっさらなお皿の上に盛り付けて作った料理をひとと食べるのは、その意味でまさにファンタジーを共有する営みなんですね。食材や口に入れる食べ物は物質ですが、料理を作る上でのレシピやメニューというのは非物質的な観念に属するもの。「お子様ランチ」などはまさにそう、コンセプトに形を与えたものです。
今回の映画の目玉である、コメコメたち妖精が人型になるくだりも”形を与える”という点においてごはんのファンタジーと接するものになっており、だからケットシーがお子様ランチで支配する空間を成り立たせるのと同じエネルギーソースによってなされるわけですね。
『デリシャスパーティプリキュア』とはどんな作品か、と問われたらテレビ本編の話数いずれかから選ぶより、この映画1本挙げるのが手っ取りばやく分かりやすいのではないか……そんなことを思いながら劇場を後にしたのでした。

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