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恋を失う

【男声】
明日から僕らは友達なんだ
一生君を愛するといった僕は
寝ている間に転生したんだろうか?

恋という泥沼にはまった僕らを
誰だって責めることはしないだろう。
だけど君が言った「つらいの」の四文字には、
音には、耐えられなかった。

傷つけていたことさえ知らなかった、
そんな僕があり得ないほどに醜いことを知っていた?
夢の中では笑顔で過ごせていたから、
きっとクソゲーでも乗り越えられると、思っていたんだね。
馬鹿やろうだな、僕は。

【女声】
好きという言葉を軽く扱ってしまった。
今でなくとも、たぶん人生ゲームの結婚マスの近くにも、
そのふりだしに戻るマスがあったと思うの。

「愛してるよ」といったあなたが恋しかった。
でも今は過去ではなくて、時の流れは針をとってもさかのぼれない。
いつの間にか愛は重い荷物となって私にのしかかった。

寂しさを紛らわすための恋ほど
哀しいものはないんだと、
電話に出るのが億劫になってしまって、
言えなくなっていくのは、
続かなくなった恋の匂いがつーんと鼻を刺す。
ごめんね、心のすべてをあなたに見せてあげられればいいのに。