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危険な夏

■行けども行けども

気がつけば、リーグ戦も、もう13節が終わってしまった。
開幕したと思ったらコロナウイルス感染防止のための長いお休みに入り、再会後も、数々の規制とテストをしながら、過密日程で進んでいる。

13節を終えた現在、ジュビロ磐田の結果はこの通り。

【第1節】磐田×山形[2-0]○|3位(3)1勝0分0敗|得2|失0|+2
(コロナウイルス感染防止でのお休み)
【第2節】 京都×磐田[0-2]●|11位(3)1勝0分1敗|得2|失2|0
【第3節】 岡山×磐田[1-1]△|11位(4)1勝1分1敗|得3|失3|0
【第4節】 磐田×山口[2-1]○|6位(7)2勝1分1敗|得5|失4|+1
【第5節】 福岡×磐田[1-0]●|10位(7)2勝1分2敗|得5|失5|0
【第6節】 磐田×北九州[2-0]○|5位(10)3勝1分2敗|得7|失5|+2
【第7節】 磐田×徳島 [0-2]●|10位(10)3勝1分3敗|得7|失7|0
【第8節】 琉球×磐田[ 2-2]△|10位(11)3勝2分3敗|得9|失9|0
【第9節】 愛媛×磐田[1-2]○|7位(14)4勝2分3敗|得11|失10|+1
【第10節】磐田×松本[2-1]○|6位(17)5勝2分3敗|得13|失11|+2
【第11節】大宮×磐田[2-2]△|8位(18)5勝3分3敗|得15|失13|+2
【第12節】磐田×千葉[1-2]●|9位(18)5勝3分4敗|得16|失15|+1
【第13節】町田×磐田[0-0]△|10位(19)5勝4分4敗|得16|失15|+1 

はい。苦戦しています。

ほとんどの試合で、選手たちはいいサッカーをしていると思う。でも、それが得点や勝点にうまくつながっていかない。

すべての試合でほぼゲームを支配し、きれいに進めているのに、なぜか失点してしまい、ガッチガチに守られて逃げ切られたり、(ターンオーバー制をとっていることもあって)前半は攻撃が機能せず、後半に全く違った攻めの形をつくるのだけど、肝心のゴールが生まれない。当然ながら、勝てなかったり、引き分けの試合が多くなる。

一方、相手チームはほぼ例外なく、こちらの戦い方、選手のクセを研究しまくってくるし、セットプレーやPKに至るまで、きわめて戦略的。そして、驚くのが、ものすごい運動量でもって守ってくること。ミスも少ない。「ここでジュビロに勝って、いい波に乗ろう」という気迫がバシバシ伝わってくる。

行けども行けども、こういう相手との試合が続いている。J2の試合を戦うのは初めてじゃないのに、それがこれほどしんどいことだとは思わなかった(裏を返せば、それだけチームとしてまとまっているということではあるので、そこはフベロさんの手腕だと思う。でも、ちょっと分かりやす過ぎるかな)。

強いチームと戦うのはこわくはない。むしろ、楽しみ。こわいのは、町田のような、今まで戦ったことのないようなタイプのチームと対戦するときだ。

ジュビロというチームの歴史は、「洗練されたいい試合を見せたい」というスピリットを選手たちに植え付けているようなところがあると思う。だから、相手のチームの特徴や選手のいいプレーを消していくようなことはあまりしない。
(元のチームメイトや注目されている選手に決められがちなのも、そのあたりと関係しているような気が…)。

ところが、J2では泥くさく勝ちをねらってくるチームが多い。いいプレーはあらゆる手段を使ってつぶしに来るので、当然ながら、洗練された試合にはならない。そこで、行く方向を見失ってしまうのではないだろうか。

「1年での昇格」を目指すのなら、それでも勝っていかなければならない。なんなら、力でねじ伏せて「すごさ」を見せつけるくらいのことをしなければ難しいのかもしれない。

でも、残念ながら、今のジュビロはまだ、いわゆる「王者のサッカー」をするところまでは行っていない。いまのジュビロにはそういう強者のメンタリティーというものがまだ備わってはいないし、そのための切り札となるような、力でねじ伏せることのできるタイプの選手もいない。いや、もともとそういうチームカラーじゃないし…。

降格決定時に社長が言っていた「J2では違う戦い方をしなくてはならない」というアタマでは理解できていた言葉が、今さらながらに重くのしかかってくる。J2の厳しさに直面している、第13節終了時。

■「声」に押された町田戦

第13節の町田戦は、見ていて本当につらかった。

DAZN観戦だったから余計に感じたのかもしれないけれど、町田の選手たちの「声」がすさまじかった。ほとんど怒鳴り合うようにして、勝つために、みんなで指示を出し合っていた。

