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【本当の自己肯定感とは】生き抜く力をはぐくむ 愛着の子育て

なぜ読んだのか

天使のような息子が生まれてはや3年。生まれた直後は「一生をかけてこの子を守る!」と誓ったのもつかの間、息子がイヤイヤ期に入り、一年二年と経つにつれて自分の怒りがコントロールできずに怒鳴ってしまったり、手が出てしまうことも増えてしまいました。

「イヤイヤ期 怒り 抑える方法」と調べてみても、「深呼吸しましょう」などというゴミみたいなアドバイスばかり出てきてさらにストレスが溜まる毎日。そして同時に、自分の子供時代を思い出して「今自分の怒りが抑えられないのは、両親に怒鳴られて育てられてきたからだ」と常に両親への怒りを感じるようになりました。

子供が2歳をすぎると精神的にしんどい場面が増え、藁にもすがる思いで子育てカウンセリングを受けたところ、イヤイヤ期の子育ては理不尽なことも多く大変でそのように感じているのは私だけではないこと、そして子供が生まれてから自分の親への恨みつらみが出てくることはよくあることだと教えていただきました。

「小手先ではないイヤイヤ期の対処法はあります。まずは自分の生い立ちを見つめ直し、自分自身でストレスに対処できるようになりましょう。そして、お子さんとの愛着形成は今からでも遅くありません。」…とのことで、この本をおすすめしていただきました。

1章 子供に必要な生き抜く力 ー愛着

本書は、単なるイヤイヤ期克服本ではありませんでした!
子供が一生幸せに生きられるように、親がどのように接すれば、子供の自己肯定感が高まるか?挫折した際に自分自身で立ち直れるか?ということが科学的根拠に基づいて書かれています。

愛着はヘルメット

親としてのあなたの仕事は、子供に挫折や失敗を経験させないようにすることではなく、人生の嵐を乗り切るのに必要なツールと情緒面での立ち直る力を与え、その嵐の中を一緒に歩いてやることだ。

p32

自己肯定感の土台

研究がはっきり示しているとおり、自信や立ち直る力は、子供が成長していくあいだの対人関係、親やまわりの人たちとの関係から養われる。

親も自分の生い立ちを知る

どんな生い立ちであっても、自身の幼少期をじっくり見つめて理解すれば、子供と確かな愛着を育むことはできる。

2章 愛着を育める親、育めない親 その分かれ道はどこに?

確かな愛着を育んだ子供は親にどのような反応をするのか?逆に、愛着を上手く育めなかった子供は、どのような反応をするのか解説されています。それぞれ、安定型愛着 / 回避型愛着・葛藤型愛着・混乱型愛着というものに分けられるそうです。

「ヤダヤダヤダ。ママはちゃんとできないもん!」すると親としての無力感が、幼少期の屈辱と重なり合う。恥ずかしさ、孤独、悔しさ、ありとあらゆる感情が渦巻き、母親は思わず息子の体を掴んで、無理やりチャイルドシートに座らせようとする。

この文章の母親なんか、私のことかと思いました。
自分でも、なぜ目の前で息子がイヤイヤしているときに昔のイヤな出来事を思い出してしまうのか不思議だったんですが、この本によると、自分が混乱型愛着の両親に育てられたからだということがわかりました。幼い頃から私の両親は仕事のイライラを家に持ち込むタイプで、いつどういうことで怒らせてしまうのか全くわからず、家では休まる場所がなかったんです。

過去は変えられません。しかしながら、生い立ちがどうであれ、安定型愛着はいつからでも獲得できるそうです。

3章 ほとんどの親は子供を怖がらせてしまう

虐待とまでいかずとも、発達段階に相応しくない性的な描写をテレビやネットで見てしまったり、目の前で夫婦喧嘩をするだけでも、子供にトラウマを植え付けてしまうそうです。

幼稚園を嫌がる3歳のエミリー。
問題の核心は、明確に父親の(娘を完璧な幼稚園に通わせたいという)"不安"にあった。エミリーは、幼稚園にはたくさんの危険があって、怖いと思うようになった。何か悪いことが起こるかもしれないと思うようになった。

こちらも、我が家の話かと思いました。
引っ越してから息子が酷く保育園に行き渋るようになったのですが、今思えば当時私も、保育園に対して強い不安があったんです。「長時間預けて疲れていないだろうか」「またパートの先生がテレビを見せている」「同じクラスの親が挨拶してくれなくて怖い」というようなことを、夫に話していました。そういった不安が、息子にも伝わっていたんだろうと深く反省しました。

今現在、息子は幼稚園に転園し、毎日本当に楽しそうに通ってくれています。私自身も苦手だった送り迎えがなくなり、不安がすっかりなくなっていました。鶏卵の問題かもしれませんが、自分の心と子供の心は、ときにリンクしているな、と思うことがあります。

