マガジンのカバー画像

みやまnoしずく

37
ことば書きの練習。 現代川柳・現代短歌を書き連ねています。(短歌多め)
運営しているクリエイター

2019年1月の記事一覧

現代短歌練習25

左手の薬指だけ見る癖が今もわたしの真ん中に在る

マニキュアがはみ出ず濡れた夜だからあなたの指に色を添えたい

パノラマをもっと伸ばしてふたりきり 好きと言えれば楽なのに、ねえ

この足が止まることのないようにため息を吐く白線を踏む

くちびるの薄皮を食む独り寝にシュリンクされたあなたの記憶

十年が長いねなんて言わないで貪欲だって自負はあるから



どんな関係かと問われれば、一日を共に過ごし

もっとみる

現代川柳練習12

2018年川柳まとめ

中道に舗装の有無を問いかける

書き換けの言葉飲み込む事務文書

日報に隠したはずのない正義

肉まんに包み込めたか春の夢

噛み締めた嘘に混じった歯の欠片

恥なんてないから春は嘘なんだ

米露中夜の唸りを誰が聞く

ひとときの長さをさしで測りたい

梅東風に託す異動と腹の音

ひと匙の幸せ舐める女です

ミュージックボックスの中うずくまる

モザイクに潜むわたしの頑なよ

もっとみる

現代短歌練習24

2018年短歌まとめ・5

カウンター決めたあの子は絹ごしにおぼろのようなハートを隠す

強かに机の間すり抜けて窓の向こうにばらまく本音

しょーもないこともない気もするけれど玉ねぎの芯を目指した勇気

飲み込んだ棘の色はさよならの響きに似てた雨後の木漏れ日

パンプスは硝子製ではないけれどわたしへ続く標にしたい

ヒーローになりたい君の真ん中でキラリと見えた承認欲求

真夜中に呼べば答える人の群

もっとみる

現代短歌練習23

2018年短歌まとめ・4

加工した視界と言葉わたくしを現世に留める「いいね!」の通知

偽物の桜の花が落ちていて本物はもう雨の向こうへ

価値観の違いで離婚するのだし異動くらいはすんなりさせて

お誘いをはいと言えずにクリックの音でごまかす異動前日

決裁に名乗るものでもないですとここにいたこと全て消したい

よい人であるかどうかを仕事には持ち込まないで時計盤見る

距離感は安定剤の代替で他の言

もっとみる

現代短歌練習22

2018年短歌まとめ・3

沈黙を守れぬ花火残像が扇ヶ浜のイルカに注ぐ

蝉時雨くぐり抜ければまた命稲穂の海を泳ぐトラクタ

濁流の中の煌めきその意味を指環の痕に聞けばいいのに

ねえちゃんと胸に手を当て聞いてみてあなたに捧ぐラ・カンパネッラ

待ってれば必ず星は落ちてくる願いが叶う保証はないが

ほつれ髪女々しさを剃る美容室ベリーショートで強がり増して

太陽に向かい何をば語るやら燃え尽きること

もっとみる

現代短歌練習21

2018年短歌まとめ・2

人の死ももはや因数分解で求められずに受け入れられずに

他人事自分事への移ろいを加速できずに並ぶお通夜よ

容赦ない偽善の群れに追われ行く九月一日日はまだ長い

宿題とともに詰め込む溜め息にランドセルすら我を裏切る

花すらも置かれず君は旅立った座席表から消された名前

正解を求め戦う人の手に捩じ込む誇りそして埃と

高速の路肩に黒い靴下が迷いくたびれ死んでいく春

もっとみる

現代短歌練習20

2018年短歌まとめ・1

嘘つきが子どもみたいに笑うから何度も角を曲がる一日

飛び出したその瞬間に分かるやろ世界を作るカラーコードが

病から食細くなり死に到る死に到るため食細くなる

刃こぼれのない言葉だけ通過する泣く術忘れて見る砂嵐

真夜中の合わせ鏡は饒舌に悪口ばかり我に向ける

悔しさを舐めとる舌の柔らかき蛇口の栓をまた弛めけり

ジグザグに歩き続けたはずなのにカラーコーンはまだ倒れな

もっとみる