コロナ感染防止対策でスタンドから声をあげることは禁じられているし、町田はリモート応援システムも採用していなかったので、その「声」がことさらに響いた。これ、ピッチの中ではすごい「圧」になっていたんじゃないだろうか。思わず心配になるほどの怒号が飛び交っていたけれど、選手たちは、あまり気にならないものなんだろうか。

そして、ピッチの状態にも驚いた。芝というか、そもそも土の状態がよくないのか、ボールが全然走らない。ということは、猛暑の中で、いつもより走り込まなくてはいけないわけで。ただでさえ、フィジカル面では不安があり、連戦で疲労もたまっているであろうジュビロの選手たちにとって、相当しんどかったんじゃないだろうか。

ここをホームとする町田の選手たちは、まるで高地の国のチームのように、それをアドバンテージとして最大限に利用しているように見えた。

琉球での試合もこんな感じだった。これもまた、J2の壁なんだろうなあ。ヤマハスタジアムの芝生とリモート応援のありがたさを思って、ほとんど泣きそうになって、思うように届かないボールを追っていました(笑)。

熱中症で体力を消耗していくときみたいに、相手チームの発する「強い気」に当てられたというか、生気が吸い取られていくみたい。J2の戦いでいちばんキツいのは、こういうところだと打ちのめされた試合だった。

ほんと、J2の夏は危険。

■サッカーのできるよろこびを

とはいえ、できていないことや、手に入れられなかった点のことばかり考えていても未来はない。明るい要素も拾っていこう。

まず、フベロ監督。フベロさんのことは信頼しているけれど、もしかしたら、J2におけるいまのジュビロのような状態でチームを引っ張っていった経験はあまりないのかもしれない。

でも、そうだとしても、進みながら、それを見つけてくれると思っている。まだ結果が出ていないし、ちゃんとスカウティングしてるのかな? と感じるところもあるけれど、特に水曜日のウイークデイマッチでは、積極的に若い選手をテストしていて、そこで失速している面もあるけれど、1シーズンでとらえたときにいい結果が出てくるかもしれないと、そこは大いに期待している。最初から経験のある人なんかいないんだし、そういう試みはサポーターとしてもとても楽しい。

戦術的なことや、ターンオーバー的配慮など、勝ち続けられない要因はいろいろあるのだろうと思う。でも、「うまくいかなかった」ことに「どうすればいいか」は、監督、クラブ、選手、みんなが考えているはず。それを一つずつ解決し、疲労やモチベーションを回復し、ゴールをして、勝点を積み重ねていってほしい。フベロ磐田はそういうことのできるチームだと思っています。

選手のことも少し。伊藤洋輝のサッカーセンス、フィジカル、判断力、パス精度は素晴らしいと思う。試合に出るごとにものすごい勢いで成長しているのを頼もしく思う。すでに風格を備えているところもとてもいい。

スタジアムで見ないと動き方はよくわからないけど、コーキ(小川航基)が少し変わって、あの中山雅史さんのように? 泥くさく点を取りに行っているように見えるのも、同じく頼もしい。最近では、中山、高原、前田のいいとこどりをしたようなタイプのFWにもなれるんじゃないかという気がしてきている。

ルキアンのうまさは分かっていたけど、今シーズンは、不思議さ面白さが少しずつわかってきて、見ていて楽しい。クールさをもっているところがとても好きです。

そしてオオモリーニョ(と呼ばせてください)こと、大森晃太郎。彼もすでにして代替不可能な選手になっている。技術の確かさはもちろん、重めのボールを蹴れるところがアクセントになっていて、ぐっときます。前の選手をどんどん走らせて。

力也、昌也は、ここ数試合で少し疲労がたまっているのかなと感じる。昨シーズン後半の戦い方と照らし合わせると、ちょっとプレーに冴えがないから。昌也の昨シーズン終盤の貢献には驚かされたし、力也には、もっともっと勝負にからむ決定的なパスを狙っていってほしい。

さらに、こんなお知らせが届いた。

マリノスから、山本義道選手がレンタルで加入。ようこそー。めちゃくちゃうれしい。

チームとしても、この夏の終わりは正念場だと思う。それには、相手の想像のその先を見て、読まれている以上のプレーをしていかないとね。

相手の出方に委ねるのではなく、試合は自分たちで引っ張る。自分たちが「試合をつくる」。どんな展開になっても、自分たちのサッカーを見失わず、クールにゴールできる道を探す。「つなぐサッカー」は大事だけど「意外性のあるサッカー」で、楽しませてほしいと思う。

もうすぐ【第14節】ホームでの金沢戦が始まります。監督はヤンツーさん。わくわくする心を押さえられません(笑)。

今シーズンは、コロナ禍もあり、これまで過酷な条件のなか、各地でのスタジアムで試合をしてきて、選手ヌチはみんなヤマハスタジアムの素晴らしさを感じているんじゃないかと思う。

この美しいスタジアムで、サッカーをできることのよろこびを思う存分に見せてほしいと思う。ゴールという形で。

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