第4章 恥をかかせると子供は親に「心を閉ざす」

私たちはエスパーではないので、子供の気持ちを完全に読み取ることはできません。でも、きちんと目を配り続けることが大事です。

子どもに「怠け者」「学校が嫌いだ」「責任感がない」とレッテルを貼るのではなく、「お兄ちゃんの方が成績がいいからプレッシャーを感じているのかもしれない」「先生に間違いを指摘されて、恥ずかしい思いをして、自分の力が信じられなくなったのかもしれない」「疲れているのかも」といった隠れた部分を想像しよう。

P166

この部分を読んでからというもの、息子のイヤイヤの見方が変わりました。「この子はきっと疲れているんだ。」と思うと不思議と全く怒りが湧いてこなくなりました。

今日も私がソファを元の位置に戻してしまってキレられたんですが、以前の私なら「ほら!戻したからもう泣かないでよ!」と怒っているところです。でも、「どうしたの?息子くん、今日は幼稚園頑張ったから疲れているのかな?」と聞いてみるとすぐに落ち着きを取り戻しました。

余談ですが、私が中学2年生のとき、親を騙して無断欠席をし、放課後先生が心配して家を訪ねてくださったことがありました。先生が帰った後、母親には人格否定され、学校に行かなかったことをめちゃくちゃ怒られました。でも当時の私はクラスで孤立しており、前日に運動会の練習でじゃんけんに負けて私とペアになってしまった子に泣かれて、それがショックすぎてどうしても学校に行きたくなかったんです…(笑)

もしいつか、私の息子が無断欠席したら、私だったら怒るんじゃなくて学校で何かあったのか心配したいです。思春期だから何も話してくれないかもしれないけど、「私はいつでも味方だよ」と言うことを伝えたいです。そして、なにより、私自身もそうして欲しかったなぁ…と思いました。

5章 キレた子どもを落ち着かせる

(冷蔵庫に入りたいという幼稚園の娘に対して)
冷蔵庫に入らせてあげないから、怒ってて悲しいのね。うん、わかるよ。でも危ないし、危ないことはさせたくないの。泣いてる間、そばにいるからね。

甘やかすわけではなく、子どもが「自分をなだめる力」を育む手助けをしようという言葉は本当に腑に落ちました。

キレた子どもに親がキレるのは逆効果だとわかっているのに、一日何十回と訳のわからない要望に向き合っているので、疲れてくるとついキレちゃうんですよね…。

でもそこをグッと抑えて、「その振る舞いはだめだと伝えよう。でも、怒ったり泣いたりする感情には寄り添ってあげる。感情がおさまるのを手助けしよう。」という考え方はすごく素敵で、実践しやすいです。

第6章 信じられる親、不安にさせる親

親などの保護者が何度でも寄り添ってくれると信じている子どもは、安全地帯から足を踏み出す自信につながる自立心と立ち直る力を身につける。

この本に書いてあることは、「甘やかす」とは違う、とのことです。常に子どもに寄り添う姿勢をみせることで、子どもは「いつでも帰る場所がある」と安心でき、旅をする勇気が持てる、とのことでした。

甘やかす寄り添うの違いがよくわかりました。

まとめ

すごく不思議な本でした。こうしなさい、ああしなさいと書かれているわけでもなく、読んでいると自然と過去の自分と向き合い、同時に息子との良い向き合い方も理解できました。

最近、毒親やアダルトチルドレンという言葉が流行っていますね。今、お子さんがいらっしゃらなくても、「私もアダルトチルドレンかも」「生き辛い」と感じている方にぜひ読んでいただきたいです。YouTubeやXなどは再生数稼ぎで「可哀想な私」にしか寄り添ってくれず、対処法は教えてくれません。

私はかつて、自分のことを本当にどうしようもない人間だと思っていました。勉強に集中できないし、よく感情が不安定になって仕事にも集中できていませんでした。人間関係のトラブルも多かったです。

でもそれは、たまたま私が、今までの人生で愛着形成できる人に出会えていなかっただけでした。今までの私の感情の不安定さは生き残るための本能からくるものだと理解できました。そして、この感情をコントロールするやり方を身につけていないだけだったんです。自分が頭が悪いからとか、自分の性格が悪いからとかそういうわけではなかったんだと今なら心から思えます。そしてこれは、本物の「自己肯定感」というものだと思います。

私はこの30年間、自分の感情がコントロールできなくて本当に多くの方に迷惑をかけ、様々な人間関係とチャンスを失いました。「この感情の不安定さは自分のせいではない」「感情をコントロールできる術はある」ということに気づくまでに、20年近くかかってしまいました。

だからこそ、息子にはそうなってほしくないという思いが強いです。でも、もしかしたらそう思うのはおこがましいことかもしれませんね。私を精神的に成長させるために、息子が私のところに来てくれたのではないかなと思うことがあります。

未熟な母を日々成長させてくれて本当に感謝の気持ちでいっぱいです。子どもは3歳までで全ての親孝行が終わっている、という話は本当だと思います。私は、自分の過去に囚われることなく、息子にとっての"安全な港"となれるよう努めたいと思います。


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