無題

ベースボール労働移民 ---メジャーリーグから「野球不毛の地」まで

(初出:旧ブログ2016/02/04)

 帯に「WBCの見方も変わる!」と書いてあって、軽く読めるかな~と思って買ったら想像とちょっと違った。大学の授業で副読本として使う本って感じかな。ついついアスリート・スポーツ選手というカテゴリに押し込めがちだが、プロ野球選手がプロと名乗る以上労働者なのだ。野球という職を求めて世界を流浪する姿を、果てはイスラエルやジンバブエまで追う。

 1年で終わったイスラエルリーグを書いた第四章が特に印象的だった。登録選手の128人中地元イスラエルの選手は僅かに15人と、かなりアンバランスなリーグだ。大半を占める外国人選手のなかにはMiLBや日本へ移籍する(中日にいたネルソンと広島にいたフェリシアーノ)選手もいれば、バックパッカーのように「自分探し」の選手も混じったリーグだったという。MLB、NPBといった「最高峰の」リーグに慣れ親しんだ我々にはなかなか想像が付かない。しかしこれもまた「プロ野球選手」という労働者の1つの形であることを教えてくれる。

 プレミア12も始まり、ELB開幕、MLBが欧州での公式戦を目論むなど「野球世界地図」は急速に拡大しつつある。日本でも独立リーグが開幕してからある程度経つし、韓国KBOはチーム数拡大、台湾は新社会人リーグ開幕(CPBLもチーム数拡大を検討してるらしい)と「世界地図」のみならず各国の「国内地図」も底辺を拡大しつつある。果たして世界野球人口増加がどのような運命をもたらすのか、この本は大いにヒントになるはず。

#野球 #ノンフィクション #欧州野球


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