【掌編小説】シノノメの婆さん
まただ。やっぱりダメだったか・・・
面と向かって上司に退職する意志を伝える事ができず、無断欠勤。退職に至る思いと、会社に対するどこか形式的な感謝の気持ちを手紙にし、退職願を添えて速達で郵送。どこの会社も意外とこの方法でスムーズに退職願を受理してくれるし、それに伴う煩わしい手続きも郵送で対応してくれる。「退職の一か月前には会社に申し出ましょう」だとか、「法律的には、二週間前に会社に申し出れば、どんな理由であろうが退職できる」だとか色々あるらしいのだが、引き留められることも無く