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2022年夏アニメOP/EDのリリックビデオ的な例
■前置き■
ミュージックビデオにみられる一つの様式として、いわゆる「リリックビデオ」というものがあります。その名の通り、リリック(歌詞)の表示を重視し、かつ多くの場合は単純なテロップ添えではなくむしろ映像演出のメインとしてテキストを押し出したMVを指します。キネティック・タイポグラフィ(文字を動かしてそれ自体をアニメーションとする手法)の概念と密接な関係にあるジャンルです。
洋楽だと1965年のボブ・ディラン「Subterranean Homesick Blues」のビデオクリップで歌詞を書いたフリップを次々めくるシーンを皮切りとして昔からたくさんあると思いますが、現在のポピュラーな流れは21世紀に入ってからのものかな?
【例】
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んでもって、日本のコンテンツユーザーに身近なところだとやっぱりボカロ動画やいわゆる"歌い手"が配信するMVでよく目にしますよね。
【例】
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英語/日本語を訳詩で平行して出すとか、歌詞であると同時にフキダシ台詞でもあるとか、多種多様なアプローチがあって面白いです。
■テレビアニメにも波及している■
さて、やっと本題。こうしたリリックビデオ様式をテレビアニメのOP/EDに使った例があります。懐かしいところで『機巧少女は傷つかない』EDや『問題児たちが異世界から来るそうですよ?』OPなど。
それが今期(2022年夏)にはいっぺんに複数作品で目に入ってきたのが興味深かったので、メモしておこうと思います。
▼『よふかしのうた』OP
後半の、夜の街のギラギラしたネオンにかけた歌詞の入れかたが見映えいいですね。作品の内容にもしっかり噛み合った趣を醸し出しています。
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▼『ブッチギレ!』ED
実写背景にライトの残像線という形で描きだされる歌詞テキスト。作品の舞台が幕末なので現代の夜景なのは意表を突かれました(笑)が、歴史の一幕にさっと光ってやがて消えていく時代劇の登場人物のシンボルという風に考えたら上手い絵面だなと。
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▼『ハナビちゃんは遅れがち』OP/ED
OP・EDどちらも最初から最後まで一枚イラストにひたすら歌詞のキネティック・タイポグラフィをかぶせていくだけという、なんというか大変にソリッドな作り。ショートアニメとはいえ思いきった省力っぷりですね。
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(右)作曲:夏代孝明、歌:和氣あず未/上坂すみれ/M・A・O「パラレルラルラ」
この『ハナビちゃんは遅れがち』のED「パラレルラルラ」はテレビアニメ主題歌におけるボカロ曲の起用例でもあります(作曲がボカロPでもある夏代孝明さん)。なのでボカロのリリックビデオみたいなというより、そのものズバリな例だったり。初音ミク版もアップされてますね(参照)。
▼『ようこそ実力至上主義の教室へ 2nd Season』OP
人気ライトノベルのアニメ版第2期。作曲・歌唱のZAQさんはもともとニコニコ動画の歌い手だったというのをふまえるとよく馴染んでる感あり。歌い手とリリックビデオ様式がテレビアニメという場で合流した、というアヤが楽しみどころでしょうか。
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■プロモーション上のリリックビデオ
近年、アニメの公式が動画サイト等に作品のノンクレジットOP/EDを公開するのがおなじみになってきました。その流れの副次物で、宣伝用のPVとして本編映像に歌詞を載せたリリックビデオを出す例が見られるようにもなっています。Youtubeで「アニメ リリックビデオ」で検索してみたら、いくつかヒットしますね。
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蠟梅学園中等部1年3組「はじまりのセツナ」
![](https://assets.st-note.com/img/1657605487825-VRexYpoOZM.png?width=1200)
会沢紗弥/夏吉ゆうこ/小原好美「いつもとなりで」
そして今期、2022年夏の新作アニメでは『オリエント』第2クール「淡路島激闘編」OPテーマのリリックビデオが見受けられます。
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■おしまい
さて、今後もこうしたリリックビデオ系のOP・ED映像がテレビアニメで増えていくのかどうか。気に留めておきたいと思います。
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