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ボブ・マーリー:ONE LOVE 感想

観ました。

ボブマーリーについては全然知らないので、
伝記映画としてこの映画について語れることがなにもなく感想書くのが難しいです。

この映画自体、ボブマーリーの実子が製作に携わり、
ボブマーリーの伝えたかったであろうOne love, one heartのメッセージを尊重し、
ボヘミアンラプソディのようなミュージカル映画としてのエンタメ性をあえて弱めた作品であり、娯楽作品としては消費しづらいものとなっているような印象だった。

個人的な感想としては「面白かった」というよりも「評価する」という言葉を用いた方が適切か。

レゲエという音楽ジャンル自体が古くよりメッセージ性の強い歌詞と切っては切れない文化にあり、
レベルミュージックと表現され大衆のための音楽とされてきた背景を前提として作品を鑑賞すべきである。

その中でボブマーリー自身の始まりも、「持たざる者」であったという語りから始まるこの作品は、
そんな『レゲエの神様』である彼を描くことでレゲエという音楽文化そのものを描く作品でもあるように思う。

上述の通りミュージカル映画としての要素を弱めたのもそこにあって、
「ボブマーリーブーム」を再燃させるのが目的であればこんな小難しい映画にせず、もっとキャッチーに素晴らしい音楽を前面に出せばよかったのだ。

それをしなかったのは息子であるジギー・マーリーの意向も強かったのであろうが、
ジギーに意見を拝聴した制作陣のボブへの強いリスペクトを感じた。

それでいてボブを英雄のように扱わず、
実質的な一夫多妻の形式となっていたがゆえのリタ夫人とのトラブルなどボブがあくまで人間であるという描写もなされていた。
あくまで「愛深き人」なのだと。

そしてボブマーリーを語るうえでこの映画でもキーとなる「ラスタファリアニズム」であるが、
私もこの映画をきっかけに知ったぐらい日本人にはピンとこないものであろう。
映画を見ているときにはなんとなくそういう人種、思想がいて、ボブマーリーに強い影響を与えた概念なのだろうという認識で見ていたが、
ここも調べてみるとなかなか興味深い、娯楽映画としては不要でボブマーリーを語る上では必須な文化的背景があり、
今になってここは加点要素になっているが、見る人が見れば意味のわからないワードが頻発していて興味の失せる要素だろう。

そして最後。ここが最も評価の分かれるところであろう、
銃撃事件やロンドンでの活動などを経てのワン・ラブ・ピース・コンサート。
映画の集大成であろうこのコンサートを、まさかの「描かない」。
これには本当に驚いた。鑑賞中は自分が寝落ちして見逃したのかと思うぐらいには驚いた。
だけど今になってこの映画の意図を考えてみれば、
コンサートでわかりやすいカタルシスを描くのではなく、ボブの生きざまを見てなにかを感じてほしい、ボブがONE LOVEに至るまでの経験が大事なの
だという製作者のメッセージなんだろうと私は感じ取った。


劇場パンフレットを読むわけでもなく語っているだけなのではっきり言ってしまえば自己満足なので、
この映画を高評価しているからといって低評価している人より上の精神ステージにいるのだというわけでもなく、
まあ自分はそう受け取ったよー解釈したよーというだけの感想なのであった。浅い。

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