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「看取りケアの作法」を読んで

4月から介護系の会社に転職したので、会社の方におすすめしてもらった「看取りケアの作法」を読みました😊 

本の内容は全部引用したいくらいだったので、要約というよりはこの本を読んだ今この瞬間の私の忘れたくない気持ちを書きます。

CTOおすすめポイント

  • 多くの人は人の最期やお看取りのイメージが湧きづらい。本で学ぶ。

  • 会社に村瀬さんファンが多い

  • 事業とも親和性高い

どういう本なのか

  • 老いて死ぬということはどういうことなのか

  • 現在の行き過ぎた健康志向と市場経済について・医療との付き合い方

  • 宅老所「よりあい」にいらしたおじいちゃんおばあちゃんとどんな風に過ごして、どんな最期を迎えたのか

    高齢期の死に関わることで感じられた著者の主観を、生活者の視点から書いたものです。

行き過ぎた健康志向と市場経済

介護保険は当初、介護の社会化を目的とした。しかし、その内実は委託化である。そのことが家庭や地域における老いの不在をつくり出している。老いが不在であることは、寿命を迎えた死が不在であることも意味する。老いて死ぬという当たり前の事実を家庭や地域で目の当たりにしないのだから、付き合い方もわからない。

現代、なんでもアウトソーシングするのが主流ですよね。
会社の仕事だけでなく、家庭のことも外部に委託するのが当たり前です。私もベビーシッターやご飯、掃除など委託しまくっています。

でも、そのことが「自分で自分たちのことを解決する力」を奪っていると、この本では警鐘を鳴らしています。周りの人の老いや死ですら身近でなくなってきており、どう対処していいかわからなくなっている人が増えているのです。

穏やかに逝くための課題

「穏やかに逝く」ための基本的な条件として、身体の変容に沿う態度が大切になる。一般的には「添う」という字を使うが、よりあいではあえて「沿う」を使っている。「添う」は人を相手にした態度に使うが、「沿う」は川や山など自然を相手にした態度に使われることが多い。老いた者は自然の摂理に沿いながら死を迎えるので、それに付き合う介護職も沿う態度が求められるように感じている。

このような理念で運営されている宅老所「よりあい」。利用者さんの老いに"沿"って、職員やそのご家族はどのような対応をするべきか。生活の中に自然な死を取り入れるために何をされてきたか。4人のおじいちゃんおばあちゃんたちの最期から著者の考え方に触れさせていただきました。

現代社会で死を語るとき、医療を抜きにすることはできません。医療を介さぬ死は変死であり、不審死として処理されています。今ではそのような医療による死の管理が当たり前のようになっています。しかし、実はその歴史は浅いものです。これまで高齢期の老衰死は常識を基盤に共同体の中で受け入れていました。安心して老い穏やかに逝くには、老衰死を暗黙の了解の中で受け取ることのできる共同体の再構築が求められているように感じるのです。医療も介護もその共同体の中で役割を果たすことが重要であるように思います。

感想

老衰で亡くなる方のお話を読んだのは、人生で初めてかもしれません。
まだ20代の私、今まで若くて考えてこなかった、でもこれから絶対に来る人生への不安が少し和らぎました。

両親、義両親の老いが怖い

どうして怖いのか。生まれてから成人するまで頼りにしてきた両親。元気で当たり前だった親が老いるのが悲しい、受け入れられない、親の介護をすることで仕事を辞めないといけなくなったらどうしよう…という思いがあったからだと気づきました。この気持ちは、多くの人が持つものだそう。

老いは自然なこと、医療とどのように向き合っていくか、介護職の人の手を借りる場合、どんなことを用意して伝えれば良いのか少しわかった気がします。また、家族が介護が必要になっても、周りの人に頼っていいんだ!と思えました。

身近な人の老いや死が怖い

もし、私より先に夫や子供、大切な友人が亡くなったとき、きっと今まで味わったことのないような悲しみに襲われると思います。そのとき、正気でいられない気がして、怖いです。

本の中で、おじいさまやおばあさま達が、故郷に連れて行ってもらったり、大勢でご飯を食べたりして過ごしているのを読んで、最期なのにあんまり悲壮感がなくて、なんて温かい過ごし方なんだろうと思いました。

身近な人の死はいつか絶対にきますが、その心配をする前に家族や友人みんなで美味しいご飯を食べたり、懐かしい景色を感じて過ごしたりしながら、幸せな思い出をたくさん作って「あーいい人生だった!」と思いながらみんなで死に支度ができるようにしようと心から思えました😊

自分の病気や死が怖い

消えたいと思うこともあるけど、死ぬのって怖いですよね。痛いのも苦しいのも嫌なのに、いつどんな風に死ぬのかもわからないから怖い。ボケるのも怖い。今まで自分が当たり前のようにできていたことがだんだんとできなくなるのが怖い。夫に先立たれるのも怖い。家族や近所の人に迷惑をかけるのも怖い。

怖いんだけど、自分の死を怖がる前に、(大変失礼ですが)まずは親やご近所さんの老いや死に積極的に触れていこうと思いました。今やご近所付き合いは田舎特有の煩わしいものとされ、ボケたら変人扱いされる。豊かになって、多くの人が自立した生活ができるようになり、助け合いの精神が薄れてきました。それでも、私は身近な方々が老いたり死に近づいたとき、「生きててくれてありがとうございました!」と快く送り出したい。困っているときは、一緒に悩んで、困りたい。

そうして生きているうちに、自分も老いて、少しずつ自然の摂理を受け入れられるようになってくるんじゃないかなと思えました。

仕事でどう生かすか

介護職の方、ご利用者さん、そのご家族。本書を読むことで、すべてのユーザーの気持ちをほんの少し疑似体験することができました。

介護職の方がこういったプロフェッショナルなことを考えながらお仕事をされているのを読みながら、自分もこのプロダクトに対してエンジニアとして同じくプロフェッショナルでありたいと思いました。

私は社会人になってから一貫して「現場を一番にみる」ということを大切にしてきましたし、それを実現するためにメタ認知を養えるよう様々な分野に興味を持って勉強してきました。それがなかなか仕事で活かせず、はっきりと「生半可」という言葉で一蹴されることもありました。しかしながら、この現場があってこその介護業界でなら、自分の信念や今までコツコツ勉強してきたことを活かすことができるのではないかとワクワクしています。

今の会社を知ったばかりの頃は「介護職の方のお仕事を便利にするんだ」という気持ちで入ったんですが、そうではありませんでした。ご利用者さん含め介護に関わる人すべての方の人生がより良くなるように、私はエンジニアとしてそれをプロダクトに反映していけるよう、頑張ります!

看取りケアの作法 
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