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深山静
2019年1月12日 23:04
左手の薬指だけ見る癖が今もわたしの真ん中に在るマニキュアがはみ出ず濡れた夜だからあなたの指に色を添えたいパノラマをもっと伸ばしてふたりきり 好きと言えれば楽なのに、ねえこの足が止まることのないようにため息を吐く白線を踏むくちびるの薄皮を食む独り寝にシュリンクされたあなたの記憶十年が長いねなんて言わないで貪欲だって自負はあるから*どんな関係かと問われれば、一日を共に過ごし
2019年1月12日 21:38
2018年短歌まとめ・5カウンター決めたあの子は絹ごしにおぼろのようなハートを隠す強かに机の間すり抜けて窓の向こうにばらまく本音しょーもないこともない気もするけれど玉ねぎの芯を目指した勇気飲み込んだ棘の色はさよならの響きに似てた雨後の木漏れ日パンプスは硝子製ではないけれどわたしへ続く標にしたいヒーローになりたい君の真ん中でキラリと見えた承認欲求真夜中に呼べば答える人の群
2019年1月12日 21:32
2018年短歌まとめ・4加工した視界と言葉わたくしを現世に留める「いいね!」の通知偽物の桜の花が落ちていて本物はもう雨の向こうへ価値観の違いで離婚するのだし異動くらいはすんなりさせてお誘いをはいと言えずにクリックの音でごまかす異動前日決裁に名乗るものでもないですとここにいたこと全て消したいよい人であるかどうかを仕事には持ち込まないで時計盤見る距離感は安定剤の代替で他の言
2019年1月12日 21:24
2018年短歌まとめ・3沈黙を守れぬ花火残像が扇ヶ浜のイルカに注ぐ蝉時雨くぐり抜ければまた命稲穂の海を泳ぐトラクタ濁流の中の煌めきその意味を指環の痕に聞けばいいのにねえちゃんと胸に手を当て聞いてみてあなたに捧ぐラ・カンパネッラ待ってれば必ず星は落ちてくる願いが叶う保証はないがほつれ髪女々しさを剃る美容室ベリーショートで強がり増して太陽に向かい何をば語るやら燃え尽きること
2019年1月12日 21:15
2018年短歌まとめ・2人の死ももはや因数分解で求められずに受け入れられずに他人事自分事への移ろいを加速できずに並ぶお通夜よ容赦ない偽善の群れに追われ行く九月一日日はまだ長い宿題とともに詰め込む溜め息にランドセルすら我を裏切る花すらも置かれず君は旅立った座席表から消された名前正解を求め戦う人の手に捩じ込む誇りそして埃と高速の路肩に黒い靴下が迷いくたびれ死んでいく春*
2019年1月12日 20:27
2018年短歌まとめ・1嘘つきが子どもみたいに笑うから何度も角を曲がる一日飛び出したその瞬間に分かるやろ世界を作るカラーコードが病から食細くなり死に到る死に到るため食細くなる刃こぼれのない言葉だけ通過する泣く術忘れて見る砂嵐真夜中の合わせ鏡は饒舌に悪口ばかり我に向ける悔しさを舐めとる舌の柔らかき蛇口の栓をまた弛めけりジグザグに歩き続けたはずなのにカラーコーンはまだ倒れな
2017年3月19日 21:23
枝分かれ辿るつもりがぷつりってあってはならぬ処女の髪には大切に守り続けたキューティクル老いの津波は満潮狙い目的はここじゃなかったはずなのに半裸の女銀糸囚われぬばたまの夜は雲隠れ浴室の鏡も隠す生え際の白わずかでも人工色素注いだら処女は名乗れぬ明日は月曜閉経の誘い断り逃げ回りひとりでできるヘナ塗りたくれ首すじの赤いぽっちを押してみなかゆみ伴い今日が始まる太陽は残酷非道万物に
2017年3月14日 21:27
さん付けの位置が変わってビッグバンあなた吸い込むブラックホール優しさの皮を被った悪人が百合の根っ子を押し付けてきた警察に捕まるよって象が言う明日はまともに生きてごらんよマスク下表情筋が蠢いた笑っていれば普通でいれる朝靄に君のリストが花開き鍵盤弾く生きてる証鳩尾はここですそうよここだから狙い外さずサイダーかけて逃げようと鏡のなかでもがいてるわたしはなんて美しかろうもう二度
2017年2月24日 22:18
2.26事件を想う睦月末、御国の為と流し血は気付けば我の股より流る灰色の空にビラ舞い東京は現実に帰し棺桶を喚ぶ詰将棋若人贄に軍政へ勇み行けよと老害喚く詰襟の群れの向こうに過る影氷雨の線は無情に降りて大陸で底冷えせぬか気にかかり両手擦りて暖を届けん見てごらん白木の箱のふたの裏白髪の生えし僕らの姿幸福の寝屋が壊れし音がする夢見るときは終わりのようだ嬰児の命叫びし必死さに
2017年2月12日 00:20
物言わぬ画面の向こうため息を感じて知らぬふりする夜更け怠けずに働きなさい分かってるけれど響かぬ上面の笑み心臓の内側に棲むヤマアラシ日曜の夜もぞりと動く骨折をすれば信じて、いやいっそ次は死ぬから忘れておくれあと八日削る命の残高を次の生へと持ち越せたなら白線を踏む遊びをば今してて落ちたら終わり火葬の許可を深夜目を覚まし母の香手繰り寄せ早く私を迎えに来てよやかんから漏れる嗚咽
2017年2月12日 00:16
日本語の意味分からずに口ずさむへいじゅーどって共通語かもムダ毛処理する間を惜しみスマホ越し君の連絡待つ午後八時「休みます」何度悲鳴を上げたならこの心臓は止まるのでしょう必要とされる意味とかとりあえずカプセル詰めて飲み干し下すハンカチを落としたからね振り向いて順繰りに来るこころのひずみざらついた部屋の片隅ルノワール死体役にはわたしがなろうしゃあないよ脳の暴走バグですし死ななあ
2017年1月21日 18:07
涙落つ音に視線を持ち上げて梅雨入りを知るわたしはひとりハイターでわたしは過去を染み抜きす嬉しいことも悲しいことも今日もまた足元ばかり見てるから登り下りを気付かず進むこの辺りそうこの辺り羽がありSNSにピン止めされる嘘なんてつくよな人じゃないことをコンクリの壁冷たさに知るおやすみに憎しみ込めて囁いたジンギスカンの夢を見ようか縄かける鴨居ない部屋午前四時うたせは命狩りに海へと(
2016年12月10日 23:33
つま先を揃えた途端怖くなる余命残高一向減らぬわたしではないと言い張る鏡前強さを作る手つきは慣れて過ちを赦す弱さが欲しかったふたりの鍵は意味をなくしたあの日から十月十日の同居経て命の膜を蹴破る君よ (さくちゃんさんの記事に触れて)近付いて離れて何度繰り返しあなたにピント合わぬ老眼君消えてぽっかり空いた穴のこと再来週には忘れるのだろま四角の枠の真ん中笑う君
2016年11月8日 22:35
電話越しおまんのことを睨んでるホンマに嫌いホンマに嫌い人混みに飲まれた我は消化されやがて排泄され還りゆく墓石に潰されり我が母の声怨嗟を糧に我は紡がれ守りたいもの増えるたび「好き」と「大事」の違い自問すマンモスも避けて通ったわたくしの永久凍土立ち入り禁止雪溶けて居場所なくしたふきのとう花咲く前に咀嚼しようか結構溜め込んだなあ。「おまん」は方言で「あなた」です。ここには載っ