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Dream On! 水美舞斗が踊るとき

マイティー(水美舞斗)の初主演作だった『Senhor CRUZEIRO(セニョール クルゼイロ)!』。観たときに強く感じたのは、「マイティー(水美舞斗)のダンスはすごい武器だ」ということだった。

タカラヅカの舞台で素晴らしいダンサーをたくさん見てきた。もちろんマイティーのダンスも見てきたけれど、こんなにも「踊るマイティー」の世界を作り上げたところを見るのは初めてだった。圧巻だった。

「これほどのスペシャルを持ってるんだもの、マイティーが組を背負って大劇場のゼロ番に立つ日がきっと来る」

先のことなんか分からないし、トップになるかならないかで舞台やスターを観ているつもりも、評価をするつもりもない。それでも、こんな直截なことを真っ先に思った。それくらいの技術と力とチャームが、マイティーのダンスにはあったのだ。

ショースターという言葉は気軽に使いたくはないけれど、マイティーなら、いつかそんなふうにいわれるスターになるんじゃないかと本気で思った。

それは前回、マイティーが主演したバウ作品の話。今回観てきた『Dream On!』はというと――。

5組を回った若手スターたちのショー作品『New Wave!』に続く、若手たちのショーという位置づけの作品で、今回の花組はその第1弾と思われる。花組の綺城 ひか理くん、飛龍 つかさくんを中心としたメンバーで、「特出」としてマイティーと帆純まひろくん、一之瀬航季くんが期間中の前半(5月20日~27日)にだけ出演するということだった。

特出の三人はみりおちゃんの『恋スルARENA』の出演メンバーだし、ここでは何場面かを三人で見せてくれるくらいかと思っていたのだけれど、開幕アナウンスからして「花組の水美舞斗です」と来た。そしてステージ構成も、マイティーという存在をドカーッと真ん中に置いたものだった。

ショー自体は、三木章雄先生お得意の『ヒーローズ!』あたりのアメリカン・ショーの雰囲気がある構成。

1部は、ショーのタイトル曲を使ったオープニングナンバーに始まり、ジャズ・スタンダード曲のコーナー、タカラヅカのクラシックスと鴨川清作先生のコーナー、そして海外ミュージカルのコーナーで幕。

2部は、「ラプソディ・イン・ブルー」~「Someone To Watch Over Me」と続くガーシュウィンのミニメドレーに始まり、青春ポップス、スパニッシュのコーナー、そして、マイティーをデューク・エリントンに見立てたデュークのチューン、ロックのコーナーと続き、フィナーレは再びタイトル曲で幕。

『セニョールクルゼイロ』のような、「こんなのマイティーにしかできないでしょ」っていう攻めたダンスナンバーなんかはなくて、タカラヅカのスターたちの誰もがこなしてきたような大時代的な余白の多いゆったりしたショーだ。しかし、だからこそスターの器が試される。ちょっとした卒業試験のような意味合いもあるのだと思う。

そこで感じたのが、水美舞斗というスターのとてつもない明るさです。

タカラヅカのスターにはいろんなタイプがいるけれど、皆さんご存じのように、マイティーはとても明るくて素直。下級生の頃は、舌っ足らずな話し方も含め、そこが子供っぽく映って物足りなく感じたけれど、キャリアを積んできて、今、初めて、この明るさが得がたい個性になっていることに気づいた。

観た人を理屈抜きにハッピーな気持ちにさせてしまうのだ。マイティーがそこにいて、ほほえみ、踊り出すと。

舞台の上でもそれは起こる。マイティーを中心に磁場ができ、舞台が同じリズムで動き出す。

この現象はいろんな言葉で表現できるけれど、シンプルにいうなら「スターの求心力」ってことだと思う。

すごかったよ、マイティー。心から舞台を楽しめたし、終わったら、本当に楽しい気持ちで満たされ、めちゃくちゃ元気になっていた。こんなに心を動かせるこれがタカラヅカに求められている効用だと思う。

明るいほうを向いているとはとてもいえない時代だからこそ、この爆発的な明るさ、楽しさ、すこやかさは、これからのタカラヅカの大きな光になっていくと思う。

マイティーのトニーもロミオもビルもどれも観たい。デュークの場面もすてきでした。とてもとても楽しみです。

【出演】舞月 なぎさ、千幸 あき、春妃 うらら、雛 リリカ、綺城 ひか理、飛龍 つかさ、澄月 菜音、高峰 潤、春矢 祐璃、糸月 雪羽、咲乃 深音、龍季 澪、涼香 希南、侑輝 大弥、涼葉 まれ、詩希 すみれ、颯美 汐紗、珀斗 星来、愛蘭 みこ
【特別出演】5月20日~27日 水美 舞斗、帆純 まひろ、一之瀬 航季

(一人一人コメントできなかったけど、あかちゃん、つかさくん、うららちゃんをはじめ、みんなとてもキラキラで楽しそうでした)




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